掲載日:2012年05月18日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
文/田宮 徹
欧州オーストリアの KTM が、2012年にラインナップするモデルの中では、オフロード走行を意識した990アドベンチャーと並びツアラー的な要素がもっとも多く盛り込まれた機種が、この 990SM T だ。現在はR仕様のみとなった 990 スーパーモト(=SM)をベースに設計され、2009年型でデビュー。2011年型では ABS の新搭載や外観の刷新を中心とした改良を受け、ツアラーとしての資質にさらなる磨きがかけられた。
搭載するエンジンは、LC8 と呼ばれる挟角75度の 999cc 水冷Vツイン。これは 990SM R に搭載されているものと同じで、最高出力 116 馬力、最大トルク 9.9kgm を発揮する。燃料供給にはケーヒン製の F.I. を使い、極低回転域から高回転域まで、滑らかかつパワフルな回転上昇特性が追求されている。メインフレームは KTM らしいクロモリ鋼管を使ったトラス構造。しなやかさと高剛性がハイレベルにバランスされている。前後サスペンションは、2012年型の KTM が全車でチョイスしている WP 製。フロントフォークは倒立式、リアはモノショック式だ。そして、2011年型以降ではアンチロック機構付きのブレーキシステムを標準装備。キャリパーはブレンボ製で、フロントはラジアルマウント式。ABS ユニットはボッシュ製となっている。なお前後ホイールは、オンロードモデルの定番となる前後17インチ径だ。
ツーリング向けの装備としては、ショートスクリーン付きのハーフカウル、走行時の風圧からも手を守るナックルガード、快適性が追求された前後一体型の段付きシート、さまざまなケースやバッグのオプション装着にも対応するラゲッジステーなどが挙げられる。純正アクセサリーの「パワーパーツ」を使えば、より旅向きな仕様へのカスタムも容易に可能。それでいてベースには、スポーツライディングを楽しむ姿勢があるというのも、この 990SM T の魅力と言えるだろう。