静岡県「滑沢林道 / 旧道天城越峠線」

掲載日:2009年03月26日 林道ツーリング情報局東海エリア    

このコンテンツはガルル275号(2009年2月6日発売)掲載の記事をもとに再編集したものです。

林道ツーリング情報局

風情ある旧道天城越峠線から伊豆・天城越え!

林道ツーリング情報局

早咲きで知られる伊豆半島河津町の「河津桜」は、2月中旬に早くも満開を迎え、菜の花と共に3月上旬までが見ごろだとか。真っ青な空のようにスカッと爽快の私。メタボリックMASAさんも「ナルハヤで準備して出発しましょう!」と元気いっぱい。さっそく向かったのは、修善寺温泉街にたたずむ修禅寺。行ったときはまだ早かったけど、修善寺梅林はこれから3月にかけて、小高い丘が3,000本もの紅白梅で彩られる。朝の澄んだ空気のなか、どことなく懐かしさを感じる古い街並みを後に、近くにある浄蓮の滝へバイクを走らせた。

ガランとした広い駐車場にバイクを止め、急な斜面の石段を降りると、ひと筋に落下する力強い音と、青く澄んだ滝つぼの水が神秘的だった。まよわず深呼吸。おいしい!流れ落ちる清流脇には、青々としたワサビ田もある。で、そのワサビが練りこまれたアイスが売られていたので、試しに食べてみることにした。メタボリックMASAさん、ひと口食べて「ゴホッ!あと全部食べていっす…」って、そんな顔して差し出されても嬉しくないんですけど(笑)。なかなか減らないアイスを食べながら駐車場に戻ると、踊り子号なんていう観光バスが数台止まっていた。ハンドルを握り、セルを回す瞬間、滝のほうから観光客のおばさん達のひときわ賑やかな歓声が聞こえてきた。

国道414号を少し南下し、滑沢林道に入った。滑沢渓谷沿いのピストンダートで太郎杉を見に行ったのだ。そしたらここの渓流でもワサビが栽培されていた。林道って清流沿いが多いから、以前、自生しているワサビを見つけて感動のあまり自宅で育てたけど、数ヶ月で根ぐされしちゃった。やっぱり美しい自然が一番なんだって、その時思った。太郎杉に到着すると、特大バージョンの杉の木に、ただただポカン!見上げる先端はどの木よりも高く。山で道に迷ったら太郎杉を目指せばいいか…なんて思ってしまうほどだ(笑)。

すこし移動していよいよ天城越え。あえてダートというのも風情があって、魅力の旧国道に入っていった。トンネルの全長は445.5mで、少しの狂いもなく縦横に積まれた石造りはさすがに素晴らしい!ここはアクセルを戻してゆっくり味わおう。2つの排気音がトンネルに吸い込まれるように重く低く響いた。トンネルの入口横に休憩所が設置されている。昔はそこに茶屋があって、小説「伊豆の踊り子」では、踊り子が高等学校の学生と出会い、お互いほのかな恋心を抱いた茶屋だ…。まあ、小説の世界だけどね。って、ひとりセンチメンタルになる私。

この後、旧道を抜けると国道414号線を北上し、県道59号を西へ向かい、標高900mの仁科峠を走るルートを選択した。じつは昨夜、ルート選択に迷っていた。山脈の尾根を駆け抜ける峠道は、雄大な眺望はもちろん素晴らしく、整備されたワインディングロードで走りも楽しめる…だけど夏でも風が強いところ。かなり悩んで、このルートに決めたけど、案の定ビュービューと吹きつける風が寒い。流れる風景のなか、右に左にコーナーリングを続け、峠に着いた。富士山を望み、駿河湾を見下ろす。眺めよし!高原から吹き上げる風は冷たいが、このコースにしてアタリだった。峠を越えるとタイトなワインディングになった。とにかく寒くて、温まるために入ったのがわさびの駅。地下1000mから湧きだすという水が存在するそうで、美味しそうなコーヒーをいただいた。

体もほぐれたところで、さあ出発だ!県道59号をわずかに南下し、祢宜畑倉見林道にやってきた。しかし林道は舗装工事中…。しかたなく北西側の入口となる宇久須へアプローチ。山を下って、海岸線の国道136号を北上する。気がつけば午後3時になろうとしていた。途中、八起鮨でプリプリの小あじ鮨を食べて、北西側の林道入口へ向かった。林道に入り、とりあえず行けるところまで行ってみると、また工事中。まだ全舗装にはしないということだけど…。なんだかしょんぼり。

黄昏色の陽光がバイクの陰影を長く映しはじめていた。これから長者ヶ原年川林道に行くと真っ暗になってしまうので、あきらめて旅人岬に向かうことにした。私たちはアクセルをひねり続けてスピードアップ!日暮れ間際に岬に辿り着き、バイクを止めた。宝石のように輝く駿河湾を眺めながら「どうにか間にあったね!」って、自然が織りなすファンタジックな演出にほほ笑んだ。

渓流が一枚の岩の上を滑るように流れる滑沢渓谷。そこから原生林が美しい滑沢林道を走って太郎杉を見に行った。400年以上の時間を越えてきた太い根元からのアングルに圧倒。

渓流が一枚の岩の上を滑るように流れる滑沢渓谷。そこから原生林が美しい滑沢林道を走って太郎杉を見に行った。400年以上の時間を越えてきた太い根元からのアングルに圧倒。

小説「伊豆の踊子」や「天城越え」で有名な旧天城トンネル。馬蹄形をした切り石造りで、石造道路トンネルでは日本最長。国の重要文化財である。

小説「伊豆の踊子」や「天城越え」で有名な旧天城トンネル。馬蹄形をした切り石造りで、石造道路トンネルでは日本最長。国の重要文化財である。

伊豆半島の山間部にある仁科峠。標高900m、360度のパノラマは素晴らしく、駿河湾、天城連山、富士山を望む。交通量が少なく快適で、春にはあわい桃色の山桜も咲きほこる。

伊豆半島の山間部にある仁科峠。標高900m、360度のパノラマは素晴らしく、駿河湾、天城連山、富士山を望む。交通量が少なく快適で、春にはあわい桃色の山桜も咲きほこる。

祢宜畑倉見林道は先の方で通行止め。2月に工事完成予定とか。気になるダートは何km減に?

祢宜畑倉見林道は先の方で通行止め。2月に工事完成予定とか。気になるダートは何km減に?

あわててツーリングマップルでルート確認。でもこの周辺の林道はほとんどゲートで封鎖されているんですよね…

あわててツーリングマップルでルート確認。でもこの周辺の林道はほとんどゲートで封鎖されているんですよね…

夕日スポットの旅人岬に来た。波の音をBGMに海を見つめる。ねえ、笑いこらえてない?

夕日スポットの旅人岬に来た。波の音をBGMに海を見つめる。ねえ、笑いこらえてない?

立ち寄りポイント

浄蓮の滝

ポイント

名曲「天城越え」でも知られる。ここでワサビソフトを食べました。さすがに伊豆はワサビの名産地ということで、各所で売られていますが、ツーンとくる辛さに顔がゆがみます!まるでワサビそのものでした(泣)。

元祖こあじ鮨総本店包丁処 八起鮨

ポイント

新鮮な小あじを三枚におろしてにぎる。あじの上には、すり生姜、ネギ、青シソの薬味が盛られ、歯ごたえのある甘いあじに、さっぱりとした味わいの薬味が口の中でとけあいます。小あじ寿司10個1,260円、カサゴ汁などもある。

住所/静岡県賀茂郡西伊豆町宇久須669-1
電話/0558-55-0598

サルでもわかる!! やさしい林道ツーリングガイド

真冬の伊豆半島。豊富に湧く温泉につかり、海岸線まで迫る山々…

南国を感じさせる太平洋の青い海原、移り変わる景色のなかを走ってきました!

滑沢林道/ダート区間約2km
旧道天城越峠線/ダート区間約5.5km 他

マップ

松下時子
林道レポーター
松下時子

林道ツーリングをこよなく愛する主婦。愛車セローを駆り、日本全国の林道調査を続けている。自身のホームページ「エンジョイオフロード」も随時更新中!!

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索