カワサキ Z 45周年の今その原点とシリーズの各車両を知る その2

掲載日:2018年06月13日 トピックス    

写真・文/ロードライダー編集部
記事提供/ロードライダー編集部
※この記事は『LEGEND BIKE SERIES02 KAWASAKI Z SERIES』に掲載された内容を再編集したものです。

カワサキ Z 45周年の今その原点とシリーズの各車両を知る その2の画像

現代バイクの基本を築いたカワサキ900スーパー4=モデルZ1が登場して2018年で45年が経つ。未だに古さを感じさせず、新しいバイクの範となり逆に新しい手法の取り込みやカスタム化で進化する。そんなZシリーズの歴史を見る。

カタログに散りばめられた
フレーズに自信の端が見て取れる

1973年にデビューしたカワサキZ1は、当時の最新鋭スポーツバイクにして質実剛健。初期型にしてすでに、以降の作られる他車のベンチマークとなるべき資質を備えていた。カタログに記されたフレーズには、自信が溢れ出ていた。

始まりにして究極
未だ不滅と言えるZ

ここまでに見てきたキーワードは、Z登場時に最初に用意された特大サイズ=閉じた状態で縦257・5×横347・5mmの豪華なカタログにも、ちりばめられた。

かつてない高い質感に、こだわりの作り込み。82馬力の出力と200km/h以上の最高速度、そして12・0秒のゼロヨン加速。こうした、当時破格の基本スペックをメインで堂々と謳い、あとは控えめな言葉によって、秘めるポテンシャルの高さをアピールした。

“経験豊かなライダーへこそ”
“卓越した総合性能を知ってほしい”
“驚異的な力強さを楽しんでほしい”
“自信あり”

大きく、強く、安全なバイク。新しいカワサキ900スーパー4は、最先端・最高の作り込みによる1台で、整備性に長け、静かなバイク。しかも、最高のパフォーマンスを発揮する、スーパースポーツツアラーという新しいカテゴリーを創出するバイクである。卓越したパワーに加速、ツアラーとしての余裕と快適性を提供する。手に入れたライダーはその秘めるパワーに敬意を払い、余裕を持って使うに違いない。高性能バイクの将来に自信あり。常識と格調あるオーナーへ。

飾らない言葉で、淡々と。ただ大きく力があるだけでなく、新しい時代を開くだけのセンセーションを持ったバイク。当初狙った“ザッパー”は、4気筒の放つ独特のサウンド、903ccの排気量から放たれる強力なパワーで、また安定感のあるスリムな車体に組み合わせられた軽快なハンドリングで、そして流れるようなスタイリングで、火の玉カラーで、見事にパッケージングされていた。

「900スーパー4・モデルZ1」。それまでなかった、重厚感と軽快感のハイレベルミックス。

過剰品質とまで言われたエンジン、迫力の造形美と、各部フィニッシュ。これらによって“ビッグバイクのカワサキ”が作り上げられると同時に、Z自身の輝かしい栄光の歴史が始まる。同時に“日本はこんなバイクを作り出せる”“日本車は大排気量・4発スポーツである”という評価も世界のバイク界の、確たるものとなった。

進化しながらも基本は変えず
世界で幅広い層に愛されるバイクに

以後Zは、基本を大きく変えずに約10年シリーズ展開し、世界中で広く愛される。そのまま乗っても、日常から長距離までも。ロードレースからドラッグレースまで、ベースマシンとしても。高い整備性は多くのサンデーメカニックの格好の趣味の対象となり、カスタム化で楽しみの幅も広げた。

この間にカウルやモノサス、フューエルインジェクションなど、さまざまなバイク進化が現れてくるが、Zシリーズはそれらも取り込んでいく。それほど、先進かつ余裕のある作り込みがされていたのだ。

1984年に水冷4バルブのGPz900Rニンジャにフラッグシップのバトンを渡し、絶版化する。それでも、ファンからの熱い支持が続いた。累計10万台以上が世界に送られ、潤沢な中古車両が手に入れやすくなったこと、元からの頑丈な作り。日本で、現役当時に憧れたが乗れなかった世代がZを手に入れ出すと、枯渇し始めた各部パーツの復刻や、高性能化に向けたカスタム化を始める。

さまざまな現代化やカスタム/チューニング手法、パーツ群が次々と現れる。登場45年を経た今も、である。開発当時やモデル現役時に想像もしなかったような熱い、長い支持と、進化。他のどのバイクもなしえていない領域を、究極たるZは今も進み続けているのだ。

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開発コードT103が量産に向けて“0030”を経て詰め段階で“9057”となった頃。操縦安定性の味付けで、マシンの性格と、市場での評価も変わる。テストライダー(写真はカワサキの試験路走行)の中にはウォブリングを何度も経験した「ザッパーでも安定性は無視できない」派も出てきた。だが「ザッパーは操縦性こそが命で、ある程度の安定性の犠牲はやむなし」の主張が最終的に優位となり、操縦性重視、キャスター26度/トレール90mmの数値が決まり、この軽快なハンドリングが市販後の好評価につながった

カワサキ Z 45周年の今その原点とシリーズの各車両を知る その2の画像

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たくさんのハイメカを持ちながらも、多くのユーザーがガレージで整備できること。そのために極力シンプルかつオーソドックスで、どこにでも手が入り、整備しやすい作り込みを行ったZ。エンジンはクランクシャフトとミッション以外なら、積んだままで交換が出来るとも書かれていた。ヘッドにカムを入れたままでバルブクリアランスが(シムで)調整出来る。リアタイヤも10分あれば交換できる……と、手の入れやすさと各部アクセスしやすさも大きな特徴としていた

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カワサキは本来、903ccのZ1を日本でも販売する予定だったが、国内は750ccまでという自主規制が入り、新たに750cc版のZを開発し、Z1に同じ1973年に市場投入。それが750RS(カタログの表記には750-RS)、いわゆるZ2(ゼットツー、ゼッツー)だった。RSは650-RS W1にも使われていてROADSTER、ロードスターの略で、コンパクトで軽快に走るスポーツカー的な意味があった。開発に際してはボアダウンのみ案もあったが、エンジン生みの親の稲村さんがボア・ストロークダウン案を推し、φ64×58mmで登場する

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