【Page4】エンジンコンディションの確認作業から始めよう。

掲載日:2010年03月12日 特集記事KAWASAKI Z1/Z2 延命治療    

記事提供/2008年12月1日発行 モトメンテナンス No.80

 

エンジンコンディションの確認作業から始めよう。
目で見て確認できるコンプレッションチェッカー。

絶版旧車ともなると、どんな状態が好調で、どんな状態が不調なのか・・・・。よくわからないまま乗っているマシンオーナーは数多い。そんな際には、まずは実圧縮圧力=コンプレッションを測定し、おおかたのエンジンコンディションを把握することもできる。

 

コンプレッション測定は、エンジンをしっかり暖機運転した後に実施するのが正解である。エンジン暖機を終えたら測定シリンダーにテスターをセットし、スロットル全開状態でセルスターターを回す。ゲージの針が上昇しなくなったらセルモーターを止める。

 

今回利用したコンプレッションゲージは、数多くのプロショップで愛用されているNPA製。プラグのねじ山に締め付けるタイプのアダプターと、プラグ穴に円錐状ゴムのアダプターを押し付けて測定するタイプがある。

 

本格的に走り出す前に、必ずエンジンコンディションはチェックしておきたいものである。相手が30年以上も前の絶版車であり、仮に、エンジンが「調子良く感じられた」としても、それはあくまで錯覚!? だと考えた方が良いケースもある。

 

事実、整備済ということで購入した車両なのに、たいして走らないうちにトラブルに見舞われている実例も数多くある。特に、Z1/Z2シリーズの場合は、その「頑丈な作り」が逆に災いし、ダメージを受けていたり、明らかに間違った状態でも「走り続けてしまう」例が多いのだ。頑丈だからといって、すべてを過信した結果、取り返しのつかないトラブルに見舞われてしまった例もある。

 

そんな意味でも、まずは簡単に実施できる点検&メンテナンスは、あらかじめ実践しておきたいものである。

 

ここでリポートするコンプレッションテストは、エンジン本体のコンディションを知る上で有効な点検項目のひとつだ。このテストを行うことで、各シリンダーの実圧縮データを知ることができ、不調の原因がキャブレターなのか?それとも点火系なのか? 実は「エンジン本体だった」と判明することも・・・・・・

 

今回は、1番シリンダーのみ低い結果となったが、20年以上放置されていたエンジンであることを考えれば、数十キロ程度走行した後に、再チェックするべきだろう。バルブフェイスへのカーボン蓄積や開放していたバルブにサビが発生し(バルブの当たりが悪くなり)、一時的にコンプレッションが低下している可能性も否定できないからだ。ときにはピストンリングの合口が揃ってコンプレッションが低下することもある。

 

     

1番シリンダー

 

2番シリンダー

 

3番シリンダー

 

4番シリンダー

エンジンをしっかり暖機運転した後にスパークプラグ4本をすべて取り外し、1番シリンダーから順序良く実圧縮データを測定する。確実な測定を行うために、プラグ穴への押し付け式ではなく、プラグのネジサイズに合致したアダプターを接続し測定することをお勧めしたい。今回の測定でわかったことは、1番シリンダーのみ圧縮圧力が低く8kg/c㎡弱のデータを示した。その他の2~4番シリンダーは9kg/c㎡弱と、1番に対して約1kg/c㎡ほど高いデータを示した。このデータ差の原因が何なのか?現段階では不明だが、今すぐにメンテナンスやオーバーホールが必要なレベルではない。カワサキのサービステータを調べていませんが、今後走らせていくうちに回復する可能性もあると思う。まずは「現状データを知る」という意味で有意義なコンプレッションチェックである。

本誌のカワサキアドバイザー

 

グリーンワールド代表
大堀新二 Shinji OHHORI

モトメンテ本誌におけるカワサキ絶版車系アドバイザー。70年代はカワサキ直系サービス部門でメカニックを務め、西明石本社工場勤務当時はノックダウン業務やプロダクション経験を持つ。現在はショップ対応をメインにしたカワサキ絶版車プロショップを主宰する。Z企画でも様々なアドバイスをいただくことになった。

 

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