オフ走行の基礎テクニック

【Vol.11】コブを使ってリアホップで遊ぶ

掲載日:2010年01月05日 オフロードライテク講座オフ走行の基礎テクニック    

Gとは重力加速度(gravity)の略称。ここでは「スピードレンジを問わずに感じられる荷重の変化」のことを指す。「このGをライダーが積極的にコントロールすることで、オフロードバイクの楽しさは広がっていく」とは三橋選手のお言葉。オフロードライディングをより楽しむためのテクニック、それがG RIDEなのだ。

スマート&イージーなオシャレテク リアホップでGのコントロールを知る

マシンをコントロールする楽しさがわかってきたクラモチ。今日は新たなセクションを探しがてら、三橋さんと林道ツーリング。雨上がりで路面は少し湿っているけれど、クラモチはしっかりリア荷重してトラクションさせながら快走している。すると、前を走る三橋さんが、路面にあったコブを使ってヒョイとリアタイヤを宙に浮かせた!

クラモチ「えっ!?えっ!?」

と、目をパチクリしている間に、クラモチはコブを舐めるように通過していった…。

クラモチ「三橋さん、さっきコブでやったのは何なんですか?」

三橋「あぁ、あれはリアホップっていうテクニックだよ。リアタイヤが斜面にかかった時にアクセルを開けて、ピョンと飛び上がるように抜重してアクセルを閉じるだけ。そうすると縮んだリアサスが伸びてきて、リアタイヤがフワッと浮き上がってくるんだ。スピードもゆっくりでいいし、荷重抜重を知っていれば簡単にできるんだよ。もちろん、このテクニックを使わなくても林道は走れるけど、ちょっとした地形を使ってアクションしてみれば、マシンをコントロールする楽しみが味わえる。だからもっと楽しく林道ツーリングができるようになるよ。スノーボードのフリーライディングみたいな感じだね」

クラモチ「これやりたいですっ! 林道ツーリングでさりげなくできたらオシャレじゃないですか!」

と、簡単安全オシャレテクのリアホップに反応したクラモチ。早速、練習開始だ。

リアホップに挑戦するクラモチだが、リアタイヤがコブに差しかかると思わずヒザを曲げて衝撃を吸収してしまう。コブを確実にクリアするなら、この方法で問題ない。でも、今回はリアタイヤがコブの斜面に差しかかった時に、両足を踏ん張って荷重し、リアサスを縮めるのが正解。積極的に両足でGをかけ、さらにアクセルを一瞬だけ開けてリアサスをグッと縮めてやる。そして、リアサスが伸びてくると同時にピョーンと飛び上がるようにして抜重。この動作でリアホップはできるのだけど、クラモチは “コブ通過=抜重” だけになっている。

クラモチ「今までと違う動作で慣れていないから、つい抜重しちゃいます」

三橋「条件反射で抜重するのは悪いことじゃないけど、それだけじゃGをコントロールしてるとは言えないよ。敢えて荷重したり、積極的に抜重したりと、ちょっとした地形でいろいろ試してみよう。オフロードライディングはサスを使うことが極意。上手いライダーは、その引き出しをたくさん持っているんだ。だから考えながら遊ぶことが、上達の秘訣になるんだよ」

という三橋さんのアドバイスで、地形で遊ぶ意識を持ったクラモチ。ついにリアホップもキメた!

リアタイヤをポーンと浮かすからリアホップ。上の写真では、ひねりを加えているけれど、リアタイヤを浮き上がらせつつ、両足でマシンを振っていくのがポイント。と言ってもこれは上級者向けのテクニック。今回はリアタイヤを真上にホップさせよう。楽しく遊びながら走るのがポイントだ。

リアタイヤをポーンと浮かすからリアホップ。上の写真では、ひねりを加えているけれど、リアタイヤを浮き上がらせつつ、両足でマシンを振っていくのがポイント。と言ってもこれは上級者向けのテクニック。今回はリアタイヤを真上にホップさせよう。楽しく遊びながら走るのがポイントだ。

リアタイヤをポーンと浮かすからリアホップ。上の写真では、ひねりを加えているけれど、リアタイヤを浮き上がらせつつ、両足でマシンを振っていくのがポイント。と言ってもこれは上級者向けのテクニック。今回はリアタイヤを真上にホップさせよう。楽しく遊びながら走るのがポイントだ。

ありがちなミステイク さっそくクラモチもトライするが…

【右】ギアは1速。早歩き程度のスピードでコブにアプローチするクラモチ。スタンディングで腰を引き気味にしているのでリア荷重になり、リアタイヤが路面をグリップしている。【中】アクセル一定のまま進入し、フロントタイヤがコブをクリア。リアタイヤがコブに差しかかった時もアクセルが一定のクラモチ。しかも、ヒザを曲げて抜重している。【左】というわけで、コブから受ける衝撃を吸収し、路面を舐めるように走ってしまったクラモチ。コブを走破するテクとしては正解だけど、コブで遊ぶリアホップとしては大失敗だ。

というわけで、コブから受ける衝撃を吸収し、路面を舐めるように走ってしまったクラモチ。コブを走破するテクとしては正解だけど、コブで遊ぶリアホップとしては大失敗だ。

アクセル一定のまま進入し、フロントタイヤがコブをクリア。リアタイヤがコブに差しかかった時もアクセルが一定のクラモチ。しかも、ヒザを曲げて抜重している。

ギアは1速。早歩き程度のスピードでコブにアプローチするクラモチ。スタンディングで腰を引き気味にしているのでリア荷重になり、リアタイヤが路面をグリップしている。

リアサスの縮み方に注目! コツはリアサスを縮める動きにあり

【右】コブに向かって真っすぐアプローチ。ギアは1速でスピードは小走り程度。コブでジャンプしてしまう時は速すぎ、舐めて走ってしまう時は遅すぎ、と思って調整してみよう。【中】フロントタイヤがコブの斜面にかかり始めたら、ステップに乗っている両足を踏み込むようにしてリアサスを縮めていく。実際はヒザが曲がるが、両足を突っ張るイメージを持つとステップにGをかけやすい。【左】リアタイヤがコブの斜面にかかったら、そのタイミングで一瞬アクセルを開けてリアサスをさらに縮める。そしてすぐにアクセルを閉じると同時に、体全体でピョーンと飛び上がっていく。

リアタイヤがコブの斜面にかかったら、そのタイミングで一瞬アクセルを開けてリアサスをさらに縮める。そしてすぐにアクセルを閉じると同時に、体全体でピョーンと飛び上がっていく。

フロントタイヤがコブの斜面にかかり始めたら、ステップに乗っている両足を踏み込むようにしてリアサスを縮めていく。実際はヒザが曲がるが、両足を突っ張るイメージを持つとステップにGをかけやすい。

コブに向かって真っすぐアプローチ。ギアは1速でスピードは小走り程度。コブでジャンプしてしまう時は速すぎ、舐めて走ってしまう時は遅すぎ、と思って調整してみよう。

【右】マシンの上で飛び上がるイメージだ。くるぶしでマシンを引き上げるのが理想だが、最初はステップから足が離れてもOK。しっかり抜重してリアサスの戻る動きを使おう。【中】縮められたリアサスが元に戻ろうとするパワーで、リアタイヤがフワッと浮いてくる。この時にヒザを曲げて、浮いてきたマシンを迎えるようにする。ここまでが抜重の動作となる。【左】そのままの姿勢をキープしていれば、アプローチスピードの惰性でフロントタイヤだけで走っていける。ハンドルを切ったり、ブレーキをかけたりと、余計なことはしない。

そのままの姿勢をキープしていれば、アプローチスピードの惰性でフロントタイヤだけで走っていける。ハンドルを切ったり、ブレーキをかけたりと、余計なことはしない。

縮められたリアサスが元に戻ろうとするパワーで、リアタイヤがフワッと浮いてくる。この時にヒザを曲げて、浮いてきたマシンを迎えるようにする。ここまでが抜重の動作となる。

マシンの上で飛び上がるイメージだ。くるぶしでマシンを引き上げるのが理想だが、最初はステップから足が離れてもOK。しっかり抜重してリアサスの戻る動きを使おう。

勢いがなくなればリアタイヤは自然と落ちてくる。コブを使ったリアホップはこれで完成。アクセルワークとボディアクションだけなので、フロントアップより簡単だ。

勢いがなくなればリアタイヤは自然と落ちてくる。コブを使ったリアホップはこれで完成。アクセルワークとボディアクションだけなので、フロントアップより簡単だ。

ジャンプで越えちゃダメ ということではない

林道にあるコブや段差をクリアするには、フロントアップでフロントタイヤが引っかかるのを避けたり、サスを縮めるきっかけとしてコブを使ってジャンプでクリアしたり、という方法が一般的だ。リア荷重+アクセルオンでフロントアップできるし、ある程度のスピードで進入してコブの斜面でサスを縮め、ピョーンと飛び上がるように抜重すればジャンプもできる。こうした方法を身につけておけば、林道走破では問題ない。でも、ただそれだけではワンパターン。違った方法も覚えてサスの使い方をいろいろと知っていれば、走り方も広がるというわけなんだ。

林道にあるコブや段差をクリアするには、フロントアップでフロントタイヤが引っかかるのを避けたり、サスを縮めるきっかけとしてコブを使ってジャンプでクリアしたり、という方法が一般的だ。リア荷重+アクセルオンでフロントアップできるし、ある程度のスピードで進入してコブの斜面でサスを縮め、ピョーンと飛び上がるように抜重すればジャンプもできる。こうした方法を身につけておけば、林道走破では問題ない。でも、ただそれだけではワンパターン。違った方法も覚えてサスの使い方をいろいろと知っていれば、走り方も広がるというわけなんだ。

くるぶしでマシンを 引き上げろ!

リアサスが縮んでいる状態から、リアサスが戻る動きに合わせて、体全体でジャンプ。この時に、くるぶしでマシンを引き上げるとリアホップし易くなる。写真のように、くるぶしでメットを引き上げるイメージだ。

リアサスが縮んでいる状態から、リアサスが戻る動きに合わせて、体全体でジャンプ。この時に、くるぶしでマシンを引き上げるとリアホップし易くなる。写真のように、くるぶしでメットを引き上げるイメージだ。

サスの伸び縮みを 体で感じろ!

リアホップは、リアサスをしっかり縮めてその反動を使うことが最初のポイント。そしてリアサスだけにGをかけるタイミングを掴むこと、それが次のポイントだ。まずは、リアサスにしっかりGをかけられるように練習しておこう。

ヒザとヒジが軽く曲がっているだけで、リアサスがフルボトム付近まで縮んでいるのが分かる。ヒザとヒジは突っ張るイメージで。

三橋さんの場合

ヒザとヒジが軽く曲がっているだけで、リアサスがフルボトム付近まで縮んでいるのが分かる。ヒザとヒジは突っ張るイメージで。

腰の位置が低い。これはヒザとヒジを曲げているから。せっかく体を使っても、ヒザとヒジで抜重している状態なので注意しよう。

クラモチの場合

腰の位置が低い。これはヒザとヒジを曲げているから。せっかく体を使っても、ヒザとヒジで抜重している状態なので注意しよう。

三橋 淳
インストラクター
三橋 淳

2007パリダカ・市販車無改造クラスで優勝を果たしたのは記憶に新しいところ。四輪ドライバー転向前は、BAJA1000、UAEラリー、ラリーレイドモンゴル、パリダカなどの海外レースで輝かしいリザルトを残してきた。豪快かつ繊細なライディングは未だに健在。

クラモチ
生徒
クラモチ

GARRRR編集スタッフではあるものの、オフロード経験はほぼゼロ。学生時代にカッコイイという理由で購入したKDX200SRも半日で焼きつかせてしまい、その後もストリート・オフローダーとしてRMX250S、DT200WRと乗り継いできた2スト好き。

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