林道ツーリングに役立つ実践テクニック

【Vol.16】雨上がりのクレバスを攻略しよう!

掲載日:2010年05月18日 オフロードライテク講座林道ツーリング実践テクニック    

軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。

雨上がりのクレバスは 奥へ行くほどディープになる

林道に出来たクレバスや、レース後半に深くなるワダチは大きく分けてふたつの攻略法がある。

ひとつはライン取り。これはよりリスクが少なく簡単に走れる場所を選んで走るということ。こう書くと説明も簡単だが、実際はいろいろなルートを走り、考えることをクセにしておかないと、ベストラインを常に選択出来るようにはなれない。もうひとつはクレバスに落ちたときの走り方だ。ユウタロウ講師は無闇にアクセルを開けないと言う。

「今回のようなクレバスやワダチの底には、砂が溜まっていたり、タイヤに押しつぶされて路面がツルツルになっていることが多いので、バイクがクレバスに入った途端にリアタイヤが滑ってしまいます。失速するとスタックし易いですから、なるべくクレバスに入らないライン取りがベストですね。もしスタックしたら、無闇にアクセルを開けないことが重要です。特に林道にあるクレバスの底は、リアタイヤが砂を掘ってバイクが埋まってしまいます。また、下からグリップの良い土が出てきたとき、必要以上にアクセルを開けていると、勢い余ってまくれ上がってしまうこともあるんです。これは傾斜がきつい場所を勢いで上ろうとしたときほど起こり易いものです。クレバスのリスタートは、足を出して歩きながら進めるスピードしか出さないというのが目安です」

雨上がりのクレバスは乾いているように見えて、実は湿っていて滑り易い。そこに砂が溜まっているのでタイヤは想像以上にグリップしない。滑る路面は繊細なスロットルワークでトラクションを得るのが得策だ。

タイヤを飲み込むクレバスが続く勾配のある山道。路面は雨水の通り道がクレバスのように裂けている。エンデューロコースのようにバイクの走ったラインにできるワダチと似ているが、クレバスの底は雨水と一緒に流れた細かい砂が多い。そのためクレバスに落ちるとタイヤを取られてトラクションが抜けやすいのも特徴だ。

タイヤを飲み込むクレバスが続く勾配のある山道。路面は雨水の通り道がクレバスのように裂けている。エンデューロコースのようにバイクの走ったラインにできるワダチと似ているが、クレバスの底は雨水と一緒に流れた細かい砂が多い。そのためクレバスに落ちるとタイヤを取られてトラクションが抜けやすいのも特徴だ。

運命の分かれ道はいつも唐突 最初にラクをするとあとで後悔する

クレバスがルートに対して斜めに走っているポイントは判断を迫られる瞬間だ。そのまま直進するか、クレバスを渡って反対側へ行くか。判断の材料はその先の路面。どちらが走り易いのか? クレバスの広がり方はもちろん、もしかしたらもう少し先で反対側へ渡った方がラクな場合もあるかもしれない。

クレバスがルートに対して斜めに走っているポイントは判断を迫られる瞬間だ。そのまま直進するか、クレバスを渡って反対側へ行くか。判断の材料はその先の路面。どちらが走り易いのか? クレバスの広がり方はもちろん、もしかしたらもう少し先で反対側へ渡った方がラクな場合もあるかもしれない。

クレバスを渡らない方がバランスを崩すリスクも無く安心。ただ、その先が険しくなっていたら渡る必要があるため、その判断をするためにも走りながら常に先の状況を確認する。路面が荒れているとフロントタイヤの前方ばかり見てしまうので、視線は手前と遠くを交互に移す。

クレバスを渡らない方がバランスを崩すリスクも無く安心。ただ、その先が険しくなっていたら渡る必要があるため、その判断をするためにも走りながら常に先の状況を確認する。路面が荒れているとフロントタイヤの前方ばかり見てしまうので、視線は手前と遠くを交互に移す。

反対側の方が走り易いと判断したら渡ってしまう。渡るポイントは写真のようにクレバスが低くなっている場所を狙う。そのためにも、常に両方のラインの走り易さを比較しながら走る。エンデューロレースでは進むほどワダチが深くなるものなので、早めの判断が重要だ。

反対側の方が走り易いと判断したら渡ってしまう。渡るポイントは写真のようにクレバスが低くなっている場所を狙う。そのためにも、常に両方のラインの走り易さを比較しながら走る。エンデューロレースでは進むほどワダチが深くなるものなので、早めの判断が重要だ。

ワダチ斬りでラインを変更

もしクレバスに低いラインが無かったら、やや強引にクレバスを跨いでしまう。上の写真のように手前の山をフロントアップで飛び越せないときは、足の着き易い場所で止まってしまおう。タイヤがクレバスに落ちているので、意外と足が着き易く踏ん張れる。あとは振り子の要領でバイクを前後に振って、勢いをつけてから乗り越えると安全だ。最後はバイクの動きに遅れないように飛び乗る。

もしクレバスに低いラインが無かったら、やや強引にクレバスを跨いでしまう。上の写真のように手前の山をフロントアップで飛び越せないときは、足の着き易い場所で止まってしまおう。タイヤがクレバスに落ちているので、意外と足が着き易く踏ん張れる。あとは振り子の要領でバイクを前後に振って、勢いをつけてから乗り越えると安全だ。最後はバイクの動きに遅れないように飛び乗る。

クレバスの斜面は逆バンクのようにタイヤの接地面が小さく、バイクをまっすぐに立ててバランスを取っていても非常に滑り易い。そこを斜めに上ってクレバスから脱出するためには、タイヤがグリップするギリギリの低速を維持するスロットルワークが必要だ。加えて常にリアタイヤを真下へ押しつける荷重コントロールも重要となる。これをマスターすれば、レースでも自在にラインチェンジ出来る。

クレバスの斜面は逆バンクのようにタイヤの接地面が小さく、バイクをまっすぐに立ててバランスを取っていても非常に滑り易い。そこを斜めに上ってクレバスから脱出するためには、タイヤがグリップするギリギリの低速を維持するスロットルワークが必要だ。加えて常にリアタイヤを真下へ押しつける荷重コントロールも重要となる。これをマスターすれば、レースでも自在にラインチェンジ出来る。

数多くのワナが待ち受ける クレバスとワダチの混合ルート

エンデューロレースの上り斜面で多いのが、奥へ行くほど深くなるパターン。これは走りにくいクレバスで失速した前走車のリアタイヤがスリップして掘り下げてしまうため。奥にコーナーがあるときや、傾斜がきつくなる上りでは特に注意が必要だ。案外いけると思ってクレバスに降りたら出られなくなって渋滞に巻き込まれた、なんて経験のあるエンデューロライダーも多いだろう。そうならないためには、深くなることを予見して別のラインを探す観察眼を養おう。

エンデューロレースの上り斜面で多いのが、奥へ行くほど深くなるパターン。これは走りにくいクレバスで失速した前走車のリアタイヤがスリップして掘り下げてしまうため。奥にコーナーがあるときや、傾斜がきつくなる上りでは特に注意が必要だ。案外いけると思ってクレバスに降りたら出られなくなって渋滞に巻き込まれた、なんて経験のあるエンデューロライダーも多いだろう。そうならないためには、深くなることを予見して別のラインを探す観察眼を養おう。

この尾根ライン(破線)は一見すると走り易く感じるが、実は奥の右コーナーで左側の【B】ラインといっしょになった後、さらに右の【A】ラインとも合流してしまう。そのため途中でクレバスの斜面上りができないと難所へ突入してしまう。自分が走っているラインの先に怪しさを感じたら、まずはスローダウンして状況をよく見る。そして今回のようなルートなら、路肩際の【C】ラインへ渡れるポイントを探しながら走る必要がある。

この尾根ライン(破線)は一見すると走り易く感じるが、実は奥の右コーナーで左側の【B】ラインといっしょになった後、さらに右の【A】ラインとも合流してしまう。そのため途中でクレバスの斜面上りができないと難所へ突入してしまう。自分が走っているラインの先に怪しさを感じたら、まずはスローダウンして状況をよく見る。そして今回のようなルートなら、路肩際の【C】ラインへ渡れるポイントを探しながら走る必要がある。

今回のシチュエーションで最も安全なのがこのラインと言える。他のラインと違ってクレバスが無いので路面が荒れていない。ただ、季節によっては木々の枝がジャマで視界が悪い。また、先に進むとラインがクレバスと路肩に挟まれて狭くなるため、慎重に走る必要がある。クレバスの手前で瞬時にこのラインを選んだライダーはベテランと言えるだろう。その判断を走りながら素早く出来れば、エンデューロレースなどでも渋滞に巻き込まれず、上位を狙えるはずだ。

今回のシチュエーションで最も安全なのがこのラインと言える。他のラインと違ってクレバスが無いので路面が荒れていない。ただ、季節によっては木々の枝がジャマで視界が悪い。また、先に進むとラインがクレバスと路肩に挟まれて狭くなるため、慎重に走る必要がある。クレバスの手前で瞬時にこのラインを選んだライダーはベテランと言えるだろう。その判断を走りながら素早く出来れば、エンデューロレースなどでも渋滞に巻き込まれず、上位を狙えるはずだ。

インストラクター

1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。

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