ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ
取材協力/大阪単車用品工業株式会社  取材・写真・文/山下博央  構成/バイクブロス・マガジンズ
掲載日/2017年12月20日

ハンドルやフェンダーレスキットなどの看板商品でお馴染みのハリケーンから、ホンダCBR250RR用の各種パーツが販売されている。これら商品の一部は、じつはあるユーザーからの車両の協力もあって商品化されたもの。それはどんな経緯で商品化され、どんな商品に仕上がっているのか。商品の開発経緯の一端と合わせて紹介していこう。

FEATURE

ユーザーの声を反映した
ハリケーンの柔軟なモノ作り

2017年の話題のニューモデルといえば、ホンダのCBR250RRが挙げられる。近年の250ccスポーツモデルブームにホンダが放ったCBR250RRには各社からカスタムパーツがリリースされており、ハリケーンからもリアキャリアやフェンダーレスキットなどがラインナップされている。

今回紹介するのは、ハリケーンの商品ラインナップの中でもとくにユーティリティに秀でたアイテムで、じつはこれらの商品開発には一般ユーザーの協力が大きく貢献しているというのだ。

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

写真のCBR250RRは、今回取材にも協力してくれた『たると@CBR250RR(MC51)』さん(以下、たるとさん)が、通勤など日常的に使用している車両だ。パーツメーカーが商品開発を行う場合は車両を自社で購入するケースもあるが、バイクショップや一般ユーザーから車両を借りる場合もあり、この車両はハリケーンがたるとさんから借りて商品開発をし、その時に開発した商品がそのまま装着されている。

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

たるとさんは『たると@CBR250RR(MC51)』というアカウント名でツイッターを開設。CBR250RRの情報などを発信しており、2017年秋には関西地区でCBR250RR(MC22とMC51)のミーティングも開催した。

「通勤でスクーターを使っていましたが、250ccスポーツモデルが欲しくなって2014年に発売間もないCBR250R(MC41後期)を購入しました。ただ、通勤で使うことが多いため、どうしてもリアキャリアを取り付けてトップケースを装着したかったのですが、車両購入でお金を使い果たしてしまいました。そんな時に、以前クルマ好きの友人がパーツメーカーに車両を貸し出してパーツを提供してもらった、という話を思い出して会社の近くにあるハリケーンさんに直談判したのです。門前払いになるかもと思いましたが、真摯に話を聞いていただいて、またCBR250Rも当時人気車種だったこともあって話がスムーズに進み、パーツ開発のために車両を貸し出すことになったのです。そして今回は新たにCBR250RR(MC51)へ買い替えることになり、再びハリケーンさんに車両の貸し出しを申し出ました。」

ユーザーの声を伝えメーカーと
ウインウインの関係を構築

たるとさんの申し出はハリケーンにとっても有益なものだった。なぜなら、CBR250RRは当然人気が出ると予想されていたモデルであり、それを発売開始直後に借りられることになったからだ。

また、たるとさんは勤め先が近く、通勤で毎日使用するヘビーユーザーであり、商品の試作段階からユーザーの意見を商品開発に反映することができるなど、メリットも多かった。今回の商品開発でたるとさんの意見が大きく反映されたのがリアキャリアだったという。

「試作段階ではリアキャリアを着けてトップケースを装着すると、走行時の振動で大きく揺れてしまいましたので、その点を指摘しました。それを受けて、シートレールに固定してキャリア本体を支えるプレートを加工して強度を増す対策をしたようです。

また、最近はスマホをナビ代わりに使うケースが多いので、他のメーカーさんから販売されていたクランプバーを引き合いに出し、あれがあれば便利ですね、と話していたら、それも作ってくれました。私の意見を取り入れてくれて、すごく嬉しかったです」

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

ユーザーの意見を反映して装着プレートの強度を上げたリアキャリア(価格1万5,800円・税抜)は、トップケースの装着やバッグの積載に必要不可欠。CBR250RRのボディラインに合わせたコンパクトデザインとなっている。

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

たるとさんはGIVIのトップケースを装着するため、リアキャリアにトップケース装着用のベースを常時取り付けている。許容積載量は3.5kgで、装着にはインナーカバーのカットが必要。

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

スマートフォンなどモバイル機器の取付などに便利なクランプバー(価格2,300円・税抜)もリリース。

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

USB端子の接続ポートを内蔵したクランプバーUSB電源付(価格5,400円・税抜)もラインナップ。電源の取り出しに便利だ。

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

CBR250RRのステップ位置は、スポーティーなスタイルのわりに低く、操作性に違和感があったという。そのため、フレームと純正のステッププレートの間にステップオフセットプレート(価格1万円・税抜)を装着することで、最大47mmアップ、51mmバックなど、4段階のポジション変更を可能にしている。

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

リア周りをすっきりと演出するフェンダーレスkit(価格1万1,000円・税抜)は、アルミ製のベースに高輝度白色LEDライセンスランプと専用ハーネスが付き、純正ウインカーをそのまま取付可能となっている。なお、別途リフレクターが必要となる。

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

通勤や通学などの日常での使用では便利なリアキャリアだが、サーキット走行などを楽しみたい時にはちょっとカッコ悪い。ただ、リアキャリアは工具さえあれば簡単に取り外せるようになっている。

ユーティリティに優れたハリケーンのCBR250RR用カスタムパーツ

たるとさんはツイッターでCBR250RRに関する情報を発信するほか、個人が運営しているバイクの情報サイトにも、CBR250RRの情報を公開している。もちろん、今回ハリケーンでの商品開発の経過などもツイッターや情報サイトに投稿しており、同じCBR250RRに乗るフォロワーなどからも様々な意見、要望が寄せられたという。それらを集約してハリケーンに伝えるなど、単に車両を貸し出すだけでなく、商品開発に積極的に協力しているのだ。

「私個人としてもパーツメーカーの商品開発に関わってみたかったこともあり、当初は車両を貸し出して商品を無償でもらうことが目的でしたが、色々協力できハリケーンさんとウインウインの関係が構築できたことはとても有意義でした。また新車を買った際には、お役に立てるのであれば協力したいと思っています」

BRAND INFORMATION

HURRICANE(ハリケーン)
大阪単車用品工業株式会社
住所/大阪府東大阪市高井田本通3-3-6
電話/06-6781-8381(代)
営業/8:00-17:00
定休/日曜、祝日、第2・4土曜日
創業60年を越える老舗中の老舗。創業当初は補修用マフラーやキャリアなどのバイク用実用品を輸出メインで製造していた。1975年にハリケーンブランドを立ち上げ、カスタムパーツ生産へとシフトし、ハンドルバーや2stマシン用チャンバーに続いて、セパレートハンドルでも絶大な支持を得る。膨大なパーツラインナップを誇り、原付スクーターからビッグバイクまであらゆる車種をカバーし、痒いところに手が届く商品展開にも驚かされる。