2018年 全日本モトクロス選手権 第5戦HSR九州大会

掲載日:2018年06月13日 フォトTOPICS    

写真・文/田宮 徹
取材協力/MFJ全日本モトクロスオフィシャルファンサイト  国際A級プロフィールサイト「モトクロ男子」

2018年 全日本モトクロス選手権 第5戦HSR九州大会の画像

マディが覚悟された大会は、土日のみ天候が改善する幸運
IA-1では山本鯨選手、IA-2は能塚智寛選手が両ヒート制覇を達成!

2018年の全日本モトクロス選手権シリーズ第5戦が、6月9日(土)~10日(日)に熊本県のHSR九州で開催されました。

ホンダの二輪車生産拠点となる熊本製作所に併設されたコースは、アップダウンがほとんどない広大な平地にレイアウトされていて、2014年の大改修により、前半から中盤まではダイナミックなハイスピード設定に、終盤はジャンプやリズムセクションを多く配したテクニカルな構成となっています。阿蘇の火山活動に由来する黒土の路面で知られてきたコースですが、近年は全日本開催にあわせて良質な山砂を大量に搬入し、さまざまな土質が混在する仕様とされてきました。さらに今大会では、川砂や海砂も使いわけ、より多彩な路面状況に切り替わるセッティングとされていました。

天候は、各クラスの予選やIBオープンクラスの決勝ヒート1などが実施された土曜日が晴れ。ただし、前日に大量の降雨があった影響により、コースは前半部分を中心にショートカットされました。決勝が繰り広げられた日曜日は曇りで、お昼前後の2時間ほどは雨。それでも、事前の予報と比べれば悪くない天気で、午後一番に実施されたレディースクラスを除けば、まずまずの路面コンディションが維持されました。

全日本最高峰クラスとなる、排気量450ccの4ストマシンで競われるIA-1では、ホンダファクトリーチームの山本鯨選手(#1)が、今季初優勝と両ヒート制覇を達成。ヒート2では、カワサキトップチームの小方誠選手(#2)や新井宏彰選手(#331)と激しいトップ争いを繰り広げ、会場を沸かせました。

排気量250ccの4ストマシンが出走するIA-2は、ホンダファクトリーチームの能塚智寛選手(#828)が力の差を見せつけて両ヒート優勝。ランキングトップの古賀太基選手(#922)がヒート1でリタイアに終わったことから、能塚選手は古賀選手に3点差まで迫りました。

また、2スト85ccと4スト150ccが混走するレディースクラスは、これが地元大会となる畑尾樹璃選手(#4)が今季3勝目を挙げました。

IA-1の決勝ヒート1は、ホンダファクトリーチームの山本鯨選手が勝利。開幕戦からこれまで、マシンとのマッチングに苦しんできた山本選手は、これが今季初優勝。1周目にトップへ浮上すると、後続からのリードを最後まで守り切りました。

IA-1の決勝ヒート1で、2位に入賞した小方誠選手。レース中盤までは、山本鯨選手(#1)と新井宏彰選手(#331)と3小方選手が、3~4秒ずつの間隔を開けてトップグループを形成。レース後半に、小方選手がチームメイトの新井選手を抜きました。

IA-1決勝ヒート2は、トップグループが縦長になったヒート1に対して、同じ3台が激しい接近戦を繰り広げる展開となりました。レース序盤は、トップの山本鯨選手(#1)を、小方誠選手(#2)と新井宏彰選手(#331)が激しく追い立てる周回が続きました。

IA-1決勝ヒート2のレース前半には、ホンダファクトリーチームの山本鯨選手(#1)をカワサキトップチームの小方誠選手(#2)がパスするシーンが何度もありましたが、そのたびに山本選手が抜き返し、デッドヒートは最終ラップまで継続しました。

IA-1決勝ヒート2で、最終ラップまで僅差で追いすがる小方誠選手(#2)を制して、両ヒート制覇を達成した山本鯨選手。ここまで、IBオープンとレディース、IA-2の全レースでホンダ勢が勝利していて、この山本選手の優勝でホンダ完全制覇が決定!

IA-1決勝で、両ヒート3位となったカワサキトップチームの新井宏彰選手。やや苦手意識があるコースで奮闘しましたが、ヒート1は上位2台についていけず、ヒート2はレース中盤までトップ争いに加わりましたが、後半に引き離されてしまいました。

IA-1のポイントリーダーとして今大会を迎えたホンダファクトリーチームの成田亮選手は、タイムアタック形式の予選で手首を痛めた影響などから、決勝はヒート1が4位、ヒート2が5位と今大会は低迷。ただし依然としてランキングトップを守っています。

今季からマシンをホンダにスイッチして、プライベートチームでの参戦となるIA-1の小島庸平選手。決勝ヒート1は、オープニングラップに激しく転倒してリタイアに終わりましたが、ヒート2は最後まで追い上げを続けて、今季自己最高となる4位入賞!

両ヒート総合成績によるIA-1の表彰式。写真中央が、今季初めて表彰台の頂点に立った山本鯨選手(#1)。同左が、ヒート2では山本選手を最後まで苦しめた小方誠選手(#2)。同右が、両ヒートで3位となった新井宏彰選手(#331)です。

IA-2の決勝ヒート1は、スタート直後の1コーナーで、6~7台のマシンが絡むマルチクラッシュが発生。ポイントリーダーとして今大会を迎えた古賀太基選手(#922)が、これによりマシンを破損し、3周を走ったところでリタイアに終わりました。

IA-2の決勝レースで、両ヒートとも後続を大きく引き離して勝利を収めたホンダファクトリーチームの能塚智寛選手。前戦ヒート2で転倒リタイアを喫しましたが、今大会ヒート1でランクトップの古賀太基選手(#922)がノーポイントとなり、再び3点差に!

IA-2決勝ヒート1では、レース中盤に横山遥希選手(#66)と小川孝平選手(#912)のカワサキ勢が2番手争い。これを制した小川選手が2位、レース終盤まで小川選手をマークするも再逆転のチャンスを得られなかった横山選手が3位となりました。

IA-2のポイントリーダーとして今大会を迎えた古賀太基選手は、決勝ヒート1を転倒によるマシン破損でリタイア。決勝ヒート2は、序盤に能塚智寛選手(#828)と激しいトップ争いを繰り広げましたが、レース中盤からリードを拡大されて2位でした。

IA-2の決勝ヒート1で2位、ヒート2で3位となった小川孝平選手。どちらのヒートもスタートが決まらず、追い上げを強いられる展開。「前戦でふがいない走りをしてしまい、今回は出遅れが響き、悔しいです」と、次戦での巻き返しを誓っていました。

両ヒート総合成績によるIA-2の表彰式。写真中央が、今季初の両ヒート制覇も達成した能塚智寛選手(#828)。同左が、2位と3位で総合2位の小川孝平選手(#912)。同右が、ヒート2は1周目の転倒から6位まで追い上げた横山遥希選手(#66)。

レディースクラスの決勝は、直前までの降雨によりマディに近い路面コンディション。幼いころからこのコースを走り、滑りやすい黒土の攻略法をよく知る畑尾樹璃選手が、2位以下を圧倒するラップタイムで逃げ切って今季3勝目を挙げました。

写真中央が、レディースクラスで勝利を収め、ランキングトップの座を守った畑尾樹璃選手(#4)。同左が、畑尾選手には離されながらも2位となった竹内優菜選手(#1)。同右が、1周目7番手から追い上げて3位となった川井麻央選手(#8)です。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索