カワサキ モーターサイクル Zフェア 2018 「伝説の鼓動よ、再び。」 レポート Vol.01

掲載日:2018年02月07日 トピックス    

取材協力/株式会社カワサキモータースジャパン  文・写真/Hiroyuki Maeda

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カワサキが所蔵するZシリーズが一堂に!
新型Z900RSの系譜をたどる

エンジン型式である「Z1」が語り継がれる「愛称」となり、モーターサイクル界の寵児となった900 Super Fourが世に送り出され、45周年を迎えました。そのZ1のデザインフィーリングを色濃く継承しつつも、タイムレスな佇まいに昇華させ、新たに誕生したZ900RS。世代を超えて多くの人々が魅了され、Z900RSの生産は追いつかないほどの人気を博しているそうです。

そんななか兵庫県神戸市で「カワサキモーターサイクルZフェア 伝説の鼓動よ、再び。」がスタートしました。恋い焦がれた想いを呼び起こされ懐かしむ方、ひと目見て憧れのバイクになったという新たなファンの方、今回のフェアではその両者がじっくりと歴代のZシリーズを、慈しむように味わうことのできるイベントです。会場にいらっしゃるスタッフは、川崎重工や、同社のデザイン部門であるKTECにお勤めのカワサキファミリーの方々なので、同社のモーターサイクルについて、直接お話できる稀有な機会でもあります。

会期は2月6日より2月18日まで。神戸のシンボルの一つである海洋博物館に併設された「カワサキワールド」にて開催されています。世界に衝撃を与えた名車の進化と、現在に受け継がれたクラフツマンシップのバトンを、ぜひ感じてみてはいかがでしょうか。

1973年の900 Super 4と、昨年センセーショナルに登場したZ900RSがやはりメインキャスト。両車のディティールを楽しんでいると、ずっとここで立ち止まってしまいます。ZフェアレポートのVol.2では、Z900RSのカスタムプロジェクトや、Z1を中心としたディテールにフォーカスしてご紹介予定です。

開館後間もなく、姫路市の中学生の方が見学にやってきました。今どきの若者の「うわっ、かっこいい~」という言葉を聞くと単純に嬉しくなりました。少しお話を聞かせてもらいましたが、なんと筆者と同じくらいの歳だというお父上がバイクに乗られているそうで、「僕も乗りたいと思っています。」と笑顔で答えてくれました。

Z1とZ900RSの間に配置されたタッチパネル。左がZ1、右がZ900RSの右グリップになっています。それぞれ、下のスタートボタンを押すと、それぞれの迫力の排気音を聞くことができます。それぞれ5~6種類のエキゾースト・ノートが楽しめる芸の細かさ!ストップするには、Z1は上部のキルスイッチをタッチ。Z900RSは赤いキルスイッチの上側をタッチすることで止まります。

Z1はどっしりした車格にも関わらず、そのイメージとは裏腹にヒラヒラと軽快に走ることが出来ると言われており、それはタイヤのスリムさによるところも大きいと思います。同じく迫力のあるZ900RSですが、Z1よりも30キロ以上も軽量な仕上がりとなっており、車体の構成は違えど重厚さと軽快さを併せ持ったモデルです。

会場のカワサキワールド。大人の入場料は600円、小人は250円。入場料は海洋博物館の入館料に含まれており、お得なポートタワーとの共通券もあるようです。カワサキワールドのウェブサイトには割引券も! いくつか注意点をお伝えします。再入場は不可で、館内の飲食も基本的にNGなので(授乳室はあります。)、じっくりと眺めたい方はランチの後に行くことをオススメいたします。カワサキワールド内にあるドリンクコーナーであれば飲み物はOK。

バイクでお越しの方には、無料の駐輪場が用意されていますが、台数に限りがあります。週末は混み合う時間もあるようなので、満車の場合はメリケンパークの有料駐車場(1日100円だそうです。)を利用しましょう。また、館内には返金式のコインロッカーがありますが、Zフェアーの会期中は空きのない状況も予想されます。ヘルメットはもちろん、室内は暖房がよく効いているので、上着も預けるのが理想ですね。

さて、ZフェアレポートVol.01ではZシリーズの展示車両をメインにご紹介しましょう。KZ900 (KZ900A4 US) 1976年。Z1との見分け方が多数あるようで、その点は次回に触れたいと思います。タンク下部のリフレクターもその一つ。ダイヤモンド・ダークグリーンと呼ばれる深いカラー、そしてピンストライプとのカラーコンビネーションが秀逸ですね。

Z750FOUR (Z2 JP)1976年。国内での排気量自主規制によって1973年より生産されたZ750RS、通称Z2のアップデートモデルです。Z1のボアダウンだけでは対応できず、ヘッドを共通とするためにストロークも変更されて生まれたZ2。フロントはダブルディスクが奢られていますが、リアはまだドラムブレーキとなっています。

KZ900LTD (KZ900B1 US) 1976年。この年にのみ製造され、翌年にはKZ1000LTDへとアップデートされました。日本の二輪車・自動車メーカーとして、初のアメリカの生産工場となったリンカーン工場にて生産された、Made in USAの希少モデル。カワサキの市販車では初となる、マグネシウム製のキャストホイールが採用されました。材質の強度的なものから、ベアリング部はアダプターを介すそうです。

Z1000 (KZ1000A1 UK) 1977年。排気量を1,015ccへと上げて、モデル名もZ1000へと改められました。日本製とアメリカのリンカーン工場製があり、エンジンやフレーム番号で、その違いが分かるそうです。サイレンサーが4本から2本出しへと変化し、車体回りもアップデート。煮詰められたモデルだという定評があり、ティアドロップタンクを装備する通称「丸Z」と呼ばれる最終形。このマシンにはイギリスのナンバープレートが装着されています。

展示車両の後ろには、Zシリーズのレースシーンや当時のマシンで編まれたパネルがあります。また、一台ずつ当時のカタログの小パネルも用意されているため、当時の様子やファッションを楽しむことができます。

Z1-R (KZ1000D1 EU) 1978年。アメリカで流行していた、往年の「カフェレーサー」スタイルをカワサキ流に取り入れたとされる意欲作。直線を基調とした鋭さを湛えるスタイリングや、メタリックスターダストシルバーによる1色による潔い仕上げと、ブラックアウトされたエンジンとのコントラストに魅了されます。18インチとされた前輪と、4in1となった集合管も大きな特徴となっています。

Z1000 Mk-2 (KZ1000A3 EU) 1979年。Z1やZ2の「丸ゼット」に対し、このZ1000 Mk-2は 「角ゼット」の筆頭として、武骨なデザインにファンが多いそうです。三角形のサイドカバー、跳ね上がっているテールカウルも同モデルの特徴とされます。不等間隔の穴あきディスクローターや、7本スポークのアルミ製キャストホイールなど、数々のアップデートが施されました。

KZ1300 (KZ1300A1 US BLU) 1979年。この時代では、空冷4気筒エンジンはスタンダードなものになっていましたが、カワサキは量産車において、最大排気量となるKZ1300をリリースしました。DOHC並列6気筒の存在感は圧倒的であり、ロードスポーツ車において究極の一台として君臨しました。シャフトドライブの採用をはじめ、同モデル専用にデザインされたディテールが散りばめられています。

6本ものエキゾーストはさすがの迫力です。300キロ近い乾燥重量にも関わらず、テストライダーがウィリーを披露したという逸話もあるそうです。数値だけでは判断できない、コントローラブルさも兼ね備えたカワサキのフラッグシップモデルでした。

Zの系譜として、モデルや年代ごとに整理されたチャートも。「ザッパー」について説明してくださっているのはKTECの企画・営業をされている岩田さん。川崎重工のマーケティングを担当されている奥村さん(写真左)は、開発リーダーの萩尾さんとZ900のプレスローンチのためにスペインに出向かれたこともあるそうです。

Z400LTD(KZ400H1 JP) 1979年。後にエリミネーターやバルカンシリーズといった「和製アメリカン」の先駆けとなったモデル。フレームがロワリング加工され、足つき性がよくゆったりとした段付きシートを備えることが出来ました。太いサイレンサーも特徴で、リアはドラムブレーキとなっています。展示車の中にはフレーム番号01のマシンもあるので、ディスプレイパネルもぜひチェックしてみてください。

Z400FX (KZ4004E JP) 1979年。 こちらはフレームナンバーはキリの良い「10000番」。1975年より施行された二輪免許制度に合わせてZ500から生み出され、「フェックス」の愛称で知られた人気モデルです。4気筒DOHCというメカニズムを奢ったことも、若年層から人気を博す要因となったようです。

Z550 (KZ550B) 1980年。Z500を元にボアアップされました。国内向けのモデルはZ550FXとして流通したそうですが、難易度の高かった「限定解除」(現大型二輪免許)をした人たちは、大排気量車を求めることが当然の流れでした。北米仕様のフロントはシングルディスク、ヨーロッパ仕様はダブルディスクとされたそうです。

Z650(KZ650F) 1981年。愛称は「ザッパー」。その軽量な車体と秀でたパフォーマンスから、大排気量車に肉薄することができたため「ナナハンキラ―」と呼ばれた一台でもあります。同モデルに搭載されたエンジンは様々なモデルのベースとして使用され、後のゼファー750にも用いられることとなりました。

「KMC」(カワサキ・モーター・コーポレーション USA)によって70年代前半に製作されたというプロモーションビデオがスクリーンで流されています。来場者の中には、ずっと食い入るように観られている方の姿も。Z1の開発や、エンジンの組み立て、走行シーン、物流倉庫内など、レアな映像が満載なのでぜひチェックしてみてください。

2018年モデルのNinja 250、400、650、そして昨年のZ650も展示されており、跨ることも可能です。こちらにもスタッフの方がいらっしゃいますので、現車を前に気軽にお話しされてみてはいかがでしょう。お仲間同士と、スタッフの方を交えて楽しそうに盛り上がる姿も見られましたよ。

レーサーレプリカ全盛期に、カウルも纏わずスペックも控えめだったゼファー。そのゼファー(西風の意)は、ネイキッドブームという新たな風を巻き起こすこととなりました。Zシリーズの系譜として、3台のゼファーが展示されています。タンクに「カワサキ」というメーカー名でなく、モデル名を配した稀有なモーターサイクルです。

今春に発売されるZ900RS Cafeと共に、昨年の東京モーターショーにて世界初公開となったZ900RSに華を添えた3台のカスタムプロジェクトマシンも展示されています。詳しくはZフェアレポートVol.2でご紹介しましょう。

「Zオーナーズ写真展」として、あなたの愛車(Z)の写真が展示される催しです。写真L版、もしくはポラロイドサイズにプリントされたものを会場に持ち込み、パネルの下にあるカワサキのボックスに投函すると、スタッフの方が写真を貼ってくれます。ちなみにこのお二人はモデルさんではなく、KTECにお勤めの方々です!

フェア初日は平日にも関わらず、Zファンの方が絶えず会場を訪れていました。ちなみにパネルは1枚ではありませんのでご安心ください。フェアが終わるころには、たくさんの思い出の写真で埋め尽くされるでしょうね。

次回ZフェアレポートVol.2では代表的なモデルのディテールの違いをいくつかピックアップしご紹介するとともに、展示されている当時のカタログイメージも合わせてご紹介しましょう。

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