オフ走行の基礎テクニック

【Vol.07】底が見えない川を走って渡りきる!

掲載日:2009年08月06日 オフロードライテク講座オフ走行の基礎テクニック    

Gとは重力加速度(gravity)の略称。ここでは「スピードレンジを問わずに感じられる荷重の変化」のことを指す。「このGをライダーが積極的にコントロールすることで、オフロードバイクの楽しさは広がっていく」とは三橋選手のお言葉。オフロードライディングをより楽しむためのテクニック、それがG RIDEなのだ。

川底の走行ポイントを見極め、アクセルを戻さず前進あるのみ!

河原のロックセクション走破方法を体得したクラモチ。三橋さんが待っている川岸まで、笑顔でたどり着くことができるようになった。しかし、いよいよ川渡りにチャレンジとなったとき、クラモチは「怖い…」と、フリーズしてしまった…。

三橋「失敗して転倒した時のダメージを考えると、誰でもビビるよね。じゃあ、何が失敗の原因になるか分かるかい?」

クラモチ「川の流れで底が見えないんですよ。だからどこを走ればいいのか全然分からないんです。水の抵抗がどれだけあるか分からないし…」

と、川渡りに憧れていたクラモチはすっかり意気消沈。

三橋「ということは、どこが走りやすいかを確認すれば不安は減るってことだよね。川渡りは、水深が浅くて渡りやすそうな所を探すことが、大きなポイントになるんだ。だからいきなり走らずに、必ず下見をすること。それと川の流れがあるので、アクセルを戻すとエンジンブレーキに加えて水の抵抗もブレーキになるんだ。バイクは走っているときよりも止まっているときのほうが不安定だから、アクセルを戻すことは不安定な状態を作ってしまうことになるんだ」

クラモチ「そうか! ロックセクション攻略と同じで、アクセルを戻さないでバイクを前進させていれば、バイクは直立してくるんですね」

と、川渡り攻略の糸口をつかんだクラモチ。

 

川がカーブを描いている場所では、イン側よりもアウト側のほうが流れが速く、川底の土砂が削られて深い。川面にさざ波が立っている所は、水深は浅いが川底に石が転がっている。また、川の両岸が砂の場合は川底も砂、小石なら小石、という場合が多い。

アクセルは戻さず、開けた状態をキープ。バイクを直立させて真っすぐ走る。

三橋「バイクが直立した状態はリア荷重になっているから、フロントまわりが軽くなる。すると、フロントサスのストロークがたっぷり使えるから、何があるか分からない川底の路面にも、十分対応できるようになるんだよ。じゃあ、早速トライしよう!」

いきなり走らず まずは下見から

安全に川渡りをする秘訣は、必ず下見をすること。まず川を見渡してライン選びのヒントを得たら、トライアル選手のようにバイクから降りて歩いてみる。そして実際の川底の状態、川の流れの速さをしっかりと確認しておこう。渡るラインの水深は、リアスプロケットが川面に着くくらいが目安。アクスルシャフトが水中に入ってしまうと、かなり深いと感じるはずだ。替えのソックスを用意しておくのも忘れずに。

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ラインを確認したらいよいよ進入!リアにしっかりとGをかける

下見して川の状況を把握したら、なるべく真っすぐ抜けられるようなライン取りをする。バイクはつねに水の抵抗を受けていてハンドルが取られやすい状態だ。そこでハンドルを切るのは、自分でバランスを崩しているのと同じ。ギアは1速。川底はすべりやすいので、アクセルをガバッと開けるとスリップの原因となる。ステップを真下に踏み込み、アクセルをじんわりと開け続け、バイクを直進させ続けよう。腰を引いてリアにGをかけてやるが、スタンディングかシッティングかは自分のやりやすい方でいい。

ハンドルを真っすぐにしてステップを真下へ踏み込み、バイクを直立させる。ギアは1 速で小走り程度のスピードで進入していく。

 

リア荷重しているのでフロントサスが伸びている。フロンサスのストロークがたっぷり残っていることで、不意の衝撃にも対応できる

リア荷重とアクセルを開け続けることによって、バイクは直立状態をキープ出来る。バランスを崩すことなく、安全に川を渡りきれた。

 

水の抵抗に負けないよう、アクセルは開けた状態をキープ。ハンドルではなく、ステップを踏み込むことでバランス修正していく。

基本的にやっていることはロックセクションと同じ

 

アクセルを戻さず、ステップ荷重でバランス修正する。川渡りは、じつはロックセクション攻略方法と同じ。ただし、川渡りは路面状況がさらに確認しづらく、水の抵抗をつねに受けて走ることになるので、つねに腰を引いてリアサスにGをかけ、リアサスを縮めてリアタイヤをしっかりとグリップさせる。フロントサスのストロークをフルに使えるようにしたら、アクセルを少しだけ多めに開けて、水の抵抗でラインから外されないようにする。

川渡りの基本中のキホン。進入は川上から川下へ

 

川渡りでラインを決めるときは、必ず川上から川下へ向かうラインを取るようにする。川下から川上へ向かうラインを取ると川の流れに逆らうことになるので、川上から川下へ向かうラインよりも水の抵抗が大きくなってしまう。転倒するリスクを極力減らすには、川の流れに逆らわないようにすること。また、川渡りする際は、マナーにも十分配慮すること

途中で止まってしまったらジタバタせずに降りて押す!

川底の石はコケが着いていて滑りやすい。ヒルクライムの途中で再発進するのと同じで、リアタイヤをグリップさせるのはとても難しい。川渡りの途中で止まってしまったら、バイクから降りて、慌てずに脱出してから再チャレンジする。

滑りやすく足場の悪い川の途中では、2輪2足でジタバタすると、スリップを誘発してバランスを崩す原因となる。スパッと諦めてやり直すことが、転倒を避けることになる。

 

バイクから降りる場合は、必ずバイクの川上側に立つ。川下に立ってしまうと、バイクの重量に水の抵抗がプラスされてしまい、足をすくわれる危険性が高くなる。

三橋 淳
インストラクター
三橋 淳

2007パリダカ・市販車無改造クラスで優勝を果たしたのは記憶に新しいところ。四輪ドライバー転向前は、BAJA1000、UAEラリー、ラリーレイドモンゴル、パリダカなどの海外レースで輝かしいリザルトを残してきた。豪快かつ繊細なライディングは未だに健在。

クラモチ
生徒
クラモチ

GARRRR編集スタッフではあるものの、オフロード経験はほぼゼロ。学生時代にカッコイイという理由で購入したKDX200SRも半日で焼きつかせてしまい、その後もストリート・オフローダーとしてRMX250S、DT200WRと乗り継いできた2スト好き。

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