ヤマハXSR700と東京環状ナイトクルージング
掲載日/2018年12月03日
取材協力/ヤマハ発動機販売株式会社
取材/後藤 武
撮影/高柳 健
文/野村和也
構成/バイクブロス・マガジンズ
ヤマハのスポーツヘリテージモデルXSR700。アップライトなポジションとパルス感のある並列2気筒エンジンは、街中を流すだけでも楽しいモデルだ。友人に教えたもらった工場地帯へXSR700を走らせた。

日常をリセットすべくXSR700で夜の高速道路へ。東京環状ナイトクルージングのはじまりだ。

たまに無性に走りたくならない? 俺はなる。それがどうしてなのか、どういった理屈なのか頭で考えて分かるものとかじゃなくって、衝動的になるものだと思う。

理不尽な理由で上司に怒られたり、彼女と上手くいかなかったり、同期がどんどん出世していったり、生きてく上で気に入らない事って沢山あるじゃん。そんな時こそバイクに乗ってガス抜きしようよ。ナンボかましな気分になる気がするし、俺にとってバイクはある種トランキライザー的な役割が絶対あると思うんだよね。

湾岸線を真っ直ぐ北上して、辰巳JCTから箱崎JCT経由で銀座方面、首都高速都心環状線を左回りにぐるぐる回る。芝浦JCTからレンボーブリッジを渡って、また湾岸線に戻るのだ。

べつに特段速く走るわけではなく、あくまで交通の流れに任せたライディング。首都高って意外と路面が綺麗じゃないし、道路の継ぎ目は鉄のジョイントがむき出しになっていてよく滑る。それに10メートル、もしくはそれ以上の高さから落下したら……なんて考えると余裕のないライディングはとても、ね。

キラキラしたビル群の小さな窓から見える人影とか、辰巳PAでピカピカの愛車を撮影しあう若者とか、高級車の助手席でエラそーな顔した綺麗な女性とか、それぞれライフスタイルがあって当たり前に毎日を生きてるんだよね。

その中でも季節で変わる空気の密度や質感を感じ取れたり、わざわざバイクを走らせて美味しいものを食べに行けたり、山の上で思いも寄らない絶景に巡り合えたり、バイク乗りってやっぱりいいよね。

辰巳PAで一服休憩。安全性のことも考えて、今日はライディングウェアブランドのプロテクターの入ったメッシュジャケットとグローブ。メッシュだとさすがにもう寒くなってきちゃったな。

お決まりのタバコと缶コーヒー。ここ数年電子タバコも流行ってて、確かに匂いも少ないし吸い殻や灰も出ないけど、バイクに乗ってるとツーリング先ではやっぱりタバコの煙が吸いたいんだよね。

ヤマハXSR700。高速巡航して感じたのは、欲しい時に欲しいだけくれるトルクの太さ。だけど昨今のSSみたいにピーキーな感じじゃなくって、エンジンの鼓動に合わせて気持ちよく回ってくれるような、扱いやすいエンジン。

足周りは少し柔らかいかな? とも思ったんだけど、路面のギャップとか長距離移動した時の乗り心地を考えるとこのくらいが丁度良いのかも。

シート高はやや高めの835mm。身長176cmの俺が跨って、両足だと踵がちょっと浮くくらい。もちろん片足だとべったり付くし、車体がスリムで軽いおかげもあって不安感は全くなかった。

最近は日が落ちるのが早くなってきて嫌だな、と思っていたけど、今日だけは秋の夜長に感謝。路面が凍結し始めるまで、もうしばらくの間はこの遊びを楽しめそうだ。