取材協掲載日/2014年5月28日力/WINS JAPAN 取材・文/motortoon 写真/若林 浩志 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部


気密性の高いフルフェイスヘルメットにとって、どうしても避けて通れない問題が、バイザーの曇りによる視界不良だろう。シールドを少し開けることで回復することもあるが、それではせっかくの気密性能、静音性能も無駄になってしまう。ヘルメットに取り付ける曇り止め対策製品が販売される中、金沢の新進メーカーであるウインズジャパンによって開発された『フォグウィン』は、これまでのアイテムのデメリットを入念に検討した上で、ライダーにとっての快適性を追求した新しいアプローチによる防曇製アイテムだ。同社のヘルメットに付属するフォグウィン。その性能への追求と、ヘルメットメーカーとしてのこだわりを紹介していきたい。

ユーザーの使い勝手を第一に考え
圧倒的な防曇性能と使いやすさを実現

フォグウィンのベース素材は、表面素材とコーティングにより最高級の防曇性能をもつもの。これを生かすために、独自の粘着材、ホールドテープ、さらにサイドに設けられた吸着盤によって高い気密性を保つことで、ダブルレンズ効果を発揮。雨だけでなく、雪や高温&多湿など、考え得るあらゆる過酷なシーンで快適な視界を確保してくれるのだ。一見するとシンプルな作りにも見えるが、素材の性能に加えてそれらを完全に発揮させるための形状、シールドへの吸着方法、さらにサイドに設けられた吸着盤によって高い気密性を保つことで、ダブルレンズ効果を発揮。高性能なアンチフォグアイテムとして成立させているのだ。また、いくら防曇性能が高くとも、視界の邪魔になってしまっては本末転倒ということで、シールドのギリギリまで有効視界を大きくとっている。これは自社専用品であり、ヘルメットごとに専用設計されたフォグウィンならでは。シールドから外しての再装着も容易で、それゆえに汚れや寒暖差による変化などにも対応。フォグウィンを必要としない場合は、サイドの吸盤部分も含めてすべて取り外すことが可能だ。

 

企画力、コンセプト
そして独創的なアイディアで勝負

代表取締役
片岡 匡史さん

「僕自身もレース活動をしてきたライダーなので、自社のヘルメットについても、静かにしたいとか、気密性を上げたいという欲求があったんです。一例をあげると、うちのほとんどの製品にチンカーテンを付けたりとか。ただ、そういうことを突き詰めていくと、どうしても曇るんですよね。雨の日や寒い日なんかは、シールドを閉めたいけれど、そうすると曇ってしまう。もちろん、既存の曇り止め製品も存在しますが、価格帯や弱点のような部分もあるわけです。ですので、『自社で開発しよう』と。最終的には開発メンバーと試行錯誤をしてフォグウィンを作り上げました。

 

フォグウィンだけでなく、ううちの企業理念として、『よりよいものを』ということがあるんですが、ただ単に安いだけではなく、価格に対してそれ以上の付加価値があるものを意識しています。例えば、カーボンヘルメットの A-FORCE は、価格を抑えながらも約 1,250g と、トップクラスの軽量さを実現し、MFJ に認定されています。また、新発売の FF-COMFORT に関しても、DAC(ダブルアクションクロージング=シールドを閉じるときに気密性を高くするシステム)を採用していますが、これも同クラスのヘルメットでは初めての採用だと思います。

 

日本には世界に誇る二大ヘルメットメーカーをはじめ、有名ブランドがいくつもあります。我々もヘルメットを中心とした総合メーカーとして、企画力、コンセプト、そしてうちならではの独創的なアイディアを武器に、追いかける立場として頑張っていきたいと思っています」

 

 

 

技術部長
石川 哲治さん

「フォグウィンの開発についてですが、僕たちのやっていることというのは、素材をいかにヘルメットのシールドに貼り付けるかというところにノウハウがあるんです。シールドは三次元なんだけど、それにこの平面の製品をいかに密着させ、高い気密性を保てるかっていうことですね。

 

一番の特長は、粘着材を使っていること。こうしたものに使われている両面テープというのは、普通は断面が四角いんですよ。それをシールドのような 3D のものに貼るとカドしか付かない。それに対して、うちのものは粘着材なので、断面が半円状なんですよね。それによって接着面積がより大きく取れるわけです。

 

また、粘着材の吐出量などにもノウハウがあり、例えばフチに余白があるとフォグウィンの端がシールドに当たってしまう。だから、ここをギリギリまで持ってくることで、密着性、そして視界にも好影響を出すんです。ヘルメットごとに専用設計を行うと、そうした部分に対して徹底した追い込みもできるわけです。製品化するまでは本当に試行錯誤の連続でした。自分が役員で、勤務時間の縛りがないことによって製品として完成させられたという側面もありますね。完成までは何日も泊まり込みましたよ(笑)」

フォグウィンを装着した FF-COMFORT。シールド内の有効視界を無駄なくカバーしているのがわかるだろう。サイドの吸盤部分は、装着時の位置決めや、万が一にも脱落しないためのセーフティ、脱着時のアシストなど、複数の機能を持つ。もちろん FF-COMFORT に限らず、すべてのウインズ製フルフェイスヘルメット専用設計のフォグウィンが標準装備される。

一枚のフォグウィンを開発するにあたって、何枚もの形状試作が行われる。下にあるプリント群は、粘着材の吐出プログラムをプリントアウトしたもの。一枚分のラインを作り上げるだけで、これだけの量のデータが必要になるという。実際の製品に関しては、さらにサブプログラムが必要となる。

フォグウィンの装着は非常に簡単。まずサイドの吸盤部分を取り付けての位置決めを行い、上下左右の傾きや、実際にライディングポジションに合わせた視界の位置を調整する。そして乾いた布などで、シールドにフォグウィンを押し当てていく。粘着材は密着することで色が黒く変わっていくので、確認も容易だ。その後、内側にあるホールドテープ部分をぐっと押して固定させ、透明フィルムを剥がせば完成。もし汚れた場合には、中性洗剤で洗って陰干しすることで何度でも使用できる。

さまざまな試作を経て作り上げられたフォグウィン。その周辺ぎりぎりに粘着材が塗布されていることがわかるだろう。また粘着材は、単純に一定の太さというわけではなく、シールドに貼り付けられる際の形状に合わせ、太さやそれにともなう高さなど、緻密なセッティングが反映されている。それらは雪山などでの徹底した実走テストであり、性能の確かなものへと仕上げられているのだ。

データ作りや形状のデザインなど、コンピューターを使っての開発作業が多いが、最終的には試作してからの調整といったアナログ的な感覚による部分も大きいという。デジタル的な技術もさることながら、職人としての精度のこだわりが、高い気密性を生み出しているのだ。

モーターサイクルショーでのウインズジャパンブースの模様。製品ラインナップの紹介だけでなく、加湿器を使った防曇性能のデモンストレーションも行われた。また、各地の二輪用品販売店などで、ウインズ製品を体験できるイベントも開催している。ヘルメットのフィッティングはもちろん、同社が扱うヘルメット用スピーカー『サウンドテック』の視聴も可能だ。

FF-COMFORT のグラフィックモデルであるタナトス。レーシーなパターンをもつグラフィックモデルにも、フォグウィンが違和感なくマッチすることがわかるだろう。また、タナトスやストライプなどのグラフィックモデルには、南海部品や2りんかんでの限定カラーも用意される。

システムヘルメットから MFJ 対応のレーシングヘルメットまで
あらゆるライディングシーンに対応する充実のラインナップ

ウインズのラインナップは、ハイエンドモデルであるレーシングヘルメット『A-FORCE』、最新のインナーバイザーフルフェイス『FF-COMFORT』、システムヘルメットである『MODIFY』および『MODIFY ADVANCE』、そして『MODIFY JET』。ジェットタイプの MODIFY JET を除いたすべてのアイテムにフォグウィンが標準で付属する。また、各シリーズに専用の内装パーツがリリースされているので、リペア面での安心感はもちろん、好みのサイズのインナーを購入することで、頭部形状に合わせたフィッティングの追求を行うことも可能だ。

  • ボタンひとつでフェイスガードを跳ね上げることができるシステムヘルメット。オプションのジェットベースキットおよびシールドを購入することで、ジェットヘルにすることも可能だ。

    MODIFYの詳細はこちら

  • MODIFY 同様のシステムヘルメットだが、こちらはジェット並みの視界の広さと、チンガードを脱着できることが特長。チンガードを外すことで、ジェットヘルとしても楽しめる。

    MODIFY ADVANCEの詳細はこちら

  • インナーバイザーをはじめ、DAC、メガネの着用も考慮された三次元デザインインナーなどを搭載した最新モデル。空力とすっきりとしたシルエットを実現したエアロ構造も魅力だ。

    FF-COMFORTの詳細はこちら

  • 圧倒的な軽さを誇るカーボンヘルメット。カーボンや、高い強度&弾性のケブラーとグラスファイバーの6層ハイブリッド。MFJ の認定も受けている。グラフィックモデルも追加された。

    A-FORCEの詳細はこちら

BRAND INFORMATION

WINS JAPAN(株式会社ウインズジャパン)

ヘルメットおよび関連アイテムを提供する総合メーカー。グループ内にバイク販売店を持つことで、ユーザーからの素早いフィードバックを実現。その開発力と意欲的なアイディアで、ユーザーにとってよりよいものを開発し続けている。また、コンチネンタルタイヤなど海外の優れたアイテムを導入&商品展開し、今後もさらなる展開が期待される新興メーカーだ。

 

住所/石川県金沢市横川3-20
Tel/076-259-6560

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2015年6月15日更新 …… 商品写真を一部入れ替えました。

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