大排気量スポーツを変えた
驚異のスーパーマシン
いつの時代も、ライダーにとって大排気量のハイパワーマシンは憧れです。各社よりフラッグシップモデルとしていくつかのマシンがラインナップされていますが、その中でも最も人気のあるモデルといえば、やはり「GSX1300R隼(以下隼)」です。1999年に発売されたこのバイクは、発売当初のスペックで175psという驚異的なパワーと、空力を追求した個性的なスタイルで、世界中で大きな注目を集めました。特に最高速ではギネスブックに「量産バイクで最速のモデル」として記録されているほど。あまりの高性能ぶりにヨーロッパで安全性への懸念が持ち上がり、300km/h以上の速度を構造上出せなくする規制がはじまるきっかけにもなりました。また、これだけの高性能バイクが登場したことは他メーカーの情熱に火をつけるきっかけともなり、このカテゴリの活性化にもつながりました。今では隼なみの高性能バイクも増えましたが、それに負けじと2008年にフルモデルチェンジ。現在でも隼は世界最高クラスの性能を誇っています。
あまりの高性能と、伝説ともなった最高速にばかり目がいってしまいますが、隼の最も注目したいポイントは、「ハイスピードツアラーとしての実力」です。記録的な最高速を実現するエアロダイナミクスボディと、世界トップクラスのハイパワーによるクルージングは快適そのもので、追い越しなどでストレスを感じることもほとんどありません。また、見かけ以上に積載性もよく、タンデムシートも座面が広くグリップも装備されているため、ツーリングバイクとしての実力は水準以上。また、サスペンションやブレーキなども高性能なものがおごられているため、旅先のワインディングロードも快適に楽しめます。圧倒的パワーのスポーツバイクとしての印象が強いのですが、実際に乗ってみるとツアラー的な側面も持っているのが隼の魅力。高速道路をメインとしたハイスピードツーリングを楽しむなら、最適な選択肢の一つと言えるかもしれません。
S-DMS切り替えスイッチ 2008年以降の隼は、ハンドルのS-DMSスイッチで出力特性の変更が可能。簡単なボタン操作で、フルパワー走行からマイルドなクルージングまで自由自在です。 |
| 圧倒的なブレーキ能力 ヨーロッパなどアウトバーンなど、超高速域からの制動を可能とする高いブレーキ性能を持っています。もちろん、強力なだけでなくコントローラブルなセッティング。 |
| 視認性のいいLEDテールライト テールカウルは日本の鎧兜をモチーフにデザインされています。デザインコンシャスなだけでなく、昼間・夜間ともに被視認性が良好で安全性を確保しています。 |
| 積載性のいいタンデムシート タンデムシートと荷かけフックのバランスが良く、たくさんの荷物を積んだ際も驚く程の安定感。実用性の高さも特徴。シート下は書類などの収納スペースに。 |
最高速戦争の口火を切った黒い怪鳥
長きにわたって世界最速の座を守ってきたZZRシリーズから、その座を奪ったマシン。このモデルの登場が、後の隼やZX-12Rなどへ繋がっています。徹底的に研究されたエアロダイナミクスボディと、ビギナーでも扱いやすいエンジン特性で、数多くのライダーから支持されました。最高出力を自主規制にあわせた国内モデルも一時ラインナップされていたため、現在でも手に入れやすく維持も容易。ツーリングバイクとしての需要の高さも特徴です。
「世界最速」を争ったライバルマシン
CBR1100XX、GSX1300Rと相次いで発表された世界最速クラスのバイクに対抗するべく開発された、カワサキのフラッグシップモデルです。新開発のDOHC並列4気筒水冷エンジンとラムエア加圧により、最大出力は181psを達成。カワサキの航空部門による空力デザインと組み合わされ、圧倒的な動力性能を実現していました。また、高速性能だけでなくコーナリング能力も優秀。ツアラーというよりもスーパースポーツ的な味付けが、通なライダーに支持されていました。
元祖世界最速バイク
CBR1100XXが登場するまで、長きにわたって世界最速の名をほしいままにしていたのがZZR1100。今見ても色あせない先進のエアロボディと、扱いやすいニュートラルなハンドリングは決して昨今のモデルに劣るものではありません。また、大人気モデルであったことから多数のカスタムパーツが発売されており、生産終了から約10年を経た今も新パーツがリリースされることも。乗るだけでなく、いじって楽しむライダーにとって最高のメガスポーツと言えるでしょう。
個性的ルックスのハイスピードツアラー
ZZR1200は世界最速のスポーツバイクだった先代とは異なり、ハイスピードツアラーとしての特徴を強く打ち出しました。オーソドックスな装備と個性的なルックス、ZZR1100からの大幅なキャラクター変更で、好みの分かれるモデルとなっていましたがツアラーとしての実力は一級品。ライダーを疲れさせないクルージングには定評があり、ツーリングバイクとして高く評価されています。また、歴代ZZRシリーズの中では比較的中古価格が安価で、手に入れやすいモデルでもあります。