ロードライダーインプレッション~カワサキ D-TRACKER125 & KLX125~

掲載日:2010年05月26日 特集記事    

記事提供/2010年1月24日発行 月刊ロードライダー 3月号
Report/石橋知也  Photo/吉見雅幸

KAWASAKI D-TRACKER125 & KLX125

遊べる19/21、14/17 125cc新サイズの登場

従来の125ccクラスがフルサイズだったの対して、KLX125/Dトラッカー125のホイールは、80ccモトクロッサーのラージサイズ。大人向けの小さ過ぎないミニだ。走りはもちろん最高!

何とでもなるサイズ
街中でも十分な速さ

車体サイズは、やっぱりバイクの楽しさを決める大きな要素だ。KX125/Dトラッカー125のホイールは、80ccモトクロッサーのラージサイズ(KX80-IIなど)。他社の4ストファンバイクでいうならホンダCRF100FやヤマハTT-R125LWと同等だ。ラージサイズは80ccで大人も遊べるように、フレームなどはそのままにホイールサイズを上げてもので、このインチアップは、実際に大人を夢中にさせた。フルサイズの250/450ccモトクロッサーにはもう乗れなくなったというベテランから土系ビギナーまで、その何とでもなる大きさ、重さ、パワーは楽しむことに没頭できる最適サイズなのだ。

フルサイズのオフロードモデルがF:21、R:18/19(インチ)なのに対して、ラージサイズはF:19、R:16。80ccクラスのレギュラーサイズがF:17、R:14だから大人用とキッズ用の中間。そのホイールサイズに、80ccではなく125ccエンジンを組み合わせたカワサキの選択は大当たりだと思う。これまで125ccのオフ車はフルサイズばかり。また、モタードスタイルの方はフルサイズが前後17インチなの対して14インチ。これが見た目にもちょうどいい縮尺になっている。

車両とも跨った瞬間から、どう走ってやろうか、とワクワクする。もちろん大人ならべタ足。セル+EFI(電子燃料噴射)だから簡単に始動し、始動直後からアイドリングも安定している。これはISC(アイドルスピードコントロール)付きのおかげ。燃料ポンプ、インジェクター、スロットルボディを別体にしてタンク容量を確保しつつ、狭いスペースに上手くシステムを収めていて、見た目にも普通なのがいい。

4ストSOHC124ccシングルのレスポンスは穏やか。でも、普通に走るなら発進時にそれほど回転を上げなくていいトルクがある。もちろん、街中でもぐいぐいスロットルを開けていけて、そうすれば交通の流れを十分にリードできる。これなら50/80cc車のような怖い思いをしなくて済み、ストレスもない。欲をいえば9500rpmでなく、もう少し上まで回ってほしいが。

 


石橋知也:昔はミニバイクEDにも参加し、現在もXR100を所有。「ラージサイズミニで125ccエンジンはいい。ダートでも遊べる。これから増えてほしいサイズだね」

肝心の遊びはというと、土の上ならやっぱりKLX125だ。大きなギャップやジャンプ以外のコーナリングなら、ハンドルを突き刺すぐらい寝せて全開にしても楽々コントロールできる。これこそラージサイズのおもしろさ。舗装路で急激に寝せようとすると、寝過ぎるきらいがあるが、土の上の寝せ方ならちょうどいい感じ。舗装路で寝ようとする挙動が出るのは、乗り手が必要以上に急激に寝せようとするからで、車体サイズとパワーからしてそんなに力んで寝せなくても曲がっていくのだ。

一方のDトラッカー125は、やっぱり舗装路でリヤブレーキを積極的に使ってのタイトターンがおもしろい。フルサイズならトライに躊躇するような深いバンク角でのリヤスライドも、ノリノリでできてしまう。

基本的に両車ともコーナリングでは絶対にお尻を落とさず、アウト側のシートの角に荷重するようにしたリーンウィズで乗るといい。これは舗装路でもダートでも同じ。そうすれば外側の下半身(お尻から足裏まで)全体でホールドでき、バランスもとりやすい。前後左右への急激な体重移動はしないこと、抜重する範囲もステップの真上が基本で、ハンドルは絶対に引かないこと(バイクが股の下から抜けてしまう)。ハンドルは手のひらで軽く押して制御し、直安を出すためには足首やヒザを使ってニーグリップさせてやる。前後ブレーキのバランスがよく、ちゃんと効くから安心でもある。前後サスはけっこう伸び側減衰力が効いていて、車体を安定させてくれる。

……こんなコツをつかむと、街中が遊び場に思えてくるほど、Dトラッカー、KLXともに走らせるのがおもしろくなる。セカンドバイクには最適サイズ。バイクの乗り方、遊び方を再認識させてくれる。購入後のランニングコストも安いし、通勤にも便利。一家に1台、いかがです?

足まわり変更でふたつのキャラ

オフロードスタイルのKLX125とモタードスタイルのDトラッカー125は、エンジン、フレーム、ブレーキなどを共用。Dトラッカーは前後14インチタイヤ(F:100/80-14、R:120/80-14)で、フロントフォークにφ35mm倒立(ストローク150mm)を、KLXは前後タイヤにF:70/100-19、R:90/100-16を使い、Fフォークはφ33mm正立(ストローク175mm)だ

エンジンは4スト空冷SOHC2バルブφ54×54.5mmの124ccで、圧縮比9.5:1。最大出力は10.2ps/8000rpm。クラッチは3種類のフリクションプレートを採用し、耐久性とローノイズを実現している

スタートはセルのみ(エンジン背面に装備)。点火はデジタルCDI 。ミッションは5速。専用設計セミダブルクレードルのスチールペリメターで剛性十分。角断面のスイングアームもスチール製

 



 

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