モリワキエンジニアリングからCB1100用4本出しフルエキゾーストシステムが登場
取材協力・写真/モリワキエンジニアリング  取材・文/淺倉 恵介  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2016年1月20日

モリワキエンジニアリングから、CB1100用のショートタイプ4本出しフルエキゾーストシステムが発表された。ノスタルジックなフォルムに、モリワキの誇る最新技術を惜しみなく投入。CB1100カスタムの世界に、実に魅惑的な選択肢が加わった。開発者のインタビューを交え、その魅力に迫る。

INTERVIEW

コンセプトモデルCB1100 Cafeのイメージを
忠実に再現したストリート用マフラー

日本を代表するレーシングコンストラクター『モリワキ』が、2014年に創立40周年を迎えた。長きに渡り日本のレース界を支え、数多くの高性能パーツを世に送り出し、カスタムシーンを盛り上げてきた同社が、アニバーサリーイヤーに合わせて1台のカスタムマシンを製作した。それが、ホンダCB1100をベースにカフェレーサーイメージにモディファイした『CB1100 Cafe』だ。

 

CB1100 Cafeの実車をイベントなどで目にした人も多いだろう。モリワキと言えば、日本を代表するレーシングコンストラクター。そのモリワキがテイスト重視のカスタムマシンを発表したことで、大きな話題となったことは記憶に新しい。だが、注目を集めた理由は意外性だけではなく、CB1100 Cafe自体の完成度の高さにあったと言えるだろう。一流は、何をやっても一流。そういうことなのだ。

 

そのCB1100 Cafeに装着されていたのが、ショートタイプの4本出しマフラーだ。往年のレーシングマシンを思わせるフォルムが実に魅力的で、こんなマフラーが欲しい! というユーザーの声がモリワキに殺到した。

 

「弊社としても、CB1100 Cafeのマフラーを製品化したいと考えていましたし、お客様からのご要望は心強かったですね」

 

そう語るのは、モリワキの妻鹿 輝樹(めが てるき)さん。同社でマフラー開発を統括するエンジニアだ。妻鹿さんは、こう続ける。

 

モリワキ40周年を記念して製作されたコンセプトカスタムCB1100 Cafe。モリワキの若手スタッフが中心となって製作されたもの。レースだけではなく、広く深くバイクを知るモリワキならではの作。新作マフラーのRC Fourは、このマシンから始まった。

「CB1100 Cafeのマフラーをそのまま市販するのは、さすがに難しい。主に問題となるのが排気音量と走りのパフォーマンスです。ですが、特徴であるショートフォルムは絶対に崩したくなかった。ファッションだけのパーツではなく、マフラーとしてしっかりと機能させること。そこを両立させるために、開発には時間がかかりました」

 

開発は2014年の11月にスタート。完成までには1年以上の時間が費やされたという。理想のデザイン、求めるパフォーマンスを実現するまでには、数々の障害が立ち塞がった。

 

「例えば排気音です。4本のマフラーを独立させたままでは、単気筒エンジン4台分が回っているような音になってしまうんです。4本出しマフラー特有の、ドロドロッとした迫力あるサウンドにはなりません。バイパスパイプの位置をいくつも試して、4本出しらしいサウンドを追求しました。

 

パワー特性に関しては、最初からピークパワーは狙っていません。全体的にパワーの上乗せはしていますが、重視したのは常用域。高速道路で加速したい時、シフトダウンしなくてもスロットル操作だけで十分な加速力を得られるはずです。ラクに、気持ち良く走れる。どんなシチュエーションでも、余裕を持って走ることが出来るマフラーです」

 

また、ストリート用マフラーとしては、法規制に適合させることも大切。その点でも開発は困難を極めたという。ネックとなったのが排気ガス規制だ。現代のマフラーは触媒を内蔵し、排気ガスを浄化しているものが一般的。だが、触媒が機能するためには、ある程度の排気温度が必要で、4本出しでは排気の経路が4本に分散するため、排気温度が上がり難い。構造上不利な要素があったのだが、それもモリワキならではの高い技術力で克服している。

 

「始めはサイレンサーの近くに触媒を配置したのですが、それだと法規制に適合するまで排気ガスが浄化されず、性能も出ませんでした。いろいろと試した結果、ようやく満足いく性能が得られました。CB1100は、2013年モデルまでと2014年モデル以降で型式認定が異なります。アフターマフラーも政府認証を取得するため、別々に試験を受けて独自に認証を得なければなりません。苦労して開発した甲斐があって、マフラー本体は全く同じものですが、両方の型式で政府認証を取得出来ました」

 

こうした苦労を経ていよいよリリースが決定したのが、CB1100用のRC Fourだ。ノスタルジックなスタイリングに込められたモリワキの最新テクノロジー。歴史や実績に胡座をかくことなく、常に進歩を求めるモリワキ。その姿勢が結実したとも言える新しいコンセプトのマフラー、それがRC Fourなのだ。

妻鹿 輝樹(めが てるき)さん

1969年生まれ。4輪の部品メーカーでの開発者として活躍た後、2000年にモリワキに入社。レース用、ストリート用を問わずマフラー開発を担当。現在は開発部責任者という立場から、モリワキ製パーツの開発を統括する。

PICKUP PRODUCTS

ポリッシュとブラックの2タイプ
全てのCB1100に完全対応

RC Fourは、ポリッシュ仕上げのステンレスエディションと、ブラック塗装仕上げのブラックエディションの2タイプが用意される。現時点でのCB1100の全年式に対応するが、2013年までのモデルと2014年以降のモデルでは、純正マフラーの形状が異なりサイドスタンドの取り付け方式が変更されている。2013年までに生産された車両の対応品には専用サイドスタンドが付属するので、購入時には装着する車両の年式をしっかりと確認すること。

 

RC Fourのデリバリーは2015年2月予定。ただし、構造が特異なため大量生産は難しく、初期ロットの数量も限られるとのこと。確実に入手したいのであれば、一刻も早い注文をお薦めする。

※表示はすべて税抜価格です(2016年1月現在)

【RC Four, STAINLESS EDITION】 2010年~2013年モデル対応品(0181S-H41G1-R0)※専用サイドスタンド付属 価格22万9,000円(税抜)/2014年~モデル対応品(01810-H41G1-R0) 価格22万5,000円(税抜) 仕様 ■音量=近接94db/加速81db ■材質=ステンレス ■センタースタンド使用不可 ■装着状態でオイル/オイルフィルター交換可能 ■車検対応品(政府認証制適合)

【RC Four, BLACK EDITION】 2010~2013年モデル対応品(0181S-H01G1-R0)※専用サイドスタンド付属 価格22万9,000円(税抜)/2014年~モデル対応品(01810-H01G1-R0) 価格22万5,000円(税抜) 仕様 ■音量=近接94db/加速81db ■材質=ステンレス ■センタースタンド使用不可 ■装着状態でオイル/オイルフィルター交換可能 ■車検対応品(政府認証制適合)

サイレンサーには伝統のモリワキエンブレムが刻印される。サイレンサーシェルは単純なメガフォン形状ではなく、段階を経て径を増す複雑な形が持たされる。

1番-4番、2番-3番のシリンダーを、それぞれバイパスパイプで接続。パワー特性の最適化を図ると共に、4本出しマフラー独特のサウンドを追求している。

ヘッダーパイプは耐久性に優れるステンレス製。曲げ加工は機械式が選ばれているが、パイプのアールは大きく、優美な曲線を描いている。

エキゾーストパイプ内には触媒を装備し、法規制に適合するクリーンな排気を実現。純正O2センサーにも、しっかりと対応している。

ショートサイズのサイレンサーが4本並ぶ様子は実にスタイリッシュ。ビッグバイクらしい重厚感と、ヴィンテージレーサーを思わせるスパルタンなイメージが同居する。

単体で見ているだけでも、造形の美しさに魅了される。工作精度と品質の高さは折り紙付き。過剰品質とも言われる“モリワキクオリティ”は、脈々と受け継がれている。

BRAND INFORMATION

株式会社 モリワキエンジニアリング

住所/三重県鈴鹿市住吉町6656-5
電話/059-370-0090(営業)
FAX/059-370-0152(営業)
営業時間/09:00-18:00
定休日/土曜、日曜

1973年創業。マフラーやステップといったパーツだけでなく、エンジンチューニングパーツやオリジナルフレームまでラインナップする総合パーツメーカー。レース活動にも積極的で、2014年、2015年は全日本ロードレース選手権J-GP2クラスで2年連続のチャンピオンを獲得。代表の森脇護氏は名伯楽として知られ、世界GP500ccクラスチャンピオンのワイン・ガードナーをはじめ、多くの優秀なライダーを育ててきた。