BMW Motorrad

【 旧車メーカー別購入ガイド】BMW Motorrad

掲載日:2007年03月28日 バイク購入ガイド        件のユーザーレビュー

バンドの機材車からレーサーまで
何でも1台でこなせる実用的な旧車

左右に突き出したシリンダーが、独特の佇まいを魅せるBMWのボクサーツインモデル。最新のBMWのラインアップにもこの水平対向2気筒モデルは存在するが、いまだにボクサーツインといえば’70年代から’80年代のモデルをイメージする方が多いのではないだろうか。東京・西東京にあるそんなBMWをはじめとした旧車を扱う『リトモ・セレーノ』。その代表、中嶋志朗さんは、’73年モデルの「R90/6」を生活の足として、ツーリングの友として使い、さらにはサーキットでのレースまで走ってしまうという、バイクの楽しみすべてをこの1台でこなしている。今回は中嶋さんにちょっと旧いBMWの魅力を伺ってみた。

いかにもオーソドックスなバイクの形に
未だにまったく飽きることがありません

イメージBMWに乗る前までは、モトグッツイの「1000GT」、「ドゥカティの900SS」に乗っていました。いいバイクだったんですが、当時大学生の私には少し気負いが必要でしたね。通学やアルバイト、バンドもやっていたのでアンプを積んで、ギターを背負ってライブにも行ってました。そんな時、たまたま先輩にBMWの「R100GS」に乗っている人がいてね。一緒に走りに行くと速いんですよ、これが。まったく着いていけなくて。それまで“オッサンバイク”だと思っていたのに峠がすごく速い。それを見て影響されてしまって、BMWに乗り始めたんです。最初のモデルはボクサーではなく、縦置き3気筒エンジンの「K75SS」でした。

 

その後大学を辞めて、しばらくアメリカに行ったのですが、そこで見るオートバイライフはとても新鮮でした。日本と違ってアメリカでは、BMWや英国車の旧車は単に古いバイクということで値段も安く、みんなそれを手に入れて好きなようにカスタムしています。旧車はオリジナルを追求して大切にする、日本の旧車の楽しみ方とは全然違うんです。この経験が、今のショップ「リトモ・セレーノ」のルーツかもしれません。その後、帰国してもやっぱりBMWを選びました。すっかりBMW好きになってたんですね。ちなみに買ったのは「R100Rロードスター」。僕にとって初めてのボクサーツインです。その頃は音楽をしながらライターをして、年に1、2回アメリカに渡っていました。そこで好きなバイクを見つけて、買って帰っては直して自分で乗って個人売買で売るという生活でしたね。

 

そんな中で見つけたのが、今乗っている「R90/6」なんです。当時はBMWのRシリーズはニューボクサーになっていて、トラディショナルなスタイルのバイクは「R100R ロードスター」しかありませんでした。R90/6はそれまで乗っていたロードスターやモノサスのボクサーツインに比べて、ノーマルの状態でもかっこよく見えたんですね。シートカウルがなくってお尻が丸いシートの後ろにグラブバーが付いているような、いかにもオーソドックスなバイクの形をしていましたから。もう、これをずっと乗っていこうと思いました。結局、その後今まで7年間、ずっとこれに乗っています。これだけ長い間乗り続けていられるのは、BMWのぱっと見の性能だけではなく、乗るたびに分かる魅力もあるんだと思いますよ。

日常の足からサーキットまで使える寛容さと
カスタムの素材としての趣味性を持つ

イメージ僕の乗っているR90/6をはじめとして、’70年代、’80年代のBMWの魅力は、まず、とにかくオーソドックスなスタイル。今、誰もがイメージできるようなオーソドックスな格好をしたバイクって、ほとんどありませんよね。現行モデルならヤマハのSRやカワサキのW650、ハーレーのスポーツスターといったところになるでしょうか。そういう意味で、オーソドックスなオートバイを買おうとすると、ちょっと旧いバイクということになりますが、そんな中でもBMWは足にも使えるし、峠やツーリングに行ける耐久性があります。その気になればサーキットもガンガン走れてしまいますから。また、長く持っていても部品のつくりがいいため、ヤレた感じがあまりしないのもいいところ。そういう意味でオーソドックスなスタイルで、かつ旧さを意識することなくオールマイティに使えるバイクとしてすごく良くできているのがBMWだといえるでしょう。

 

もうひとつ、カスタムする楽しみもあります。BMWはフレームの形やつくりがしっかりしているので、カスタムの許容範囲が大きいんです。だからいろいろなことができます。また、チューニングを楽しむのもいいですね。純正だと、例えばR100RSは約60馬力と1000ccの二気筒としてはあまり馬力がありませんが、実はそれは結構抑えられているからです。だから、キャブレターやマフラーを変えると性格が豹変します。僕はボクサーツインに10年以上乗っていますが、未だに飽きません。「次はキャブレターを変えよう」、「次はカムを変えよう」、「ちょっとヘッドを面研してみよう」といったように、チューニングできる許容範囲がすごくあります。そういった将来的にチューニングしていく楽しみもすごく残されているのが楽しみの一つですね。

中嶋さんに訊く!
ビギナーにオススメなBMW Motorrad

ショップマスター’70年代、’80年代のBMWは3つに大別されます。1つ目が、’68年から始まった“近代ボクサー”と呼ばれる「R90」といった形式名の後ろに「/6」のように世代を表す記号がつく“スラッシュシリーズ”。次に’76年以降のリアショックが2本のモデル。最後に’81年以降の2本サスモデルと86年以降のモノ(1本)サスのモデルがそうです。その中でも’81年以降の2本サスとモノサスモデルは、ミッションやクラッチが扱いやすくなっていてあまりクセがありません。ですから、国産車から乗り換えても違和感なく乗れると思います。

 

一方、いわゆる‘80年までの2本サスモデルとスラッシュシリーズは、ミッションやクラッチがそれ以降のモデルと少し違っています。基本は同じなのですが重いフライホイールだったり、クラッチも構造が違っていたりして、ちょっと癖があります。そのため、シフトチェンジはしっかり回転を合わせて入れたほうがいいとか、ちょっとビンテージな印象がありますね。でも、例えば旧いトライアンフとかドゥカティに乗るよりは断然楽ですよ。

 

BMW初心者にはどれがいいかというと、やはり、2本サスモデルだったら’81年以降、モノサスモデルならすべてオススメできます。もちろん、初心者だからといってスラッシュシリーズに乗れないかというと、同年代の英車やイタ車に比べると断然乗りやすいですから、それは慣れの範疇だと思います。これらのBMWはとてもつくりがいいので、メインテナンスさえしていれば足としてガンガン使えます。ただ、やはり旧いバイクなので電装関係はちょっと弱いですね。もともと設計が’68年から大きく変わっていませんから。なので、最初に対策品に交換してしまうといいでしょう。もちろん、こうしたパーツ類の供給はまったく問題ありません。ウィークポイントとなる部品については、ちゃんと対策品もありますから。

 

車両の価格はウチの場合、一通り整備して保証をつけたモノサスモデルなら60万円から100万円程度です。一方、2本サス以前のモデルは本当に年式が旧いので状態によりけりですね。だいたい、エンジンを開けて足周りにひととおり手を入れて仕上げるので100万円から120万円くらいになりますね。逆にそれくらいやっておかないと、本来のBMWの乗りやすさだとか、本来の性能が楽しめないと思います。

愛車DATA --

ライディング状況BMW Motorrad
R90/6

「R60/6」、「R75/6」と同じ1973年に登場した「/6」世代の最大排気量モデル。
パワーやトルクも「/6」3兄弟の中で最大で、最高速度、加速力など当時として高い水準を誇った。この「R90/6」をベースに歴代BMWの中でも名車のひとつとして挙げられる「R90S」が誕生する。中嶋さんの愛車は中古車で手に入れ、その後足代わりとして7年間をともにしてきた。その間、修復をはじめキャブレター、マフラー、カムなどが換装されるなど各部に手を入れてきた。タンクや各部に刻まれたキズや塗装の剥がれは、中嶋さん自身のバイクライフを物語っている。

 

取材協力
東京・吉祥寺に6年前にオープンした、BMWをはじめとする旧車専門店。R80やR100をベースにしたカスタムコンプリートモデル「ベーシックR」の販売など、旧車の枠にとらわれない楽しみを提案。店舗には本格的なカフェも併設し、旧車を眺めながらゆったりくつろぐこともできる。

 

住所/東京都西東京市西原町2-1-13
営業/10:00~20:00
電話/0424-51-9551
休日/毎週月曜日

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