ニューモデルインプレッション KTM 390 DUKE「この1台で世界が広がる!」

掲載日:2013年06月28日 特集記事    

取材協力/KTMジャパン  Photo/KTM Sportmotorcycle AG、編集部  Report/編集部  記事提供/ロードライダー編集部

この1台で世界が広がる!
万能性が何よりの魅力だ

昨秋の EICMA で初披露、2013年春の東京 MC ショーにも展示され、期待の高まる 390 DUKE 。スモール DUKE 中、最大排気量車となる同車は、楽しさと安心感を併せ持った懐の深さが印象的だった。

乗り味、プライス共に
ライダーを納得させる

スモール DUKE シリーズの第1弾として 125 DUKE (15馬力)がデビューしたのが2011年。翌2012年にはシャシーまわりをそのままに、199.5cc(26馬力)エンジン搭載の 200 DUKE が発売された。

当時、眺めた 125 DUKE は、フレームとエンジン間に余裕があったから、その 125cc エンジンをベースにした(それでも単なるボアアップでなく、ストローク変更までしたのに驚いたが)、200 DUKE が後に追加されても、『モノ足りないユーザー向けにパワーを盛ったんだな』と、簡単に合点がいった。

 

だが今春、新設計の 375cc(44馬力)エンジンを積んだ 390 DUKE が発売される、しかもシャシーはやはりそのままと聞いて、今度は本当に驚かされた。

「いくら何でもそんな乱暴な」

どのタイミングで 390 DUKE の開発を思い立ったかは知らないが、排気量も最高出力も、当初の 125 から3倍の数値のエンジンを同じシャシーに積むなんて…。試乗会に先立って、KTM ジャパンの野口英康社長に伺っても「もちろんシャシーへの補強も試したみたいですが、結局、今のシャシーで問題ない。補強は必要ないってことになったみたいですよ」といった具合。

困惑しながら臨んだ KTM のお膝元・オーストリアはザルツブルグでの試乗会だったが、そんな杞憂は郊外のワインディングロードを走り出した途端、消し飛ばされた。ツーリングペースなどでは、44馬力のエンジンをもってしても、シャシーを負かすことなどできやしない。125 から共通の、クロモリ・トラスフレームの高剛性に舌を巻いた。

25度に設定されたキャスター角は、スポーツネイキッドとしては普通だが、ストリートファイタースタイルの低く幅広なステアリングはややナーバスで、無用な入力には落ち着きを失うこともある。でも、これは慣れの範疇。コーナリングも切れるままにステアさせれば問題ない。

その気になればレッドゾーンの1万500rpm まで軽々と吹き上がるエンジンも、各域ともスロットルワークに従順。よく動く足まわりと共に初心者にも勧められる乗りやすさだ。冒頭の、125 から共通のシャシーに 375cc のエンジンの組み合わせで想像する、例えばシャシーのしなりといったジャジャ馬感は公道試乗では見当たらない。

一方で、サーキットではどうだろう? 上級者ならエクストリームまがいの走行も簡単にできるのかな? と、乗り手側のスキルに合わせての、走りの幅も十二分に期待させる。

 

ともあれ、今回のツーリング試乗の視線に戻れば、6速 100km/h 時の回転数は 5,200rpm だった。200 DUKE では 7,500rpm で、高速道路の長距離移動は辛いかなという印象だったから、プラス 175cc の恩恵は大。ちなみに KTM によれば、最高速はメーター読みで 170km/h 超は出るらしい。ライダーの身長 170cm もあればベタ足で、コンパクトな車体もあって、脇道やダートにも躊躇なく入っていける。出先でバイクの捌きに困ることもないだろう。ただ、セパレートタイプのシートは、身長 178cm の筆者には窮屈。690 や 990 DUKE のようなダブルシートが有り難いが、125/200 系スモール DUKE とシャシーを共用してのロープライスを考えれば仕方ない。シートストッパー部を削るなど、自分仕様のカスタムを楽しむべきだろう。

さて、その価格。日本での車両価格は54万9,000円と決まっているが、これはいわゆるアベノミクス前の円高時に決まったもの。野口社長曰く、今の為替では2014年も同価格で販売できる気がしない、と。バーゲン価格は2013年モデルだけかもしれない。購入となれば、競合に 200 DUKE を想定する人もいるだろうが、車検などのランニングコストは割高でも、ツーリングまで楽しみたいなら、買いは 390 DUKE 。日本発売は7月予定、もう目前だ。

 

Styling

 

長男坊は日本の交通事情にもぴったり

スモール DUKE シリーズの最大排気量車となる 390 DUKEは、欧州の2輪免許制度(A2ライセンス枠)に合わせ排気量設定されたものだが、結果として日本の道路事情にもピタリと合ったモデルに出来上がった。200 DUKE 比+約 10kg の小型軽量車体で、その取り回しの良さは抜群だ。

 

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