現役のマン島TTライダーが驚く再現度!! マン島TTオフィシャルビデオゲーム 『TT ISLE OF MAN Ride on the Edge』
掲載日/2018年05月15日
取材協力/オーイズミ・アミュージオ 
取材・撮影・文/淺倉恵介  構成/バイクブロス・マガジンズ

モータースポーツの生まれた国、イギリスで100年以上続けられてきた歴史の深い公道レース、それが『マン島TTレース』。市街地を時速300キロを超えるスピードで駆け抜ける、世界で最も過酷とも言われるマン島TTレースを忠実に再現したビデオゲーム『TT ILE OF MAN Ride On The Edge』が登場。そのリアルな世界観を、現役のマン島TTライダーがインプレッション。驚愕の完成度をリポートする。

コース再現度、グラフィック、サウンド、全てにこだわり
マン島TTレースにバーチャル参戦できる!!

世界最古の公道バイクレース、ライダーであれば一度は憧れるマン島TTレースを完全再現したビデオゲーム『TT ISLE OF MAN』がリリースされた。いままでにないリアルなバイクゲームとして話題のタイトルだが、どれほど“本物”に近いのだろうか? 現在、唯一の日本人マン島TTレーサーである山中正之選手を招き、『TT ISLE OF MAN』をプレイ。実際にマン島を走っているライダーに『TT ISLE OF MAN』のリアル度を評価してもらうことにした。

マン島TTレースを、臨場感たっぷりに再現した『TT ISLE OF MAN』。画面右にはタコメーターとギアポジションが表示、その上には「324km/h」の速度が表示されているが、実際にこのレベルのスピードで走るのがマン島TTレースだ。

ビデオゲームで遊ぶことは、あまりないという山中選手。余計な先入観を持たないように、基本操作のレクチャーだけを受けプレイしてもらった。マシンは実際にマン島TTで使用しているホンダCBR600RRをチョイス。操作に慣れていない最初の頃こそ転倒を繰り返していたのだが、早々にコツを掴んだ様子で軽快に走り出した。

右が山中正之選手。国際ライセンスライダーとして、全日本選手権、アジア選手権、鈴鹿8耐などで活躍。現在、日本人でただ1人マン島TTレースを走るライダー。2017年はSuper Sport TTクラスで見事完走。2015年にはマン島TTと同コースで行われるマンクスGPのニューカマークラスで2位入賞。日本人ライダーとしては、40年ぶりにマン島の表彰台に上がった。左は、今回の取材でお世話になった『TT ISLE OF MAN』の販売元オーイズミ・アミュージオのPR担当、佐藤 人さん。

ストレートでは全開加速!! 次々と現れるコーナーを華麗にクリアと、なかなかの腕前だ。だが、ここで疑問が浮かんできた。『TT ISLE OF MAN』は難易度が低いお手軽なゲームとはいえない、普段ゲームをしない人のプレイとしてはスムーズ過ぎるのだ。なぜ、それほど上手く走ることができるのかと訊ねてみた。

「コースを知っていますからね。ストレートの長さや、次のコーナーのアールがわかっていますから、それに合わせて走ればいい」

これがどれほど凄いことなのか理解できるだろうか? 山中選手はマン島のコースを熟知している。その山中選手が、現実でマン島をレーシングスピードで走る時と、『TT ISLE OF MAN』のゲームをプレイする時の感覚がほぼ一致しているということだ。これは、マン島TTが行われるマウンテンコースのレイアウトがゲーム内で忠実に再現されているということ、そしてマシンの加速感や速度感も実車さながらに再現されていることを証明しているのである。

『TT ISLE OF MAN』は、プレイ内容を記録してのリプレイ機能も装備。美麗なグラフィックは、まるでレース中継を見ているようだ。プレイ中でもリプレイ中でも、画面をキャプチャして、お気に入りの走行シーンを残すことができる。左の画像は、山中選手のマン島TTレースでの走行シーン。マン島名物のジャンプスポットで撮影されたもの。右は『TT ISLE OF MAN』で同じポイントをキャプチャしたもの。再現度の高さに驚くばかりだ。

「スピード感の再現が素晴らしいですね。景色の流れ方が、実際に走っている時と違和感がありません。コーナーも実際のコースに忠実ですが、アップダウンが分かりやすいのがいいですね。マン島は結構高低差があるんですが、それが再現されていますし、コースを知っている自分にとっては受け入れやすいです」

ちなみに、マン島のマウンテンコースは1周約60キロ、コーナーの数はおよそ230カ所。その全てが頭に入っていて、身体が覚えているという山中選手も凄い。

「バイクから見える景色も、実際の風景が再現されていますね。目立つ建物の形とかそのままですし、このストレートは住宅街の中だとか、このコーナーの外側は石積みの壁だとか、本当にマウンテンコースを走っているみたいに感じます」

コースレイアウトだけでなく、周囲の風景まで完全再現を目指しているのだ。重ねて言うが、マン島のコースは1周60キロ。そのこだわりには驚きを禁じ得ない。

そうこうするうち、プレイを続ける山中選手が「この辺り、路面が悪いんだよなあ……」と、つぶやいたのだが、その直後モニタの中のマシンが小刻みに振動を始めた。路面状況までもシミュレートしているのだ。かつて、ここまでリアルさにこだわったバイクゲームが存在しただろうか……。

市街地を疾走するマシン。街の風景は実際のマン島そのもの。プレイヤーの視点は、3段階で切り替え可能。これは、実際にバイクに乗車した時のライダーの視点を再現したもの。

ここで、山中選手にはヘッドホンを装着してもらった。ヘッドホンを使用すると、よりリアルなサウンドを楽しむことができるというのだ。すると、プレイを再開した山中選手の表情が変わった。

「凄いっ! これ、CBRのエンジン音ですよ!! CBRの音がします。レブらせた時の音や、スロットルをオフでのアフターファイヤーもそのままです。他のバイクを抜いた時や、抜かれた時の音もリアルですねえ。ヘルメットの風切り音まで再現されていて、速度が上がると風切り音も大きくなる。凄いなあ。これ、絶対ヘッドホンを着けて遊んだ方が楽しいですよ!」

ヘッドホンを装着してのプレイでは、リアルなサウンドに山中選手も大興奮。バイクを変えると、走行音も変わるのが楽しい。

『TT ISLE OF MAN』はサウンドも徹底追求。音質や音色については専門のサウンドエンジニアが参加して作られているのだという。とにかく、全ての面で乗車感のリアルさを追求しているのだ。

山中選手も『TT ISLE OF MAN』の再現度には驚かされている様子。そんな『TT ISLE OF MAN』だが、現実のマン島TTレースと違う部分はないのか? と、いじわるな質問をしてみたところ、しばらく考えた後にこんな答えが返ってきた。

「そうですね……。街中のコーナーなどでは、コース脇にクラッシュパッドがありますよね? 実際は、あんなに綺麗に並べられていないですね。そのあたり、マン島は大雑把なんです」

もう笑うしかない。『TT ISLE OF MAN』は、我々一般ライダーがマン島TTを体験する、唯一の手段なのかもしれない。

オフィシャルゲームだから実在のライダーとマシンが登場
豊富なコンフィグレーション機能も魅力

『TT ISLE OF MAN』は、クイックレース、タイムアタック、キャリアと、3つのゲームモードを用意。

クイックレースモードでは、選手、コースを自由に選択して気軽にレースが楽しめる。マン島TTレースのオフィシャルゲームだから、自在するトップライダーやマシンを選択可能だ。

タイムアタックモードは、各コースに単独で挑戦。コースレコードを目指すストイックなモードだ。

キャリアモードでは、作成したアバターで様々なレースに参戦。好成績を残すことで、チームからのオファーや、スポンサーフィーを獲得。実績を積み上げ、最終的にはマン島TTレース優勝を目指す。現実のマン島TTレースも、走りたいからといって走れるものではない。マン島TTレースを走るスキルがあると認められるライダーのみが、主催者から招待を受けるレースなのだ。山中選手も、公道レースで実績を積み、マン島TTレース出場権を獲得している。

クイックレースモードでのライダーとマシンの選択画面。選択されているのは、マン島のレジェンドライダーとして知られるジョン・マクギネス選手。マン島TTレースで23勝をあげている強豪。選択可能なライダーは20人以上で、バイクは40種類を収録。

マシンは好みのセッティングに仕上げることができる。豊富なパラメータ調整を持ち、実車のレーシングマシンさながらの緻密なマシンセッティングが可能なのだ。

キャリアモードでのアバター製作時には、ライディングギアも自分好みのアイテムが選べる。登場するアイテムのメーカーも、バイク同様に実在する世界一流ブランドが揃う。

マン島TTレースで使用される、マウンテンコース以外の公道レースのコースも収録。様々なシチュエーションでのレースを楽しめる。

キャリアモードでは、レース結果によってマネージメントからのメールが届く。リザルトが全ての、厳しいプロライダーの世界を疑似体験することができるのだ。

マン島TTレースは、1台1台スタート時間をずらして走行するタイムアタックレースだが、『TT ISLE OF MAN』ではプレイモードによって複数台で争うレース形式も楽しめる。また、マルチプレイ機能も装備し、最大8人でタイムを競うゲームモードも装備。また、ネットワーク上のランキング争いにも参加できる。

マン島TTレースオフィシャルゲーム『TT ISLE OF MAN Ride On The Edge』はPlayStation(R)4専用ソフト(PS4 Pro対応)。価格は通常パッケージ版(6,980円+税)、ダウンロード版(6,980円・税込)。さらに、豪華なボックスケースと、2017年大会のレース映像ドキュメンタリー『マン島TTレース 2017』ブルーレイ盤が付属するデラックスパッケージ(9,680円+税)も完全数量限定でリリース。『TT ISLE OF MAN』をプレイして、レース映像を鑑賞。マン島TTレースの世界に、どっぷりと浸ろう。ダウンロードコンテンツとして、サイドカーレースモードも発売が予定されている。

山中正之選手は、2018年もマン島TTレースに参戦が決定。開催日程は現地時間の5月26日から6月8日、昨年以上の好成績を期待しよう。
詳しくはオフィシャルwebページ『山中正之Challenge』でチェック

【製品概要】
製品名/TT ISLE OF MAN(マン島TTレース) Ride On The Edge
ジャンル/モータースポーツレーシング
CEROレーティング/A(全年齢対象)
対応機種/PlayStation(R)4(PS4 Pro対応)
プレイ人数/オフライン 1-8、オンライン 2-8
希望小売価格/通常版 6,980円+税、デラックスパッケージ版 9,680+税

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