絶版フラッグシップの誘惑 ~ホンダ CB1100F 1982~

掲載日:2010年04月26日 特集記事    

記事提供/2009年11月24日発行 絶版バイクス5


CB900Fがデビューしたのが1978年。そして1980年代を迎えたツインカムFはトップグレードに1100Fを追加。750F、900Fを大きく上回るエンジンパフォーマンスとFデザインの最終モデルとして、今も高い人気を誇る。


 

初代CB750KシリーズとツインカムFシリーズの大きな違いのひとつに、両車のマーケティング戦略の違いを挙げることができる。全世界750cc一本で貫いた初代に対して、2代目はまず最初に900F、次に750Fを登場させたことからも、国内市場だけでなく(というより国内市場よりむしろ)海外マーケットを重視していた。1969年からの10年間でインライン4エンジンを搭載した日本製大型バイクは世界市場を席巻し、ニューモデルに対する期待値は否が応でも高まらざるを得なかった。

 

そして海外マーケットの要望を組み入れて開発が進められた結果、ツインカムFでは出荷先に合わせた「欧州仕様」と「北米仕様」が誕生した。日本国内で販売されたCB750FCは、2眼タイプのメーターやジュラルミン鍛造のセパレートハンドル、ゴールドのブーメランコムスターなど欧州仕様とほぼ同様の装備を持つ。1100Rを除くFシリーズ最強のエンジンを搭載した写真のCB1100Fも欧州仕様で、カラーリングも含めて750FC仕様に比較的近い。

 

ところがこれが北米仕様となると、トリップメーターが独立したメーターやパイプハンドル、年式によっては角形ヘッドライトとクォーターカウル、コムスターではなくキャストホイール仕様などもあり、いわゆるツインカムFとは少々異なるテイストを与えられることとなる。

 

したがって現在の中古車市場でCB1100Fを探そうとするなら、大前提として欧州仕様か北米仕様のどちらを選ぶかを明確にすることが重要だ。一般的には欧州仕様に分があるようだが、個性的な北米仕様の根強いファンも少なくない。

 

2つのメーターとインジケータを統合したメーターパネルは、視認性とデザインを考慮されたもの。欧州仕様の1100Fはキロ表示で、最高速は240km/h。   ダウンチューブに標準装備されたオイルクーラーは、900Fよりサイズの大きな1100F専用品。ちなみに750Fにはオイルクーラーはない(750Fボルドールには900Fと同じパーツがオプションにあった)。   ホンダ独自で開発した、アルミピストンを持つVDキャブはゴム製ダイヤフラムを持たないのが特徴。トップカバー左上に見えるのは、燃料コックと別体で取り付けられた負圧コック。
前後ステップをひとつのプレートでマウントするステッププレートは、CBXと900Fで同時採用されたアイテム。年式とともに軽量化のための肉抜きが進む。   コムスター→裏コムスター→ブーメランコムスターと進化したホイールは、ゴールドアルマイトでゴージャスな印象を与える。左右のフロントフォークには、ブレーキング時の姿勢変化を抑制するブレーキ連動型のTRACを装備する。   750FCのリアタイヤは18インチだが、1100Fは17インチとなる。キャリパー後部のカバーはFCモデルになって、それ以前から延長されている。
750F、900Fがクロームメッキ仕上げなのに対して、1100Fのマフラーはは1100R譲りのブラックメッキ仕上げ。1100用だけあって出口口径も大きい。   リンクを介したチェンジ機構やゴムラバーが貼られたステップなど、細部の造りも凝った仕上がりだ。   ツインカムFシリーズのニューテクノロジーとして採用されたFVQダンパーは、伸・圧減衰の独立調整が可能。1100Fではリザーブタンク付きとなる。

 

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