オフ走行の基礎テクニック

【Vol.19】かっこいいバンクをキメるテクニック

掲載日:2010年09月14日 オフロードライテク講座オフ走行の基礎テクニック    

Gとは重力加速度(gravity)の略称。ここでは「スピードレンジを問わずに感じられる荷重の変化」のことを指す。「このGをライダーが積極的にコントロールすることで、オフロードバイクの楽しさは広がっていく」とは三橋選手のお言葉。オフロードライディングをより楽しむためのテクニック、それがG RIDEなのだ。

平地でできる G RIDE流“かっこつけ”

Gを積極的にコントロールして、さまざまなシチュエーションを走破してきた G RIDE 。Gをコントロールするとは、荷重や抜重のことでもあった。たとえばコーナリングでは、リアタイヤを路面にグリップさせるためにアクセルを開け続けて、リアにGをかけてクリアしていった。アクセルを全閉にしてしまうと、リアにGがかからなくなり不安定な状態となってしまうからだ。アクセルを開け続けてコーナリングする方法を身につけたクラモチは、一目見ただけで分かるほど走りの安定度が増していた。

さて、そんなクラモチが深いバンク角でのコーナリングに挑戦してみると、マシンを倒し込むことが出来ずオーバーランしてしまった。やっぱり倒し込むのが怖そうだ。

三橋「クラモチ君はアクセルを開け続けているよ。通常のコーナリングでは正解なんだけど、今回は深いバンク角でのコーナリングだから、それだとダメなんだ。アクセルを全閉にして、スパッとマシンを倒し込む。最初は怖いと思うけど、だからといってアプローチスピードが遅いのもダメだよ。マシンを重く感じてしまうから、余計倒し込みにくくなってしまうんだ。2速で、少し速めのスピードでアプローチしてごらん」

今回紹介するのは、マシンをスパッと倒し込んで、思いきり深いバンク角でコーナリングするテクニック。バンク角が深いので、マシンの向きを一気に変えることが出来るというメリットがある。が、それよりも目を引くのは、このスタイル。いきなりこんなバンク角を見せつけられれば、誰もがスゴイと思うはず。G RIDE なら、このコーナリング方法を簡単にマスター出来るのが、これまたスゴイところ。ということで、こんな遊び方もあるという一例として、魅せるテクニックを練習しよう。

今回紹介するのは、マシンをスパッと倒し込んで、思いきり深いバンク角でコーナリングするテクニック。バンク角が深いので、マシンの向きを一気に変えることが出来るというメリットがある。が、それよりも目を引くのは、このスタイル。いきなりこんなバンク角を見せつけられれば、誰もがスゴイと思うはず。G RIDE なら、このコーナリング方法を簡単にマスター出来るのが、これまたスゴイところ。ということで、こんな遊び方もあるという一例として、魅せるテクニックを練習しよう。

という三橋さんのアドバイスを得て、さらに練習を続けるクラモチだが…。

クラモチ「今まではアクセルを開けることでGをコントロールしてきましたよね。それに慣れているから、アクセルを全閉にするのが難しいんですよ」

と、やや困惑気味だ。

三橋「そうだね。言ってみればいつもの逆に近いことをやっているからね。どこかを走破するためのテクニックではないけれど、アクセルの使い方のひとつなのは間違いないから、覚えておけば走りの幅も広がるよ。それに、こんな走りができればカッコイイでしょ? ポイントさえ押さえておけば、クラモチ君もすぐできるようになるんだよ」

アクセルを開けるとマシンは直立してきて安定する。リアタイヤが路面をしっかりグリップし、さらにジャイロ効果も発生しているからだ。では、マシンを倒し込むにはどうすればいいのか?

それは、タイヤを路面にグリップさせず、ジャイロ効果も弱くなるようにすればいい。つまり、アクセルを閉じてやればいいのだ。こうして一瞬だけGのかかっていない不安定な状態を作り出し、この瞬間にマシンを一気に倒し込んでやる。この時、タイヤは路面をグリップしていないので、スリップダウンしそうな不安を感じるはずだ。しかし、アクセルを戻すと荷重はフロントまわりにかかるので、そのGを使ってフロントタイヤを路面にグリップさせてやる。コーナーの壁(ワダチの壁)をストッパー代わりにして、フロントタイヤがアウト側へ逃げないようにしてやるのだ。こうして一気にフルバンクさせたら、後はアクセルを開けていってコーナリングしていこう。

不安定な状態はなるべく短くしたいので、スパッと倒し込むことがポイントだ。アプローチスピードが遅すぎると、タイヤも路面に食いついてしまい、マシンをさらに重く感じてしまう。これだと倒し込みにくくなってしまうので、アプローチは2速を使い少し速めのスピードにしよう。そして倒し込む時はハンドルを押し込むのではなく、股の下でマシンだけを寝かし込むイメージでやってみよう。実際にやってみれば分かるが、ハンドルで倒し込もうとしてもマシンは寝ないのだ。

ということで、アプローチスピードを上げ、一瞬アクセルを全閉にし、スパッとマシンを倒し込んでいったクラモチ。練習を重ねるごとにバンク角がどんどん深くなっていった。

クラモチ「いつもと違うので慣れるまでは怖かったんですが、アクセルワークというかGの使い方の幅が広がった気がします。オフロードバイクは何でも楽しんでこそ、ですよね!」

マシンを倒し込めずにオーバーラン!

クラモチのダメダメな例

リアにGをかけ、タイヤをしっかりグリップさせながらアプローチ。

リアにGをかけ、タイヤをしっかりグリップさせながらアプローチ。

狙ったポイントに向かってマシンを傾けていく。

狙ったポイントに向かってマシンを傾けていく。

しかし思ったよりもマシンは傾いていかない。

しかし思ったよりもマシンは傾いていかない。

慌ててアクセルを全閉にするが、マシンを倒し込もうと狙っていたポイントは過ぎてしまった。

慌ててアクセルを全閉にするが、マシンを倒し込もうと狙っていたポイントは過ぎてしまった。

マシンは立ったままダラダラと進み、ついにオーバーランしてしまったクラモチなのであった…。

マシンは立ったままダラダラと進み、ついにオーバーランしてしまったクラモチなのであった…。

アクセルを戻せばマシンを倒しこみやすい

三橋センセイのお手本

マシンをバンクさせるポイントに向かって、2速でやや速めのスピードでアプローチしていく。

マシンをバンクさせるポイントに向かって、2速でやや速めのスピードでアプローチしていく。

腰を引いて、シートの後ろ目に座っているのがわかる。これでリアにGをかけ、リアタイヤをしっかりグリップさせている。

腰を引いて、シートの後ろ目に座っているのがわかる。これでリアにGをかけ、リアタイヤをしっかりグリップさせている。

イン側の足(この場合は左足)をマシン前方に出し、アクセルを閉じる。この時、イン側の足は地面に着こうとせず、地表をスライドさせるようにする。

イン側の足(この場合は左足)をマシン前方に出し、アクセルを閉じる。この時、イン側の足は地面に着こうとせず、地表をスライドさせるようにする。

アクセルを閉じるとジャイロ効果が弱まり、路面にかかるGも減るので、一気に倒し込んでいこう。目線はイン側に向けて、マシンの動きをリードしていく。

アクセルを閉じるとジャイロ効果が弱まり、路面にかかるGも減るので、一気に倒し込んでいこう。目線はイン側に向けて、マシンの動きをリードしていく。

思いきって倒し込んでいけば、マシンをここまでバンクさせることができる。あとはアクセルを開けていき、マシンを直立させながらスムーズに脱出していこう。

思いきって倒し込んでいけば、マシンをここまでバンクさせることができる。あとはアクセルを開けていき、マシンを直立させながらスムーズに脱出していこう。

正面から見ると…

①速めのスピードでアプローチ。目線はすでにイン側へ向けていて、マシンの動きをリードしている。②イン側の足をマシン前方に出しつつ、アクセルを閉じる。③④同時にマシンを一気に倒し込んでいく。シートの角に座り、リアにGをかけているのにも注目。フロントタイヤがワダチの壁に当たっているので、オーバーランの心配もない。

①速めのスピードでアプローチ。目線はすでにイン側へ向けていて、マシンの動きをリードしている。②イン側の足をマシン前方に出しつつ、アクセルを閉じる。③④同時にマシンを一気に倒し込んでいく。シートの角に座り、リアにGをかけているのにも注目。フロントタイヤがワダチの壁に当たっているので、オーバーランの心配もない。

かっこいいバンクをキメるポイント「○」と「×」

マシンを倒し込んでいく時は、体ごとイン側に入れるのではなく、マシンだけを股の下で寝かせるイメージでやろう。こうすると倒し込んだマシンのシートの角に座ることができ、リアにGをかけてマシンを安定させることが出来るからだ。また、ハンドルで倒し込もうとするとハンドルが切れてしまい、フロントが取られる原因になってしまう。転倒する危険性が高まるのでNGだ。マシン全体を寝かす、と覚えておこう。

股の下でマシンだけを寝かす

マシンを倒し込んでいく時は、体ごとイン側に入れるのではなく、マシンだけを股の下で寝かせるイメージでやろう。こうすると倒し込んだマシンのシートの角に座ることができ、リアにGをかけてマシンを安定させることが出来るからだ。また、ハンドルで倒し込もうとするとハンドルが切れてしまい、フロントが取られる原因になってしまう。転倒する危険性が高まるのでNGだ。マシン全体を寝かす、と覚えておこう。

ハンドルを切って曲がろうとすると、フロントブレーキをかけ過ぎた状態に近くなってしまう。フロントタイヤがロックしている状態とも言えるので、すぐにバランスが崩れ、転倒してしまう。マシンを倒し込むきっかけを、ハンドルを切って行っている人に多い失敗だ。股の下でマシンだけを寝かすイメージを持とう。

ハンドルを切って曲がる

ハンドルを切って曲がろうとすると、フロントブレーキをかけ過ぎた状態に近くなってしまう。フロントタイヤがロックしている状態とも言えるので、すぐにバランスが崩れ、転倒してしまう。マシンを倒し込むきっかけを、ハンドルを切って行っている人に多い失敗だ。股の下でマシンだけを寝かすイメージを持とう。

アクセルを閉じて一気にマシンを倒し込んでいるにも関わらず、思ったよりもバンクしない。じつはイン側の足がジャマしている場合が多いのだ。足を地面に着いてしまうことで、それ以上倒し込めなくなったり、体が遅れてバランスが崩れてしまう。イン側の足はマシンと一緒にスライドさせてやろう。

内側の足を残して曲がる

アクセルを閉じて一気にマシンを倒し込んでいるにも関わらず、思ったよりもバンクしない。じつはイン側の足がジャマしている場合が多いのだ。足を地面に着いてしまうことで、それ以上倒し込めなくなったり、体が遅れてバランスが崩れてしまう。イン側の足はマシンと一緒にスライドさせてやろう。

三橋 淳
インストラクター
三橋 淳

2007パリダカ・市販車無改造クラスで優勝を果たしたのは記憶に新しいところ。四輪ドライバー転向前は、BAJA1000、UAEラリー、ラリーレイドモンゴル、パリダカなどの海外レースで輝かしいリザルトを残してきた。豪快かつ繊細なライディングは未だに健在。

クラモチ
生徒
クラモチ

GARRRR編集スタッフではあるものの、オフロード経験はほぼゼロ。学生時代にカッコイイという理由で購入したKDX200SRも半日で焼きつかせてしまい、その後もストリート・オフローダーとしてRMX250S、DT200WRと乗り継いできた2スト好き。

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