バイクに乗っている時はきれいに見える街の道路にも、止まって凝視してみれば、路肩を中心にクギやネジや金属片など、タイヤがパンクする原因となるゴミが数多く落ちていることに気づく。これを見ると、パンクというアクシデントを避けて走ることは、不可能に近い気もしてくる。
実際、ロードレスキューサービスを手がけるJAFの発表データによれば、平成24年度にバイクレスキューで出動した7万1,962件のうち、約13%に相当する9,467件が、タイヤのパンクによるもの。バッテリー上がりに次ぐ第2位となっている。
アウテックスが販売する『パンクディフェンスキット』は、そんなパンクに対する不安を大きく削減してくれる、バイク乗りにとっての心強い存在だ。タイヤやホイールに関して、アウテックスは独自の視点で商品開発を行っており、スポークリムをチューブレス化する『チューブレスキット』は、累計販売数1万セットを超える実績を持つ。それだけユーザーの要望と期待に応えているということだ。
今回、約1年の開発テスト期間を経てようやくリリースされたパンクディフェンスキットは、パンクしてから修理するのではなく、事前に施工しておくことで、異物が刺さったタイヤから空気が抜けるのを抑止してくれるアイテムだ。
つまりこれを使っておけば、わざわざパンク修理キットを携帯する必要がなく、また近くにバイクショップやガソリンスタンドがない場所で何か刺さってしまったとしても、パンクしないので、ツーリングや移動を続けることができるのだ!
パンクディフェンスキットは、チューブレスタイヤにのみ対応している。そのシステムは、タイヤの裏側に3層構造の特殊なシートを貼っておくと、異物が刺さった際にこの粘着シートが穴を塞ぎ、空気が漏れるのを防いでくれるというもの。これにはオーリンズ製リアサスペンションのガスタンクからもヒントを得ている。通常、ガスタンクに窒素ガスを注入する場合はバルブを使うことが多い。しかしオーリンズは、バルブの代わりに特殊なブッシュを使用し、窒素ガスは注射針をブッシュに刺して注入する。10キロ圧以上の高圧で注射針を抜いた後でも、ガスは漏れないのだ。
アウテックスによれば「テストのために直径8mmのマイナスドライバーを刺してみたが、抜いた後もエア漏れは確認できなかった」と言う。公道でパンクの要因となりやすいクギや細いネジであれば、まったく問題無いことになる。
もっとも、あまりにも太い異物が刺さった場合には、パンクディフェンスキットがしっかり機能した場合でもタイヤ交換をお薦めする。これは、異物によりタイヤ内部のカーカスという素材が傷ついて、タイヤが本来の機能を発揮できなくなる可能性があるからだ。
一方で、細いクギやネジが刺さった場合には、その後も同じタイヤを使い続けて問題無し。再びまったく同じ場所に異物が刺さる可能性は天文学的な確率だろうが、以前と近い場所に異物が刺さっても、しっかり機能してくれる。
施工は、タイヤ裏側をシリコンオフなどで下処理し、粘着しやすい状態にしてからシートを貼っていく。異物が刺さる可能性が高いエリアをしっかりと守れるよう、タイヤ幅によって推奨サイズが決められている。
シートは、まず両側を貼り、そこから中央に向けて貼り付けていくときれいに装着できる。多少のシワがあっても機能的には問題無し。また、シートは短いモノを複数つなげて貼るようになっているが、このつなぎ目や重なり部分に異物が刺さっても、エアが漏れることはない。
アウテックスがこの製品を開発した理由のひとつは「僕自身、これまでパンク修理を何度も失敗した経験があったから」と中島社長。パンクは“修理する”ではなく“させない”というのが、これからのトレンドだ!
粘着シートをタイヤに装着するため、ハンドリングへの影響を気にするライダーも多いと思うが、プロライダーがサーキットテストなどを繰り返し、液状のパンク防止剤と比較しても影響が無く、上級ライダーの限界走行でもキット施工による差がほとんど感じられないことは確認済み。限界を追求することがまずない公道走行では、キットの施工に気づかないライダーがほとんどだろう。
ちなみに、タイヤがホイールに装着された状態で内部に流し込む液状のパンク防止剤と違って、タイヤの裏側に装着するパンクディフェンスキットは、ホイール自体が液剤で汚れることがない。穴を塞ぐために一定の回転(遠心力)が必要ということもなく、さらに長期間そのままでも、ホイールが錆びて使い物にならなくなり、まさかの出費に嘆く、という心配もないのだ(パンクディフェンスキットの“パンクさせない”効果は、アウテックスが撮影したテスト動画をご参照ください)。
また、4輪タイヤでは“パンクしても走行できる高性能タイヤ”としてランフラットタイヤがある。これは、空気が抜けてもサイドウォールに持たせた強度や内部構造によってタイヤが潰れるのを防ぎ、“空気圧ゼロ状態でも所定の速度で一定の距離を走行可能”なスペアタイヤ(緊急用)という位置づけ。じつは、パンクディフェンスキットは2輪のみならず、チューブレスタイヤであれば4輪にも自転車にも施工可能で、もちろんその効果は同じなのだ。
また耐久性も気になるところだが、シートに使われる素材は屋外使用時でも耐候性や耐摩耗性に優れており、それを紫外線にさらされることがないタイヤ内部に装着することから、十分な耐久性が期待できる。なお、真夏の炎天下でサーキット走行を行った後でも、粘着力などが劣化しないことも確認されている。
パンクディフェンスキットを装着したタイヤに、キリや刃物などで穴を開けてみるテスト動画。
パンクディフェンスキット施工後、タイヤにキリで穴を開け、シャシーダイナモマシンで6速全開テスト!
自分でパンクディフェンスキットを装着する場合、その施工方法はこちらの動画で詳しく知ることができる。
パンクディフェンスキットを施工したタイヤをホイールに装着し、その内部がどうなっているかを撮影。
ネジ山のあるスクリューを、パンクディフェンスキットを施工したタイヤに刺してテスト。
クギが大量に刺さった板の上を、パンクディフェンスキットを施工したタイヤで走行してみた。
製品購入時は、タイヤ幅ごとに設定された基本サイズを選択。これで、異物が刺さりやすいエリアの95%程度をカバーできる。さらに保護範囲を広げたい場合は、その両サイドに細いシートを貼って対応する(オプション)。
このオプションは、パンクディフェンスキットのシートをもう1枚購入し、カットして使用する。たとえばタイヤが17インチの場合、長さ350mmのシートを合計で6枚購入することになる。両側のシート幅はタイヤサイズや偏平によって決まるので、ライダー自身がタイヤを確認して決めるか、不安であれば施工代理店、又はアウテックスに相談して決めるのがベターだろう。
参考まで、幅150mm×長さ350mmの幅を「12」で割ると幅12.5mmのシート、「6」で割ると幅25mmのシートを両サイドに貼ることができる。
※スポークリムの車両は、まずチューブレス化が必要です。
タイヤのサイズによって必要なキットも価格も異なる。自分で施工できない場合はプロにお願いすることも可能。詳しくはOUTEXの公式サイトでチェック。
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パンクディフェンスキットのほか、クリアーチューブレスキットやステムスタビライザーなど、オリジナリティ溢れるアウテックスの商品をチェック。
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