【スズキ GSX1100S カタナ】わずかな今日的メンテナンスで本来の素性を放つ個性派モデル

掲載日:2018年10月25日 試乗インプレ・レビュー    

取材協力/テクニカルガレージRUN
試乗ライダー・文/和歌山利宏 写真/赤松 孝 記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はロードライダー特別編集『ザ・カスタムマシン2014』に掲載された内容を再編集したものです

スズキ GSX1100S

スズキのGSX1100Sカタナがショーデビューを果たしたのは1980年の西ドイツ・ケルン。そのカタナは今見ても、スタイリングから受けるインパクトは強烈そのものである。カタナのスタイリングなくして、カタナは語れないのも事実。同時に走りも至極個性的で、ビッグバイクを操る面白さに溢れているのである。今回はテクニカルガレージRUNによって整備された1994年型のSTD車両に試乗する機会を得たので、カタナの歴史を振り返りつつ試乗インプレッションをお伝えする。

何度見ても色褪せない
強烈なスタイリング

スズキは1976年に直4のGS750で4スト市場に進出を果たし、次いで1978年にGS1000、1980年には4バルブ化したGSX1100Eを登場させていく。だが、国産競合車と同様のネイキッドスポーツツアラー的なものでは個性に欠ける。というわけで、欧州でブームのカフェレーサータイプのリッターバイクを送り込むことが企画された。

そこで、GSX1100Eベースの車両のデザインを、ハンス・ムート/ターゲットデザインに依頼。当初はスズキ社内でも賛否両論があるほど衝撃的だったというが、それは後のスズキデザインのアイデンティティのひとつにもなっていくのである。

スズキ GSX1100Sの試乗インプレッション

そうして、カタナは1980年のケルンショーで発表され、同様のデザインのGS650Gの方が市販が先行したものの、カタナも翌1981年に市場に送り出されることになった。

久しぶりに見るカタナは、やはり強烈である。奇抜で前衛的で挑戦的だ。登場当時もユニーク過ぎると思ったものだが、時を置いてもインパクトは色褪せていない。

スズキ GSX1100Sの試乗インプレッション

セパハンはさほど低位置でないが、垂れ角が強く、走り屋カスタムよろしく、周囲を挑発している。日本刀をモチーフにしたデザインも、その攻撃的イメージを一層、強めている。認定云々以前にワルのイメージでの当局への挑戦みたいで、これじゃ、認可も下りなくて無理もないのではとさえ思えてくる。でも、これがカタナの魅力でもあるのだ。

正直に言うと、僕はカタナにあまりいい印象を持っていなかった。当時の国産大型車が直面していた問題のひとつに、高速走行安定性というものがあるのだが、これに関してカタナは、名車に祭り上げるほど素晴らしいものではないと感じていたからだ。言ってみれば、ハンドリングにストレスを溜めて走っているみたいで、十数年前にも行った試乗の印象としても、最高の気持ち良さには欠ける気がしないでもなかった。

スズキ GSX1100Sの試乗インプレッション

ところが、今回のカタナはなかなかいい。走っていて気持ちいいのである。こんなことは、これまでのカタナではなかったことである。 おそらくは、現在のタイヤの進歩(今回装着されたブリヂストンBT-45は10年以上前に登場しているはずで、決して最新ではないが)のおかげで、ハンドリングが高水準化されているのであろう。

そして、テクニカルガレージRUNによって完全整備され、そのBT-45に合わせてセッティングされているからだろう。フロントフォークはバネ定数を高め、オイルレベルもアップ。そして、エンジンマウントボルトは座面合わせをした上で、トルク管理しているという。

スズキ GSX1100Sの試乗インプレッション

ともかく、このタイヤは昔のものと比べて、素直に転がっていく。だからブレないし、良く曲がる。昔の記憶では、高速コーナーでスロットルを絞るや、その姿勢変化をきっかけにウォブルが生じることもあったのに、これは安定して素直なままで曲がっていく。フロントが若干固められたことで、姿勢変化が抑えられていることも、いい方向に作用しているのだろう。

そればかりか、当時の大型車としては、フレームにしっかりした剛性感がある。僕が覚えている悪いイメージとして、その剛性感にアクの強さというか、バランスの悪さもあったが、これは意外なくらい素直だ。RUNの完全整備のおかげがあって、マシンを信頼できる。

スズキ GSX1100Sの試乗インプレッション

マニアックで高水準な
ハンドリング

こうなると、身体は自ずと30年前のイメージで動き出す。自分が乗っている走りの写真を見て驚いたのだが、いわゆる後ろ乗りになっている。自分としては普通のポジションのつもりで乗っていたのに、リアにしっかり体重を掛けているのだ。

そうすれば、フロントは自然にリアに追随するように曲がっていく。今のバイクのように、前荷重でフロントの接地感を高めるなんて必要はないし、フロントのグリップを気遣うこともない。古き良き時代のフロント19インチの感覚である。

スズキ GSX1100Sの試乗インプレッション

カタナの、大径ホイールによるステアリング効果でスパッと曲がる切れの良さを維持したいならF19インチのまま手を入れたい。フロントの接地感や旋回性を求め、F18とか17インチにする人も多いが、それだけでは好マッチングは得られない。前輪荷重を高めないとフロントは仕事をしてくれないし、たとえフロントから曲がるようになっても、フレームを固めないと、曲がる力に持ち堪えてくれない。ここは注意したい。

ただ、この車両はフロントが19 インチのままであっても、この今日的なタイヤは旋回力も高く、しっかり自らコーナーに向いていく。それだけに少々、切れ込み感がある。そうした観点で、このタイヤの場合にはフォークオフセットを少し詰めたほうがいいかもしれない。

とは言え、これはカタナの持ち味でもある。そもそもカタナでは、ベースの1100Eで採用されたフロントのリーディングアクスルが、安定性と軽快さよりも操縦性を重視してセンターアクスルに戻され、バンク角を稼ぐために車高がEより15mmも上げられているからだ。

スズキ GSX1100Sの試乗インプレッション

つまり、マシンの倒れ込みに合わせて、ステアリングは慣性マスによる切れ込み効果を高めていくわけである。切れ込みに押し舵で対処するのではなく、切れ込みに合わせて体重移動し、旋回性を高めていくことになる。実にマニアックなハンドリングだと言っていい。

Fブレーキは、元々の片押し1ピストンのままだが、パッドの変更で効きが高められており、これならワインディングでも不安はないだろう。ただ、フルブレーキングでの踏ん張りを考えると、ステップはここまで後ろにないほうがいい。この位置は、カフェレーサーイメージから決定された結果に過ぎないのだろう。

スズキ GSX1100Sの試乗インプレッション

エンジンは、30年前のものと思えないほど、スムーズである。重ったるさも、扱い辛さもない。上限が9,000rpmと低く、トルクピークが中回転域にあるので、日常モードで楽しめる。試乗車はクラッチのパワーアシストが外されているが、操作感は決して重くなく、左手にダイレクトに伝わってくるのがいい。

筑波のショートサーキット(コース1000)での試乗となったが、30年以上前のバイクを、ここまで気持ち良く走らせることができるとは、期待していなかったというのが本音である。カタナはそれだけの素性を、持ち合わせていたということである。

GSX1100S カタナ詳細写真は次ページにて

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