『SPORTMAX Roadsport2』が新手法と素材でしっかり進化の画像

『SPORTMAX Roadsport2』が新手法と素材でしっかり進化

  • 取材協力/住友ゴム工業株式会社  取材・文/松井 勉  撮影/真弓悟史  構成/バイクブロス・マガジンズ
  • 掲載日/2018年4月27日

ダンロップのプレミアムスポーツラジアル『SPORTMAX Roadsport2』。そのハンドリング、グリップ指向のキャラクターを造り出す新たなアプローチは、ダンロップのタイヤ造りの新しい1ページを開いてきた。ビッグネイキッドからミディアムスポーツ、そしてスポーツツアラーなど多くのモデルが採用するど真ん中サイズである120/70 ZR17、180/55ZR17を、BMWモトラッド製ネイキッド、R1200Rに履いてテストに出かけた。

分割式からレイヤードに変更したトレッド
深層で暖め表層のグリップをさらに活かす着想

ダンロップの新作『SPORTMAX Roadsport2』は、新たな着想で造られたタイヤだ。スポーツ系ラジアルタイヤの多くが分割式トレッドを用いるのに対し、SPORTMAX Roadsport2は、表層と深層という2層にトレッドコンパウンドを分け、新たなアプローチでライフ末期までグリップを安定した性能を発揮するタイヤに仕立てているという。

その背景にあるのが、新開発のトレッドコンパウンドだ。低温時やウエットグリップ性能向上に欠かせないシリカとの結合性を助ける新たなポリマーを採用したことで、路面密着性をより向上させ、コンパウンドをトレッド表層に採用。そのタイヤ内側、つまり深層には、回転や路面接触などでトレッドが変形する時に発熱する特性に優れたレース用微粒子カーボンを採用したコンパウンドのゴムを使用。言わば「自己発熱タイヤウォーマー内蔵トレッド」とも言える二層構造を造っているのだ。

この二層コンパウンドを活かすため、タイヤの構造部材もチューニングされている。リーンアングルによって接地面が最適に変形するよう緩く編まれたスチールコードが採用されたことで、グリップ能力や耐久性向上に貢献している。

実際に走ると、交換直後からしっかりと路面の様子がわかる。街中を走る分には運動性と安定感のバランスも上質。交差点を曲がる時でも鋭過ぎない軽快さが印象的。その性格は高速道路でも同様。スポーツツーリングタイヤとしても高い満足感を与えてくれそうだ。さらに、ワインディングでの旋回性と舵の入りの絶妙なバランス感がとてもいい。さすが名は体を表す、だ。ライダーが大きく体を動かさなくても軽快にライディングを楽しめる。

ブレーキング時のスタビリティーも充分。「緩く編まれたスチールコード」に走りの緩さは微塵もない。まるで巧くなった気分でワイディングを堪能できたし、バイクそのものがワンサイズ小ぶりになったような一体感が楽しめた。まさにタイヤの効果と言える。これがSPORTMAX Roadsport2が持っているキャラクターのようだ。

リーンも舵角も意のままに呼び出せる!

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回り込む上り右コーナー。ローシートが標準のR1200Rだと、こんな場面でやや前輪荷重を意識する必要があるが、このタイヤだとリーンすると同時に転舵、その後もグリップ感が途切れないので安心して楽しめる。アクション少なめでもしっかり曲がる印象が嬉しい。

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長い左コーナーは山側の斜面でややブラインド気味。こんな場面でしっかり外側ラインをキープして進む方向の視界を大きく確保しながら走るライントレース性も抜群。内向性がウリのスポーツタイヤもあるが、前後の旋回性が見知らぬ道でもコントロール次第で引き出しやすいタイプのタイヤだけに、ツーリングやワインディングルートが楽しい。

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前作よりもタイヤサイドに向けてプロファイルを立てた形状となっている前輪。寝かすほどにタイヤの縦方向の接地面が増えるようなイメージだ。ワインディングレベルではニュートラルステアが印象的で、峠道でもバンク時の手応え感もしっかり味わえる。ネイキッドでも走りの充実感を得られるチューニングだ。

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トレッドパターンデザインは前作のDNAを引き継いでいるが、溝の長さ、グルーブの配置などを見直している。同じリーンアングルだと、接地面が広くなり、接地面圧が均一になるようホイールと接するビード部を含むタイヤの構造、トレッドゴムのコンパウンド特性など全体でチューニングしている。

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タイヤテストはオモシロイ。開発のビハインドストーリーを聴くと、このタイヤで新境地を開いたことが解る。そんな2018年春、2輪取材ライターとして最近の自分の新境地としては、タイヤはバイクライフを彩る華、乗り味のコスメであり、惑わす魔性でもある。オススメは最新もの。結果的にコスパが高いと思うからだ。

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高速道路では基本的にスムーズな乗り味。大型トラックが痛めつけた路面のデコボコのいなし方もまずまず。セミアクティブサスペンションを装備する最新のR1200Rでは、時折ガツンとショックが来る場面もあるが、サスペンションをパーソナライズすればバランスが取れそうな印象だった。

住友ゴム工業株式会社

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1909年創業の日本の老舗タイヤブランド。1913年には「自動車タイヤ国産第一号」を生産したことでも知られている。現在は二輪から四輪、産業用まで、幅広いタイヤを製造・販売している。