オフ走行の基礎テクニック

【Vol.06】河原によくあるロックセッションを走破する!

掲載日:2009年06月03日 オフロードライテク講座オフ走行の基礎テクニック    

Gとは重力加速度(gravity)の略称。ここでは「スピードレンジを問わずに感じられる荷重の変化」のことを指す。「このGをライダーが積極的にコントロールすることで、オフロードバイクの楽しさは広がっていく」とは三橋選手のお言葉。オフロードライディングをより楽しむためのテクニック、それがG RIDEなのだ。

Gはステップの真下へかけてエンジンの回転をキープしながら走る

クラモチ 「オフロードバイクに乗ってるからには、川渡りがしたいんですよ」

というクラモチのリクエストに

三橋 「よし、河原に行こう!」

と、二つ返事で答えてくれた三橋さん。川渡りしやすそうな場所を見つけてスタンバイしているのに、肝心のクラモチがいつまで経ってもやって来ない。どうやら河原のロックセクションに手こずっているようだ。

クラモチ 「ハンドルが取られて、行きたい方向へ行けないんですよ…」

三橋 「こうしたロックセクションを走るときは、フロントが振られないようにすることが重要なんだ。バイクの真ん中に乗って、ステップを真下に踏み込んでGをかけ、リアタイヤにトラクションをかける。アクセルを戻さずにバイクを前進させていれば、ジャイロ効果でバイクは直立してくる。こうすれば、バイクが振られてもリカバーできるようになるんだ。ただ、アクセルは開けすぎてもリアがスライドする原因になるから、トコトコ走っている回転域をキープしよう」

という三橋さんのアドバイス。バランスを崩すとアクセルを戻していたクラモチだったが、じつは、それがうまく走れない原因だった。回転を上げるのではなく、閉じないように意識することがポイントなのだ。

まずはアクセルを戻さずゆっくり走ってみよう

ロックセクションが難しいのは、前輪が石の凹凸をなめることで、フロントが左右に振られてしまうから。これを防ぐにはトコトコ走っている状態のアクセル開度をキープして、バイクが直立している状態を作ってやればいい。アクセルを戻すとエンブレが利き、フロントサスが縮んでしまう。この状態だと前輪が石を乗り越えられず、ハンドルが勝手に切れる原因になる。ハンドルでバランス修正せず、ステップを踏み込んでアクセルを戻さないことが攻略のカギだ。

少しだけ腰を引いてスタンディング。両足でステップを踏み込んでリアタイヤにGをかけるのは、リアサスを縮めることでフロントサスが伸びるから。これでフロントのサスストロークを使い切れるようになる。

バランス修正もステップ荷重で行なう。ハンドルを切ると一気にブレーキがかかった状態になってしまう。ニーグリップやくるぶしグリップを意識せず、ステップを真下に踏み込むことに注意する。

スピードアップしてガーっと走ってみよう!

ゆっくり走れるようになったら、徐々にスピードアップしてみよう。アクセルを戻さず、真っすぐに走れるようになっているなら、じつは速く走るほうが簡単なのだ。ゆっくりだと、小さい石でもフロントサスがストロークしてしまうけれど、スピードを上げた場合はサスの初期動作が小さい石から受ける衝撃を吸収してくれるからだ。スピードが上がった分、大きな石から受ける衝撃は大きくなるけれど、なるべく衝撃を受けないように走ればいい。

サバイバルライド

クラモチのビミョ~な例

「速く走ったほうが凸凹が少ない気がする」と、クラモチもスピードアップの効果を感じていた。あとはアクセルを開け続けていられるかが問題だ。

スタンディングフォームをもう一度確認する

リア荷重してタイヤグリップを稼ぎ、フロントは抜重して振られに対応する。この2つの目的に同時に対応できるのが、両手がフリーになるG RIDE流スタンディングポジションだ。ハンドルを押さえ込んでバランス修正すると、ハンドルにしがみつくようになってしまい、すぐに腕上がりしてしまう。これではアクセル開度をキープするのも難しくなる。手はハンドルに添えるようなイメージでグリップを軽く握るだけにして、アクセルを戻さずに、ステップを真下に踏み込むことでバイクを直立させるようにしよう。“両手は添えるイメージ”だ。

スピードアップに対応したブレーキング

走るスピードが上がったら、確実に止まれるブレーキングも身につけなければならない。いちばん危険なのは石にすくわれてフロントから転倒すること。フロントサスを伸ばした状態にして、サスストロークを十分に使えるようにしておくことが、ロックセクションでのブレーキングのカギとなる。ブレーキはリアのみを使い、最初からガツンとロックさせる。腰を引いてリアタイヤにGをかけ、リアまわりが跳ねるのを防ごう。腰を引くことでリアタイヤにGがかけられているので、リアの振られや跳ねに対応できるようになる。

ステップを踏み込んでハンドルを真っすぐにし、アクセルを多めに開けることでスピードアップして走ってくる。フロントサスは伸ばした状態だ。

ハンドルは真っすぐのまま、リアブレーキをガツンと踏んで一気にロックさせる。腰を引いてリアタイヤにしっかりとGをかけてやる。

リアタイヤがスライドしているが、腰を引いてGをかけているので跳ねてはいない。ハンドルも真っ直ぐでバイクも直立している。

フロントまわりのバランスが崩れていないので、確実に止まることができた。ブレーキングで体が前にいかないように注意しよう。

クラモチの成功例 !?

開けるほうが安定することに気付いたクラモチ。ブレーキングも安定してきた。「ハンドルにしがみつかない」ことが今回のポイントになったようだ。

ロックセクションでのUターンを覚えよう !!

バランスを崩しやすい場所なので、足を着いてUターンするのはOKだ。しかし、両足を着こうとすることが、バランスを崩す原因になるのだ。足はターンしたい方向のイン側だけ着いて、バイクをターンしたい方向へ傾ける。アクセルを開けてバイクが動いたら、アクセルは戻さないようにする。バイクを進ませ続けて、そのバイクの動きに合わせて、着いた足も一緒に歩くように前に出していこう。

バイクをターンしたい方向に傾けて、そのイン側の足だけ着く。足は写真の位置より後ろに行かないようにするのがポイント。これより後ろに行くと、体がバイクから遅れてバランスを崩す原因になってしまう。

バイクが進み出したら、アクセルは戻さない。ロックセクションでの発進は難しいので、再発進はできるだけ避ける。またハンドルを切りすぎるとフロントが引っかかる原因になる。Uターンといっても小さく回る必要はない。

バイクが前進するのに合わせて、着いた足も一緒に歩くように前に出し続けていく。アウト側の足はステップに乗せたままになっている点にも注目。両足を着こうとするとバイクが直立して、向きを変えられなくなってしまうのだ。

クラモチのダメダメな例

バイクの向きを変えられずUターンに苦戦するクラモチ。両足を着こうとしているのでバイクが立ち、ハンドルを切っているのでフロントが引っかかっている。着いた足も遅れている。

三橋 淳
インストラクター
三橋 淳

2007パリダカ・市販車無改造クラスで優勝を果たしたのは記憶に新しいところ。四輪ドライバー転向前は、BAJA1000、UAEラリー、ラリーレイドモンゴル、パリダカなどの海外レースで輝かしいリザルトを残してきた。豪快かつ繊細なライディングは未だに健在。

クラモチ
生徒
クラモチ

GARRRR編集スタッフではあるものの、オフロード経験はほぼゼロ。学生時代にカッコイイという理由で購入したKDX200SRも半日で焼きつかせてしまい、その後もストリート・オフローダーとしてRMX250S、DT200WRと乗り継いできた2スト好き。

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