KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック
取材協力/モトテックLLCKTM TOKYO EASTKTM NAGOYA
文/淺倉 恵介  写真/森下 光紹  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2017年8月30日

刺激的なエンジンのフィーリング、操安性に優れ自由自在にマシンを振り回すことができるハンドリング。KTMというメーカーは、ライディングプレジャーに満ちたバイクを作り出す名手だ。だが、車格が大きめで取り回し性に優れているとは言い難い。特に足つき性は、同クラスの国産車に比べれば良いとはいえない。そうした悩みを解消し、走りの楽しさも損なわない。そんな都合の良いカスタマイズを実現するパーツ。それが、アラゴスタのリアショックだ。

FEATURE

リアショックユニットが
KTMユーザーの悩みを解消!!

「KTMは素晴らしいバイクですが、やはり車格は大きめですし、ローダウンしたい......というユーザーさんからの要望は多いんです」

そう語るのは、KTM東京イーストの店長宮川和久さん。日頃、顧客と密接に触れ合うディーラーだからこそ、ユーザーが本当に求めているものを捉えている訳だ。

だからといって、安易な手法でのローダウンは勧められない。ローダウンすれば、単純に足つき性は向上する。だが、これが簡単ではない。シートのアンコ抜きをすれば、ハンドルとステップ、着座位置の関係性が変わり、操縦性をスポイルする場合がある。また、リアショックのストロークを減らしたタイプに変えると、本来必要とするストローク量が得られなくなることで乗り味を損なう可能性も高い。

ローダウンと走りの性能はトレードオフ、それがこれまでの常識。だが、そうした常識を覆したのが、アラゴスタのローダウンタイプのリアショックユニットだ。ここで開発にあたったアラゴスタモーターサイクルサスペンションを展開するモトテックの杉山祐一代表に登場してもらおう。

「アラゴスタでDUKEやRC用のラインナップはないのか? というお問い合わせは、以前からいただいていました。そこに宮川店長から、アラゴスタでKTM用のリアショックを作れないか? とご相談をいただいたんです」

KTMのスペシャリストと、サスペンションの専門家が組んだ強力タッグ。KTM用アラゴスタは、そうして生み出されたものなのだ。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

左がKTM TOKYO EASTの宮川和久店長、右がアラゴスタを展開するモトテックの杉山祐一代表。バイクを知り尽くしたプロフェッショナルが協力し、KTM用のアラゴスタリアショックが誕生した。

百聞は一見にしかず、一見は一乗りにしかず(?)ということで、早速アラゴスタのリアショックを装着したDUKE390に試乗させてもらった。なるほど、これはいい。スモールDUKEならではの軽快なハンドリングはそのまま、無駄なピッチングが減り乗り味が上質で落ち着きのあるものに変わっている。その傾向はコーナーでより顕著。ノーマルではコーナリング中リアタイヤが跳ねるような挙動をみせていたシーンで、アラゴスタはしっかりと路面を捉えている感覚が伝わってくる。

ひとつ気になったのが、直進時にギャップを踏んだ時、ライダーに伝わるショックが強めなこと。テスターは小柄で、体重も平均からすると軽い。それが理由かと考え、試乗後に杉山代表に伝えたところ。おもむろにリアショックを調整しだした。何をしたかというと、車高調整機能を使ってのローダウンだ。跨ってみると、足つき性は格段に向上している。そして走り出して驚いた。

先ほど感じたギャップからのショックは弱まり、それでいてハンドリングも悪化を感じられない。静的ディメンジョンは変化しているのだが、旋回性に問題が出ることもない。取り回しが向上し、走りの楽しさはそのままなのだ。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

試乗後、杉山代表が種明かしをしてくれたのだが、今回体験したリアショックはローダウン仕様のものなのだという。ローダウンすると、リアの車高が下がる。スイングアームの角度が変わり、アンチスクワットが効きにくくなるため、駆動力がかかった時に正しい車体姿勢を得られなくなってしまう。アラゴスタでは、そうしたネガを防ぐためスプリングレートを上げている。ローダウン前に感じたショックの強さは、それが理由だったのだ。もちろん、ノーマルのリアショックを上回る性能を持たせるため、作動性を高め、ダンパーの設定も最適化されている。杉山代表は、こう語る。

「まずは性能アップを考え、その上でローダウン機能を持たせました。ローダウンすれば走りが悪くなると思われがちですが、ショックの性能アップとセッティング次第で、性能アップとローダウンは両立可能なんです」

最後は宮川店長のコメントで、KTM用アラゴスタについてまとめてもらおう。

「アラゴスタはスムーズに全域で良く動きます。コーナリングの安定性が格段に高まるので、安心して走りを楽しむことができます。良いサスペンションは、多少路面が悪くても、思いきった走りが出来てしまうものです。アラゴスタはそういうショックユニットなんです。イメージカラーがオレンジですから、KTMにピッタリですしね!」

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

左がノーマルリアショック、右はアラゴスタのスモールDUKE用ローダウンリアショックを装着したところ。シート高は約3cmダウン、足つき性の違いは一目瞭然だ。体格や体力に自信がないライダーでも、アラゴスタを装着すれば憧れのKTMを乗りこなすことも夢ではないのだ。

PRODUCTS

日欧合作で生まれたアラゴスタ
性能と品質の高さに自信アリ

アラゴスタは日本発のサスペンションブランド。その高性能により、四輪用から人気に火がつき、現在ではバイク用も大きな注目を浴びている。主要パーツはヨーロッパで生産されるが、セッティングとアッセンブルは日本国内で行われる。また、パーツの中でもスプリングだけは国産品。スプリングの品質に関しては、日本にアドバンテージがあるため、こだわりのmade in Japanなのだ。アラゴスタのリアショックは、オーダーによる仕様変更にも対応する。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

新型DUKE390用アラゴスタもいち早くラインナップ。基本はローダウン対応仕様で“ローダウンしても、走りの楽しさをスポイルしない”ことが開発コンセプト。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

シンプルなストレートボディに、オレンジのスプリングが映える。装着されているのは1wayタイプ。2011年~2017年モデルのDUKE125/250/390と2014年~2017年モデルのRC125/250/390に対応。価格は11万3,400円。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

プリロード、伸び側ダンパー、車高の調整が可能。車高調整は車両に装着した状態で可能な構造となっている。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

よりハイスペックな3wayタイプは、圧側ダンパーで高速側/低速側のそれぞれを調整可能。さらに伸側ダンパー調整とプリロード調整、車高調整機能も備えたフルアジャスタブルタイプだ。KTMのワンメイクレース"RCカップ"で勝てる性能を目標に開発された。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

2011年~2017年モデルのDUKE125/250/390と2014年~2017年モデルのRC125/250/390に対応。価格は21万3,840円。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

取り付け自由度の高いリザーバータンク別体式で、プリロード調整に工具を必要としない油圧式プリロードコントローラーを標準装備。

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DUKEシリースのフラグシップ1290 SUPER DUKE R用もラインナップ。豊富な調整機能を持ち、スポーツライディング派はもちろん、あらゆるライダーの要望に応える。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

2014年~2017年モデルに対応。フルアジャスタブルタイプの3way一体式、価格は22万1,400円。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

コンパクトな一体式ボディを採用し、SUPER DUKE Rにジャストフィット。圧側ダンパーは低速側/高速側、伸側ダンパー、プリロード、車高の調整が可能。1ボディに油圧式プリロードコントローラーも装備。

KTM DUKE/RCの走りをランクアップさせるアラゴスタのリアショック

アラゴスタの商品開発には、テイスト・オブ・ツクバなどで数々の勝利を収めている凄腕ライダー、上田隆人さんが参加。上田さんは“サスペンションを動かすセッティング”を好むライダーで、誰が乗っても乗りやすいセッティングに仕上げるという。

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