取材協力/J-TRIPMoto Map SUPPLY   取材・写真・文/森下光紹  構成/バイクブロス・マガジンズ
掲載日/2017年12月13日

バイクの楽しさは、ただ単に走るだけではない。自分のライフスタイルにバイクが加わることで、それまでとはまったく違う世界が広がっていくのだ。それは愛車との関係が蜜になるほど深まり、様々な楽しみ方を発見する。そんなひとつに、メンテナンススタンドが一役を担うのだ。

愛車をより身近に感じるためのアイテム
そのひとつがメンテナンススタンドだ

スポーツバイクは「走る」ことを純粋に楽しむための乗り物。必要にかられて利便性や道具として選んだものではなく、自分の趣味に合った乗り味や性能を吟味して選んだ特別な存在だ。そこには当然かっこ良さというものがあり、バイクやバイク乗りは、第一にかっこ良くなければならない。それは子供の頃に憧れたヒーローが原点だったり、現実離れした主人公が乗っているバイクのワンシーンであったり、モトGPでのレースなのかもしれない。いずれにしても、人は何かに憧れて、その姿を自分に重ねているもの。ロマンチストな人種であるバイク乗りは、その典型だ。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

『J-TRIP』(ジェイトリップ)の製作するメンテナンススタンドは、愛車をメンテナンスしたり磨いたりする上で、とても有効なアイテムだ。もちろんレースの現場でも数多く使用されていて、その実力は折り紙つき。

しかし以前は「レーシングスタンド」と呼ばれたこのアイテムは、いまや特別な存在ではない。ライダーにとって、何よりも大切な愛車をかっこ良く演出し、より深く付き合うアイテムとして、重要な存在になりつつあるのだ。意識の高い趣味としてバイクライフを送るのなら、安定して愛車を保管し、点検も容易なメンテナンススタンドの存在は、当然気になるはずである。

ほとんどのスポーツバイクはサイドスタンドの装備が一般的。したがって常に両輪が接地しており、停止状態でホイールを回転させることはできない。洗車する際もこの点がネックとなるのだが、メンテナンススタンドはこの問題をすべて解消する。前後に装着すれば両輪が宙に浮き、安定した状態で保管できる上に、その直立した姿は実にスタイリッシュだ。さらに、車体が斜めにならない分、左右幅が詰められるので省スペースとなり、じつにスマートなのだ。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

J-TRIPのスタンドを装着するには、まず後輪から。最初にフロントブレーキを固定するのだが、専用アイテムとして「オリジナルブレーキロック」が販売されている。もちろん、どんな方法でもフロントブレーキがロックされていれば問題ない。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

まずはリア用のスタンドを装着。アクスルシャフトが中空構造なら、その中を通すシャフトを使用したアタッチメントで、メンテナンススタンドを使用するのが初めてのライダーでも不安なくスタンド掛けすることができる。J-TRIPでは「はじめてスタンド」と命名されたセットである。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

シャフトをスタンドにセットしたら、サイドスタンドの状態から車体を垂直に保ち、メンテナンススタンドの後端を足で押し下げる。前輪が固定されているので、スタンドに取り付けられたローラーが回転して車体を持ち上げ、スタンド掛けは終了する。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

「はじめてスタンド」のセットは、このシャフトを使用するアタッチメントだ。アクスルシャフト内を貫通するシャフトがあるので設置は簡単だが、後輪を取り外すことはできない。チェーンやホイールまわりのメンテナンス、洗車や保管等に向いている。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

スイングアームにフックボルトを装着できるバイクなら、フックボルトの部分に「V受け」と呼ばれるアタッチメントを取り付けてスタンドを掛けることができる。この方法なら後輪を取り外すこともできるので、より深いメンテナンス、タイヤ交換もできるようになる。よく見ると「V受け」には、車体に傷を付けないよう工夫がされている。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

片持ち式のスイングアームには専用のスタンドが用意されており、右持ち(主にBMW)や左持ち(主にドゥカティ)など、様々な車種に対応している。アクスルシャフト部分の内径には差があるので、同じスタンドでも多くのアタッチメントをラインナップしている。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

フロント用のスタンドは、リア用を装着後に行うことが前提となっている。車体を安定させてスタンドアップさせるには、まずリアからが基本だ。その上でフロントホイールを直進状態にして、ステアリングステムのアンダーブラケットを利用してスタンドアップする。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

アンダーブラケットはセンターの穴が13mm以上であることが条件だが、ほとんどのスポーツバイクに適合している。フロントフェンダーやアッパーカウルにスタンドを干渉させないよう、慎重にセットする。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

フロントスタンドの長さ(高さ)調整は12箇所ものセット位置から選ぶことができる。これは様々な車種に対応することはもちろん、同じバイクでもフロントフォークやホイールの変更など、微妙なセッティング変更にも対応するように配慮されているのだ。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

写真は全日本ロードレース選手権に参戦するチーム『Moto Map SUPPLY』のレーシングマシン。ライダーは今野由寛選手。鈴鹿8耐にも参戦し、3年連続ベスト10内でフィニッシュしている。

メンテナンススタンドの導入で新しいバイクライフが見えてくる

レーシングメカニックの畑中健太郎さん。J-TRIPのスタンドのヘビーユーザーである。まず何よりも操作性が優れていて、頑丈なことが大きなメリットだと語る。

「ライダーは前後輪がスタンドアップされた状態でバイクに跨がりますし、その上でライディングフォームもとりますから、弱いスタンドではダメですね。J-TRIPのスタンドは調整範囲も細かいので、車体のセッティングを変更しても対応できるし、頼りになります」

レースシーンでも一般ユーザーでも、スタンドに求める要素はほぼ同じである。それは、より深くバイクライフを見つめることになるだろう。かっこ良さはやはり、その機能美から生まれてくるものなのだ。

BRAND INFORMATION

住所/大阪府八尾市恩智北町1丁目62-1
電話/072-941-5151
メンテナンススタンドを作り続けて30年あまり。日々バイクをリフトアップさせることに関しての追求、製造業であることの強みを活かし、使用される現場やユーザーの声を素早くフィードバックし、常に進化を続けている。同社のウエブサイトでは、メンテナンススタンドの掛け方の動画などもアップされている。