取材協力/株式会社ユーロダイレクト 取材・撮影・文/淺倉恵介 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2013年11月13日

ブランド支持率調査で8年連続No.1を誇り、ヨーロッパでライダーから最も信頼されているグローブメーカーであるHeld。
歴史と伝統に支えられた高い技術と、貪欲に新技術を取り入れる先進性。ヨーロッパNo.1グローブブランドの秘密に迫る。

INTERVIEW

ユーザーから圧倒的な支持を受ける
ドイツの職人魂が宿ったグローブ

「一度使ってもらえれば解りますが、手のひらの感覚が実に自然なんです。“素手”とは言い過ぎかもしれませんが、“素手に近い”のは事実だと思います。ライダーの動きを考えた形で作られているので、操作性も抜群に高い。手首の返しやすさなどは特筆ものです。フィット感があって、疲れない。総合的にみて、実にバランスが良いグローブです」

 

そう語るのは、今回紹介するドイツのライディンググローブ、ヘルド(Held)の輸入元であるユーロダイレクトで店長を務める新村恭一氏。新村氏は現役のライダーとして、自らヘルドのグローブをテスト。街乗りからツーリング、サーキットに至るまで、様々なシチュエーションでヘルドのグローブを使用し、そのパフォーマンスに惚れ込んでいる様子だ。

 

ヘルドのグローブは、ドイツのバイク誌MOTORRADによるブランド支持率調査のグローブ部門で、8年連続で1位に輝いている。同誌のブランド支持率調査は、ユーザーからの投票によってのみ順位がつけられる公正なものとして知られている。同誌で高評価を得たブランドはMOTORRADが認定するBEST BRANDの称号が与えられ、商品のパッケージなどにも表記されるほど権威のあるものとされているのだ。そこで圧倒的な支持を受けているのがヘルドのグローブ、ここ数年は2位以下のブランドにダブルスコアで差をつけているほど、ユーザーからの信頼を勝ち得ているのだ。

ヘルドの創業は1946年、第二次世界大戦の終結直後のことだから、60年を超える長い歴史がある。当初は登山用のグローブメーカーとして発足したそうだが、ほどなくバイク用グローブの生産を開始。バイク用グローブが高い人気を集めたため、バイク用品専業メーカーへと転身。現在では総合ライディングギアメーカーとして、確固たる地位を築いている。数多くのラインナップを誇るヘルドだが、その中核をなすのはやはりグローブ。そのグローブが、多くのライダーから愛され続けているのは、当然理由がある。

 

「ヘルドの凄さを感じる部分の一つに、マテリアルの豊富さと、その使い方の上手さがあります。グローブには操作性、プロテクション性など様々な性能が求められます。ヘルドでは、グローブの素材に革、ファブリック、チタニウム、強化プラスチックなど様々なマテリアルを使用しています。操作性が重要な部分にはしなやかな素材を、プロテクションが重視される部分には強度に優れた素材を配置するわけですが、それが実に的確で”適材適所”といった感じですね。特に革の使い方は巧みです。

一口に革と言っても様々な種類があります。ヘルドでもカンガルーや牛、山羊など色々な種類の革を使用していますが、中には“アッ”と驚くような革も使われています。例えば、レーシンググローブに使われているスティングレイ・レザーです。これは魚のアカエイの革ですが一般的には財布や装飾品などに使われる高級素材です。軽くて非常に強度が高いので、プロテクション性は抜群に高いですし耐水性にも優れています。ですが、バイク用グローブへの使用例はヘルド以外で聞いたことがありません。革という素材を知り尽くし、良質な革を手に入れるルートを確保しているからこそのチョイスですね」

 

もちろん、ヘルドは革だけを得意とするメーカーではない。ファブリック系新素材の導入にも積極的で、防水透湿素材の最高峰ゴアテックスや速乾性に優れるクールマックスなども効果的に使用している。闇雲に革にこだわるわけではなく、良い物はどんどん取り入れる柔軟性と先進性も備えているメーカーなのだ。

 

ヨーロッパのライダーは、我々が想像する以上の長い距離をバイクで走る。広大なヨーロッパ大陸は気候も変化に富み、厳しい天候にもさらされる。そんなライダーにもライディングギアにもハードな環境で鍛えられたヘルドのグローブ。是非、一度使ってもらいたい。その価値はある。

PICKUP PRODUCT

すべては理想のグローブのために
性能最優先、妥協を許さぬ作り込み

ヘルドのグローブは、すべてのモデルが基本構造を共有する。象徴的なのが手のひらの部分、基本的に一枚革を使用する。これは、縫い目や素材の重なりを可能な限り減らし、グリップを握った時に、手のひらとの間に余計なものを存在させないようにとの考えによるもの。“まるで素手のような”と評される自然なフィーリングは、こうしたこだわりから生み出される。これは、カンガルー革を使用した最高級レーシングモデルから、ファブリック製のスタンダードモデルまで変わらない。ヘルドのフィロソフィーに基づくものだ。また、指の股にあたる部分にも一枚革を使用。わざと余裕を持たせた縫い方で、指が自由に動かせるように配慮されている。

 

縫製にも特徴がある。グローブの縫製で各メーカーの特色が出るのが指先。大きく分けて、縫い目が外に出ている「外縫い」と、縫い目が内側に隠される「内縫い」の二種類がある。縫い目が剥き出しの外縫いは、見栄えが悪く耐久性も劣るのだが、動きの自由度が高くレーシンググローブなどに採用されることが多い。内縫いは見た目がスッキリとして良いのだが、縫い目がグローブの内側に入り込むので、指に当たって違和感を感じることがある。ヘルドではレーシンググローブにも内縫いを採用している。革が重なり合うように縫い合わせることで、縫い目による違和感を解消。高い操作性を確保している。また、強度は高いが非常に手間のかかる、バックステッチで縫い合わせられている。コストがかかっても、性能で優れた製法を選ぶのがヘルド流。すべては性能が優先、安易なコストダウンには見向きもせず、真摯に物作りに取り組む。それがヘルドの哲学だ。


Titanのここに注目

高級素材スティングレイ・レザー

プロテクターに使用されているスティングレイ・レザー。非常に強度が高く、スライダー的効果も見込める。高価で加工も難しい、贅沢な素材

Tonaleのここに注目

ヒートパッドを使えば冬も暖かい

ヒートパッド(別売)で手首の動脈を暖めると、手全体を暖めることができる。ヒートパッドは繰り返し使用が可能、ミニタイプの使い捨てカイロも使用可能

Rodneyのここに注目

雨天時に便利なシールドワイパー

ヘルド製グローブの特徴のひとつであるシールドワイパー。シールドについた雨粒を効率良く拭きとることが可能で、雨天時の視界を確保する。

Heldのここに注目

快適で自然な操作感を追求

指の股の部分には、基本的に一枚革を使用。縫い目を設けないことで、違和感の少ない自然なフィーリングを実現している。指の自由度も高く、操作性にも優れる。

Titan(タイタン)

価格:36,855円

摩擦強度が高いカンガルーレザーとエイ革を使った、安全性と操作性を両立させたヘルドが生み出したハイエンドレーシンググローブ。カラーは4タイプ。

Tonale(トナーレ)

価格:15,750円

高機能素材を随所に用いて防水・防風に特化したウインターグローブ。手首内側にあるポケットには専用ヒートパットのほか使い捨てカイロが入れられる。カラーはブラックのみ。

Rodney(ロドニー)

価格:12,600円

パンチングレザーに加えてクールマックス(R)ライナーにより気温の高い季節も快適な操作性を実現。他のモデル同様にシールドワイパーも装備。カラーは2タイプ。

Sambia(サンビア)

価格:11,655円

スタンディングも考慮したオフロードグローブ。掌側はカンガルーレザーとスーパーファブリック(R)でプロテクト。操作性にこだわるライダーへ。カラーは2タイプ。

Short Race(ショートレース)

価格:15,540円

サーキットで育まれた高次元の操作性と安全性を実現しつつ、シティユースでも使いやすいショート丈のグローブ。カラーは2タイプ。

Tonale専用ヒートパット
2個セット

価格:2,100円

Tonale専用オプションのヒートパット。発熱時間は最大45分。使用後はお湯に入れることで再利用が可能になる。

Satu(サトゥー)

価格:15,750円

長時間のライドでも急な荒天でも快適さと使いやすさが持続するツーリング対応モデル。ゴアテックス(R)による完全防水が魅力。カラーはブラックのみ。

 

SHOP INFORMATION

ユーロダイレクト

「海外の魅力的なバイク用品を、1人でも多くのライダーに届けたい」をコンセプトに、主にEU圏内からの製品を輸入・販売している、海外バイク用品の専門店。WEB販売のほか、実店舗も構えている。

 

住所/千葉県市川市高谷1-3-11
電話/047-314-1138
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公式サイト/http://www.eurodirect.co.jp

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