カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!

掲載日:2018年02月15日 トピックス    

取材協力/株式会社カワサキモータースジャパン  文・写真/Hiroyuki Maeda

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

カワサキの歴史を辿る、
ミュージアムを訪れる

カワサキ モーターサイクルZフェアが開催されているのは、白い幾何学模様の構造物が神戸のシンボルの一つである「海洋博物館」。神戸港の開港120年を記念し、1987年に開館したそうです。その館内に、カワサキのミュージアム「カワサキワールド」が2006年に設置されました。このレポートでは、カワサキワールドをメインにご紹介します。

このミュージアムでは、創業者である川崎正蔵の紹介から、現代に至るまでのカワサキが辿ってきた歴史を垣間見ることができます。カワサキが掲げる「テクノロジーの頂点へ」というミッションステートメントの元に発展を続ける同社は、日本にとって重要な会社の一つであり、我々の生活にも長きにわたり深く関わってきたのだと、改めて実感しました。

神戸に生まれ、神戸と共に成長してきたカワサキ。JR兵庫駅近くの、東西を走る国道2号線からは、川崎重工業の兵庫工場の様子を少し見ることができます。電車好きの方には興味深いでしょうね。また、その2号線を西へ約25キロ進むと、モーターサイクルなどの製造を行っている明石工場です。余談ですが、カワサキ ライダーズ クラブ「KAZE」の会員になると、明石工場の見学ツアーにも参加できるようです。バイクの組み立てラインや、コレクションホールも見学できるとか。神戸を訪れる際には、カワサキワールドにぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

この白いフレームが目印の海洋博物館。カワサキワールドも同博物館内にあります。ちなみに神戸のシンボルの一つであるポートタワーが、道路を挟んで向かい側にありますので、神戸観光の際にはぜひ。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

「陸・海・空」の各分野で活躍するカワサキ。まずはミッションステートメントである「テクノロジーの頂点へ」という言葉と、それぞれの分野を代表するプロダクツが。モーターサイクルは、やはりH2が登場していますね。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

現在ではH2のエンブレムにも誇らしげに使用されている、前社章でもあった「リバーマーク」。創業者の川崎正蔵が、所有船に使用していたマークが元になりました。これは、1909年に建設された、本社社屋の玄関上に設置されていたものだそうです。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

名門企業を立ち上げた川崎正蔵は、1837年に生を受け、76歳でその生涯に幕を閉じました。初代社長の松方幸次郎は、内閣総理大臣を務めた松方正義を父に持ち、1866年に生まれました。二人は芸術に深い造詣を持ち、名画を収集していたことで知られ、日本人にその芸術に触れて欲しい、という強い想いを持っていたそうです。尚、現在も神戸市民の生活に根ざした「神戸新聞」も川崎正蔵によって創刊されました。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

カワサキ製の航空機用エンジン! 空冷で、水平対向6気筒だそうです。さすがにかなりの迫力です。ヘッドカバーのフラッグの中に、リバーマークが見えますね。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

1962年に解体されてしまったそうですが、ドイツ製のガントリークレーンの模型です。今でも兵庫突堤から、カワサキの船舶用ドックを眺めることができますが、どのあたりにあったのでしょうか。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

1920年代の扇風機「川崎型電気扇」です。イギリスの会社と技術提携して作られたそうです。レトロな扇風機は、実は驚くほど頑丈で、リペアさえすればずっと使い続けられると聞いたことがあります。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

日本の航空母艦「瑞鶴」(ずいかく)は、1941年に川崎造船所で建造されたそうで、川崎初の航空母艦だったと記されています。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

川崎重工は「デゴイチ」の名で親しまれる蒸気機関車D-51の製造工場の内の一社でした。1936年に登場し、70年代まで活躍した車両だったそうです。生産総数1,115両中、川崎重工は221両を製作しました。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

目についた過去の展示をかいつまんでご紹介しましたが、もっと細かな年表や、約1万5千馬力を発生する舶用のディーゼルエンジンの模型、1991年より航空自衛隊のブルーインパルスに選定されたT-4の模型なども展示されています。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

カワサキの創設から現代までの歴史をパネルで見た後、巨大なスクリーンで同社の陸・海・空の各分野での活躍をまとめたムービーが流されています。そしてここからモーターサイクル部門へと続きます。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

まず目に飛び込んでくるのが、外装を外されたカワサキのフラッグシップマシンであるH2。カワサキのモーターサイクルに対する哲学「ライディオロジー」(ライド+イデオロギー)について説明されています。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

H2の心臓部のカットモデルもじっくり眺めることが出来ます。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

少し見にくいかもしれませんが、H2の下に鏡が置いてあり、真下からのアングルで見えるようになっています。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

カワサキにとっても、モーターサイクルヒストリーにとっても外せない900 Super Four。本来「Z1」はエンジン型式であり、正式名称ではありませんでしたが、ここでは「The Legend of Z1」として紹介されています。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

そしてこちらもミラーの上に展示されているため、車体の下部もじっくりと眺めることができます。クランクケースの底にもフィンが入っているのですね。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

Z1のエンジンもカットモデルが用意されています。マニアの方は、これがZ1の中でも何年のものかが瞬時に判別できるのでしょう。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

日本モーターサイクル協会主催の、第一回モトクロス大会にて1位から6位までを独占したのが、このB8M。後ろのパネルは優勝後のもののようです。小さくてわかりにくいですが、タンクのリバーマークのエンブレムには「Kawasaki Aircraft」と記されています。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

2つの時代のレーサーが展示されています。右は2002年に、カワサキが20年ぶりにWGPへとスポット参戦を開始し、2005年のMotoGPに参戦したNinja ZX-RR。中野真也のマシンです。左は1982年に二輪レースとして当時の最高峰であったWGP500に参戦したKR500。コーク・バリントン(Kork Ballington)のマシンです。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

カワサキの2ストロークのマシンでのみ採用された「タンデムツイン」エンジンを、更に倍にして誕生したKR500のエンジン。アルミ製の燃料タンクが一体式となるモノコックフレームに搭載され、1980年から3年間GP500ccクラスへ調整したそうです。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

何年製のガソリン缶でしょうか。当時のワークスで使われたものかと思われますが、こうしたメカニックの息遣いを感じるディスプレイも嬉しいですね。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

1969年のワークスレーサーA7RSです。エンジンは2ストローク並列2気筒の350cc、吸入方式はロータリーディスクバルブ式。カワサキがチームカラーをライムグリーンとしたのはこの頃からです。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

こちらは1969年のデイトナ200マイルに参加したカワサキワークスチームの集合写真。当時のワークスレーサーがずらりと並んでいます。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

750ccのマッハⅣ(H2)のエンジンをチューンしたレーサーが「H2R」であり、現在のフラッグシップモデルに引き継がれた名称でもあります。ちなみに現在行われている、日本のクラシックバイクレースでは、この当時のH2Rを走らせている方もいらっしゃいます。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

エディー・ローソン(Eddie Lawson)が走らせた1982年のKZ1000Sは、AMAスーパーバイク選手権をターゲットに開発された市販レーサー。元となったのはKZ1000Jですが、共通部品はほとんど無いほどに煮詰められているそうです。展示は上段がロードモデル、下段がそのレーサーというように配置されています。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

SBK(世界スーパーバイク選手権)でカワサキのワークスライダーであるトム・サイクス(Tom Sykes)とジョナサン・レイ(Jonathan Rea)のサイン入りヘルメット。2016年の末に、カワサキワールドでサイン会があったようですので、その時のものでしょうか? ちなみに二人はイギリス人のライダーです。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

AMAスーパークロス選手権にて、4連覇を成し得たライアン・ビロポート(Ryan Villopoto)が2014年のシーズンを戦い、勝利したKX450Fそのものが展示されています。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

2015年のスーパーバイク世界選手権にて、ジョナサン・レイがチャンピオンを勝ち取ったNinja ZX-10R。J.レイは、歴代のカワサキライダーの中で、シーズン最多優勝・最多表彰台獲得にも輝いたそうです。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

常設展の中でも、一定の期間で展示が変更されるコーナーがあり、現在は400ccのモデルの変遷が紹介されています。こちらは1980年のZ400FX、通称フェックスで400ccの旋風を巻き起こしたモーターサイクル。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

1983年のGPz400。大型車種GPzシリーズと共通する、流れるようなスタイリングが人気を博しました。他にも水冷エンジンとなったGPz400R、レーサーレプリカの盛り上がりが最高潮の時にリリースされたZXR400R、そしてネイキットブームを巻き起こしたゼファーや、最新のNinja400なども。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

カワサキワールドでぜひ楽しんでいただきたい、ライディングシミュレーター「ライデックス」。スーパースポーツ世界選手権に長年出場していた藤原克昭さんの後ろを走るシミュレーション。ちなみに撮影は熊本のオートポリスで行われたそうです。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

コースに合わせ、自分でバイクを左右に傾けて楽しみます。それほどバイクは倒れませんが、舐めてかかると後悔するほどの迫力!レーサーのタイヤがすぐそこにあり、臨場感抜群です。お気をつけください!

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

以前はもう少しおとなしめだった「ライデックス」を、過激に「チューン」したのが川崎重工のマーケティングを担当されている奥村さん。レーサーの方に、そこそこ本気で走って欲しいとお願いしたとか!カワサキワールドのレディーがエスコートしてくれます。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

自由に跨がれるモーターサイクルも用意されています。こうして気軽に触れることが出来ると、普段は馴染みのない人にも親近感を持ってもらえそうですね。こちらも定期的に変更されるとか。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

モーターサイクルセクションを抜けると、そこから鉄道、船舶、飛行機のセクションとなります。この頃の新幹線(0系)はなんだかホッとする丸みがありますね。筆者にとっては懐かしく思える形です。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

5分間のフライトシミュレーターも人気。混み合う時は予約制になるそうです。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

1959年にボーイング社からライセンス製造権を取得した国産ヘリコプター、「川崎バートル KV-107 Ⅱ型 ヘリコプター」の内部に入ることができます。子供はもちろん、大人も楽しめますね。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

神戸が舞台となった鉄道模型のジオラマも。他にも「電車でGO!」というゲームも有り、こちらも人気だそう。他にも海の展示、産業用ロボットのデモンストレーションなど、まだまだ見所はあります。

カワサキ モーターサイクル Zフェア【番外編】カワサキワールドを紹介!の画像

"海洋博物館に足を踏み入れると、まずは大きな帆船がお出迎え。その大きさに圧倒されます。小さな模型から、より大きなものまで展示されており、船にまつわる歴史を楽しめます。神戸観光の際は、ぜひこのカワサキワールド&海洋博物館に立ち寄ってみてください。

    【カワサキワールド】
  • <所在地>
  • 〒650-0042 兵庫県神戸市中央区波止場町2番2号(神戸海洋博物館内)
  • <開館時間・休館日>
  • 10:00 ~ 17:00(入館は 16:30 まで)
  • 毎週月曜休館(月曜日が祝日の場合は、翌日に休館)
  • 年末年始休館(12月29日~1月3日)
  • <入場料>
  • 大人:600円 / 小人(小中学生):250円
  • <問い合わせ>
  • 078-327-5401





こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索