林道ツーリングに役立つ実践テクニック

【Vol.10】リアタイヤのトラクション・コントロール

掲載日:2009年10月21日 オフロードライテク講座林道ツーリング実践テクニック    

軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。

トラクションとアクセルワークでマディ路面を克服しよう

マディ路面でもっとも難しいのは、タイヤのトラクションをいかにコントロールするか、ということ。滑りやすい路面では、なるべく車体をまっすぐにしてタイヤの接地面積を稼ぐという手がある。だが、それだけではバイクのトラクションは不十分。

「タイヤが本来持っているのがグリップです。それに比べてトラクションは、ライダーが積極的に体重移動などで荷重することで生み出すものです」と、ユウタロウ講師。

確かにグリップの高いタイヤを履けばマディでも走りやすくなる。でも、それはマシンの走破性が高まるセットアップなので、ライダーが上達しているとは言えない。

「まずはバイクに跨る位置からコツがあります。とくにマディで転倒したあとの再発進などは、荷重のかけかたひとつでトラクションがまったく違ってくるんです」

アクセルワークも重要なコツのひとつ。舗装路での急加速のようにアクセルを開けてもリアタイヤはむなしく空転するばかり。理想はエンストしないギリギリのエンジン低回転を使ってノロノロとスタートを切ること。

アクセルワークも重要なコツのひとつ。舗装路での急加速のようにアクセルを開けてもリアタイヤはむなしく空転するばかり。理想はエンストしないギリギリのエンジン低回転を使ってノロノロとスタートを切ること。

撮影の現場となったのは山奥の上り坂。前日の雨で路面はグチャグチャになっており、まっすぐ走るのも困難なほど。ここでのコツはふたつ。

「まず、リアタイヤのトラクションを高めるために、シートのうしろに座ります。するとリアタイヤの真上にライダーが位置するので、より荷重がリアタイヤにかかります。また、アクセルを急に開けるとタイヤが滑ってしまうので、なるべくやさしいアクセルワークが大切です」

では実際のお手本や注意点を写真で見ながらレクチャーしていこう。

シート後方に座るとトラクションする

マディの再スタートでは、シートのうしろ端にお尻を載せる。すると同じ体重でも、よりリアタイヤに荷重がかかってトラクションは増す。ただ、シートの後端に近づくにつれ、体の小さいライダーは足着きが悪くなるので注意が必要だ。まずはバイクがスピードにのるまで体を支えられる足場を見付けることが先決のシチュエーションも多々ある。写真の場所はバイクがワダチに入っていたので、タイヤが沈んでいる分、足着きは良かった。

マディの再スタートでは、シートのうしろ端にお尻を載せる。すると同じ体重でも、よりリアタイヤに荷重がかかってトラクションは増す。ただ、シートの後端に近づくにつれ、体の小さいライダーは足着きが悪くなるので注意が必要だ。まずはバイクがスピードにのるまで体を支えられる足場を見付けることが先決のシチュエーションも多々ある。写真の場所はバイクがワダチに入っていたので、タイヤが沈んでいる分、足着きは良かった。

マディの再スタートでは、シートのうしろ端にお尻を載せる。すると同じ体重でも、よりリアタイヤに荷重がかかってトラクションは増す。ただ、シートの後端に近づくにつれ、体の小さいライダーは足着きが悪くなるので注意が必要だ。まずはバイクがスピードにのるまで体を支えられる足場を見付けることが先決のシチュエーションも多々ある。写真の場所はバイクがワダチに入っていたので、タイヤが沈んでいる分、足着きは良かった。

再発進はリアタイヤのトラクションを意識する

まずは目一杯シートのうしろに座ってヒザをできるだけ伸ばす。クラッチミートをする瞬間、お尻をシートに押しつけるイメージで、伸ばしていたヒザを曲げてドッカリとシートに座る。この瞬間、リアタイヤのトラクションがアップしている。アクセルは急いで開けたいのをガマンしてゆっくりとコントロールするのがコツ。両足で左右に倒れないようにバランスを取りながら加速していく。

まずは目一杯シートのうしろに座ってヒザをできるだけ伸ばす。クラッチミートをする瞬間、お尻をシートに押しつけるイメージで、伸ばしていたヒザを曲げてドッカリとシートに座る。この瞬間、リアタイヤのトラクションがアップしている。アクセルは急いで開けたいのをガマンしてゆっくりとコントロールするのがコツ。両足で左右に倒れないようにバランスを取りながら加速していく。

ワダチのなかでうしろ座りを体感する

つま先立ちだとお尻をシートに押しつける上下動作ができず、トラクションを上げられない。したがってリアタイヤがスリップしやすい。

つま先立ちだとお尻をシートに押しつける上下動作ができず、トラクションを上げられない。したがってリアタイヤがスリップしやすい。

タイヤがワダチに入っていると、その分バイクは低い位置になるのでライダーの足着きが良くなる。ワダチのなかだとシートにお尻を押しつけるときの余裕が生まれるのだ。再スタート時はなるべく足場の良いところを見つけよう。

タイヤがワダチに入っていると、その分バイクは低い位置になるのでライダーの足着きが良くなる。ワダチのなかだとシートにお尻を押しつけるときの余裕が生まれるのだ。再スタート時はなるべく足場の良いところを見つけよう。

バイクの角度に応じてアクセルを開ける

マディで攻めているときのライディング。なるべくバイクをまっすぐに保つため、ライダーが積極的に体重移動をしてトラクションをコントロールしつつ、バイクが少しでも傾いているときはアクセルを控えめに開けている。そして安定しているときは積極的にアクセル・オープンすることで、マディながらメリハリのあるライディングを実現している。そのためにはまず、両足をステップの上で踏ん張る必要がある。マディでの再スタートが成功してうまく車速がのったら、なるべく早めに足をステップに戻そう。走り出したらステップに体重をかけたほうがバイクは安定するので、不安定なマディ路面でバランスを取るには、ステップの上で踏ん張ること!

マディで攻めているときのライディング。なるべくバイクをまっすぐに保つため、ライダーが積極的に体重移動をしてトラクションをコントロールしつつ、バイクが少しでも傾いているときはアクセルを控えめに開けている。そして安定しているときは積極的にアクセル・オープンすることで、マディながらメリハリのあるライディングを実現している。そのためにはまず、両足をステップの上で踏ん張る必要がある。マディでの再スタートが成功してうまく車速がのったら、なるべく早めに足をステップに戻そう。走り出したらステップに体重をかけたほうがバイクは安定するので、不安定なマディ路面でバランスを取るには、ステップの上で踏ん張ること!

インストラクター

1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。

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