カワサキ Z 45周年の今その原点とシリーズの各車両を知る その6

掲載日:2018年07月11日 トピックス    

写真・文/ロードライダー編集部
記事提供/ロードライダー編集部
※この記事は『LEGEND BIKE SERIES02 KAWASAKI Z SERIES』に掲載された内容を再編集したものです。

カワサキ Z 45周年の今その原点とシリーズの各車両を知る その6の画像

現代バイクの基本を築いたカワサキ900スーパー4=モデルZ1が登場して2018年で45年が経つ。未だに古さを感じさせず、新しいバイクの範となり逆に新しい手法の取り込みやカスタム化で進化する。そんなZシリーズの歴史を見る。

世界的なレース熱の高まりに空冷2バルブで挑み
実績を残した上でアメリカでは市販レーサーも展開

1979年に初めて、カワサキは世界耐久ロードレース選手権にファクトリーKR1000を走らせ(それ以前の同名車は仏・パフォーマンス製)、AMAではUSカワサキが80’sスーパーバイクで活躍。ここではそれらをベースに市販されたKZ1000Sとそれに至る経緯を解説する。

1981年ローソン車のスペックを
R1に投入した市販レーサー

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●KZ1000S/RACER 型式:KZ1000S1

1982年に登場したKZ1000S1は、1981年にエディ・ローソンがAMAスーパーバイクで駆ったZ1000J1改レーサー(下右)の仕様を日本で採寸後、1982年型Z1000R1にデッドコピーして手組みで作られた市販レーサー。

当時24台の生産でAMA公認が取れたため30台をコンプリートで販売、エンジンはJ用キットパーツ(ツインプラグヘッド/CDI点火/カム/ピストン/クランクなど)として約200台分が用意された。フレームの基本はR1で3.00-18/4.25-18ホイールなどR1の足まわりを変更しただけにも見えるが、135~140ps発揮のエンジンやディメンションを改めたフレームには、レースノウハウもフル活用。

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2点ともS1で、右車両の#21は後から張られたもの。ローソンのロブ・マジーSPL・R1改ではビキニカウルを使わないことがほとんどだった。ホイールはダイマグでタイヤは当時グッドイヤー3.25-18/3.75-18サイズ。スイングアームはアルミ材によるトラス構成、クラッチにはカムダンパーを装備、またエンジンマウントは前もリジッド化してやや下げていた。

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レース専用パーツのS1ヘッド。吸排気の両ポートは粗仕上げにとどめられている

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当初、試行錯誤を繰り返したピストンは最終的に、溶かしたアルミに圧力をかけて成形する溶湯鍛造(セミ鍛造)製になった。フル鍛造と鋳造の中間のような特性=寸法は鋳造並みで強度は鍛造並みという特性を同時に実現でき、アルミ密度も高められた。ピストンリングはS1専用の3本式で、通常よりも若干薄目。ピストン裏側に切削加工を施すことで軽量化も同時に実現している。S1の圧縮比は一説には11.3:1とも言われる

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S1エンジンの最大の特徴、ツインプラグ加工燃焼室。プラグは当初14mmのSTDの横に10mmのプラグ(チャンピオン製F-1用)を追加したが、後にこの写真のように12mmプラグを2本置くように変わった。純正指定はチャンピオンのA55Gで、プラグレンチもパーツリストに含まれていた。また4スト国産車で初のレブリミッター(10500?11,000rpmで作動)なども装備

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J系はエンジン左側カバー内にACG(ジェネレーター)が付くが、これを持たないS1(08_01)は予め内側からこの穴をキャップで埋め(08_02)、外側から溶接加工している。エンジン幅を狭くしバンク角を稼いだ

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カムはIN(手前)/EX(奥)ともS1専用品。初期Z1と同様の中空仕様で、リフト量は9.4mm、作用角はともに310゜の超ハイカム。カムスプロケット形状がZ1系と違うのは、J以降カムチェーンを変えたため。ローソン車のカムは、クレイン社で試作後カワサキ本社で製作したスペシャルだったという

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カムチェーンはJ系から歯型の多重プレートを使ったハイボチェーンになったがここもS1専用品に

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バルブのカサ径はIN/EXともR1より1mm大径でIN(写真)がφ38/EXがφ32mmと、当時の耐久レーサーと同じ。ステム径はφ7mm。S1専用設計品だが、ローソン車はKMCデザインのデルウエスト社製チタンだったという

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インナーシム式となりタペットもS1専用。φ13mmの小型軽量シムでバルブまわりの重量が軽減された

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