【Page2】HONDA CB750K0 1969

掲載日:2010年03月31日 特集記事絶版フラッグシップの誘惑 ~ホンダCB750Kシリーズ ~    

記事提供/2009年11月24日発行 絶版バイクス5


「キング・オブ・ナナハン」の代名詞であり、今でこそ大人気絶版車の筆頭モデルであるCB750K0だが、ツインカムエンジンのCB750Fが登場した当時は、もはや旧車の仲間入りを果たし、市場では注目されない存在だった・・・・・・

 

69年式国内仕様は80km/hから上の表示がすべて赤文字だった。新車出荷時に取り付けられていたメーターは色褪せで全緑文字になってしまったため、数年前に長年温存していた、新品の純正国内メーターに交換した。 文字盤は当時としては斬新だったシルク印刷を採用。夜間走行時の美しさは、圧倒的だった。   サイドカバーエンブレムはK0のみダイヤカットバッヂ+ウイングマークだった。750の文字が誇らしげに感じる。   極初期のアメリカ向けは左ホーンだったが、完全量産を見据えた頃から細部の仕様変更が行われ、ホーンは右に移動した。好みでシルバーグレー色のケーブルを取り付けている。   購入当時は純正無番の通称「太芯」バッフルが組み込まれたマフラーだったが、後に限定生産された国内製新品無番マフラーに交換した。さすがに細部の作りが当時部品と酷似していてお気に入り。排気音が野太いのもイイ。
1本のスロットルワイヤーが分岐して4本になるK0専用キャブレター。70年モデルのK0後期から強制開閉式キャブレターにアップデートされている。   後端がピンとハネ上がったK0シートはファンが多い。当時の赤スポンジは圧縮に弱く形状が潰れてしまい不評だった。K1では量産性も考慮され、一体式発泡ウレタンスポンジが採用された。   スーパーカブとも同形状なテールランプを装備。ただし両サイドにはオレンジ色のリフレクターが付く。69年の新車登録当時のナンバープレートが付く。僕の愛車は2オーナー車。長年所有し続けてこられた理由が、このナンバー存続にある。  

今でこそCB750K0は、超がつくほど大人気な絶版車の一台である。しかし、僕が購入した当時は、特に人気が高かったわけでも無く、数多くのファンが新世代ツインカムエンジンを搭載したCB750Fシリーズに注目していた。

 

実は、僕個人が注目していたのも新型CB750Fで、ボルドール仕様と呼ばれる赤バージョンが限定発売された頃には、近所のバイク屋さんに展示されていた赤Fを、当時の愛車Z2に乗って何度も見に行ったものだった。81年になり、Z2からCB750Fに乗り換えようと思った時、CB750FはFAからFBへと進化。僕としては、ブルーメタリックのFの新車が欲しかったので、FBにブルーメタリックが無いと知ったときには大きなショックを受けた・・・・・・。

そんな当時、友人の紹介でめぐり逢ったのがCB750K1だった。HM300から弾き出される排気音は迫力満点で、見た目はボロなK1でも、僕の気持ちは一気に旧型CBナナハンへと移って行った。当時は新車の登録年から10年を越すと車検が2年から1年になってしまう制度があり、そんな関係で、数多くのCB750K0が中古車市場に出回った時期でもあった。そんな当時だからこそできたことだと思うが、その後、程度が良いCB750K0を「見つける→乗り換える」を繰り返し(しかも短期間で)、このCB750K0に出逢ってから、気が付けばもうすぐ28年になる。

 

カワサキZ1も魅力的な1台である。初代CBシリーズでは、Z1のパフォーマンスを超えることはできない。しかし、CBナナハンには、Z1とは明らかに違ったフィーリングやテイストがある。どちらの方が好きだといった好みは別にして、この頃の絶版車には現代のバイクには絶対に無い「強烈な個性」が、どのモデルにもある。僕は、この時代のバイクが大好きだ。そんな個人的な趣味嗜好が「絶版バイクス誌」のようなバイク雑誌を世に送り出そうとする原動力になっている。

 

CB750K0に乗ると「もうこれ以上なにも必要ない」といった気持ちになれるから不思議だ。チューニングやカスタマイズでも楽しめる1台だが、ドノーマルが一番個性的であり、尚且つ他のモデルでは味わうことができないライダーを高揚させてくれるテイストがある。

 

今、絶版車シーンで初代CB750シリーズが愛されている理由は、まさにそんな部分にあるのではないかと思うが、いかがだろう? 手放したくない素晴らしいバイクである。 (田口勝己)

 

購入以来、もうすぐ28年になる1969年モデルのCB750K0。20年前に車体をレストアし、10年前にはエンジンもフルオーバーホール。「将来乗れなくなっては困る」と本気でメンテナンスしたのだが・・・・・・

 

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