林道ツーリングに役立つ実践テクニック

【Vol.07】ワダチを斬る! Part.1『石に挟まれた深いワダチをクリアするには?』

掲載日:2009年07月15日 オフロードライテク講座林道ツーリング実践テクニック    

軽いトレールバイク(オフ車)でも、凸凹や傾斜のきつい林道では扱いが困難になることも多々ある。ツーリング先で足下をすくわれないために、ユウタロウ流の実践的な障害物越えをイメージトレーニングしておこう。的確な状況判断と操作のキホンが出来ていれば、体格は関係ない。それが身長165cmのユウタロウ流『チビテク』なのだ。

ワダチが石に挟まれている!ここでスタックしないためには…?

ワダチは走りにくい路面だ。できれば避けて通るほうのが無難。でも、林道はもちろんエンデューロでは、レースの後半になるほど深くなるもの。

「例えば路面に2本のワダチがあって、それを最後まで避けて走るのは難しいとします。それにワダチの中は荒れていて不安定。しかも先へ行くほど深くなるのがワダチというものです。だから、僕はなるべくワダチには入らないようにしています。どうしても避けられない場合は、たとえ1メートルでも避けて走れるように、ワダチとワダチの間の細いラインなどを狙います。またそうすることでバランス力を磨いています」

では、ワダチに入ってしまったときの攻略法は?

「例えば道幅があるなら、横切ってワダチを斬るラインを走ります。複数のワダチを横切ることで、走行ラインの選択肢を広げるのです。また、一度ストップしてしまったら、バイクをいったん戻して勢いをつけて再トライしたり、ちょっとバイクを傾けてみたりと、切り替えて考えます」

ちょうどワダチを挟むように石が半分埋まっていて、一見すると通れるように見えるが、まっすぐ進むとチェーンガイドが石に当たって止まってしまう。スピードを出しているとチェーンガイドが破損してしまうので注意が必要だ。こんなときはユウタロウ師範がレクチャーする『ワダチ側面トラクション』が有効だ。

今回のように埋もれた石の間をワダチが走っている場合は、いくらアクセルを開けてもガッチリと石が当たっていてリアタイヤはむなしくワダチを深くしてしまうだけ。

「こういった場合はまず、右側の石に足を着きます。そしてバイクを寝かせる。深いワダチは、バイクを横にすることでトラクションを得られるようになるんです」

『ワダチを斬る! Part.1』は、ありがちなワダチでのスタックの攻略法だ。

石に挟まれたワダチではリアタイヤがとられる!

① ゆっくりと石に当たらないようにアプローチ。この時点では、まだ石とワダチの隙間が通れるものか微妙だと思っているので、用心してスピードを落としている。

② 低速なのでフラフラしないよう、手頃な石に足を着いてバランスを取る。

③ ちょうど石のある場所が少し坂になっているので、エンストしないよう勢いをつける。

④ チェーンガイドが石に当たって抜けない! バイクを少し持ち上げようとしたが動かない。このままアクセルを開けても、ガイドが破損するかワダチが深くなるばかり。ここが少し頭をひねってリアタイヤのトラクションを復活させるポイントだ。

リアタイヤをワダチの側面に当ててトラクションを得る!!

① まずは右足を着いて体を支えてから体勢を整えるために左足に重心を移し替える。するとバイクを寝かせても右足が挟まれない。

② バイクを寝かすと石との間に隙間ができて、チェーンガイドの通るラインができた。再発進するときは、リアタイヤに荷重を加えるために左足はバイクから離さない。

③ ちょうど石の下にあるワダチの壁面で、グリップを得たリアタイヤがバイクを押し進める。このとき、勢いよくアクセルを開けるとどのぐらいグリップするのかつかみにくいので、アクセルはゆっくりと開ける。

④ リアタイヤが完全に石の横を抜けたら、バイクを立てながら右足をステップに戻し、バイクの動きに合わせて走り出す。

段差に片足を着いて力を使わずにバイクを寝かす

ワダチの側面にトラクションをかける方法は、走りながらできるワザではない。ワダチのなかだからこそ、これだけバイクを傾けられる。足が着きやすいから、体の小さいライダーでもバイクを支えられるのだ。リアタイヤがグリップを失ったら、ラインを変える、バイクを傾けるなど、足を着きやすい地形を利用して、いろいろな手を考えよう。

出来ることなら石を乗り越えてクリア!という上級者向けのテクもアリ

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このような上り坂の途中に石がある場合は勢いをつけたほうが上りやすいが、石の脇ではバイクが石と接触することを予測してスローダウンするほうがいい。もしフロントアップが得意なら、ワダチと石の隙間を通らず、石そのものを乗り越えてしまう、という上級者向けラインも考えられる。こちらは失敗するとダメージが大きいので、ウデに覚えのあるライダー向けだ。

「なるべくワダチに入らないほうが走りやすい」というユウタロウ講師に、今回の場所でのベストを聞いてみると、ワダチから跳び出して石の段差を乗り越えるラインを教えてくれた。ただ、このラインは上り斜面の途中から、ある程度のフロント抜重、理想としてはフロントアップができないと不可能。ライン上の石は滑りやすいので勢いだけでなく確実なコントロールも必要だ。

インストラクター

1978年12月、静岡県生まれ。7歳のときに父親の影響でバイクに乗りはじめ、15歳でエンデューロレースに初出場。以後、大きなレースに参戦を重ねて、02年には西日本WONETシリーズを制した。また04年には東日本シリーズSERIES初代シリーズチャンピオンに輝く。ISDEチリ大会のトロフィーチーム(日本代表)に選ばれ日本チームは12位。個人ではクラス34位という成績を残した。

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