KTM フリーライド 250 R
KTM フリーライド 250 R

KTM フリーライド 250 R – 野山をトレッキングするバイク

掲載日:2013年12月24日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/ダートライド編集部  取材協力/KTMジャパン

野山をトレッキングするバイク
それがフリーライドというニューカテゴリー

世界的に見るとオフロード界で揺るぎない実力を持ち支持を得ている、オーストリアのKTM。我々日本人にとっては、国産4社が優秀なので馴染みがない人もいるかもしれないが、保安部品を装備したエンデューロモデルでは完全にKTMに軍配が上がる。近年はオンロードモデルを拡充し、元々持っている実力を惜しみなく発揮した結果、そちらの分野でも名を馳せるようになったが、KTMの根底はやはりオフロードだ。ここに紹介する“フリーライド”というモデルは、そのオフロードに強いKTMが2012年に初めて出したコンセプトモデルに近いもので、モトクロスでもなくエンデューロでもなく、そういった競技色の強いフィールドで使うのではなく野山を気持ち良く駆け巡るために生み出された、完全ニュージャンルのモデル。オフロードレースで培った技術を投入しながらディメンションなどを工夫し、また前後にトライアルタイヤを履く事から、大地とセッションするような使い方で最大の効果を発揮する。まるでMTB(マウンテンバイク)にエンジンを載せたようなモーターサイクルとなった。

KTM フリーライド 250 Rの特徴

KTM フリーライド 250 Rの画像

軽量・軽快な2ストローク
動きの良い足回りとベストマッチ

フリーライド 250 R最大の特徴は、もちろん2ストローク250ccエンジンだろう。ベースとなるのは同社の250 EXC。これを改良する事でまず2kgの軽量化に成功。トレッキングモデルとも言えるフリーライドでこの点は見逃せないだろう。キックスタートとパワーバルブを排除し、始動はセルモーターオンリーとなる。その他に、新作のクランクケースとクラッチカバー、ウォーターポンプシャフトを開発する事で、ここでも1kgの軽量化に成功している。シリンダーも新設計品で、エキゾーストシステムを非装備とする事で軽量化、ポートとタイミングを調整し完全なトルク型エンジンとスポーティなエンジンを両立させた。このシリンダーと合わせるかたちで、ピストンも新作となった(リングは2枚)。圧縮比をコントロールするシリンダーヘッドもフリーライド 250 R専用の燃焼室設計になり、圧縮比を最適化している。

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更に脅威的なのが2ストロークオイルとガソリンの混合比。新たにケイヒン製の28mmPWKを採用し、最適なパワーデリバリーと低燃費を実現させながら、混合比は1:80。これにより白煙の軽減化を図っている。また、2つのイグニッションカーブ(点火タイミング)を持ち、スタンダードとなだらかな点火カーブとでトラクションを確保する。

ギアボックスは新型の6速となり、トップをオーバードライブとする代わりに、5速以下は250 EXCよりも低いギアレシオを採用している。クラッチも新作。CSSクラッチとなり、バスケットは耐摩耗性に優れたスチール製。新開発のクラッチパッケージとスプリングにより仕様はソフトに。同時に、マスターシリンダーの見直しもされている。

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シャシー関係では、2ストロークエンジンを搭載するのを前提にフレームを見直し。フリーライド 350対比で約60mmシート高が下がった。プラスチックのサブフレームは継続採用となる。スイングアームは3.2kgと軽量な部類に入るもので、高い横剛性と捻じれ剛性に加え、縦方向には柔軟性を持たせている。細かいところでは、チェーンガイドの品質を向上させている。

サスペンションはKTMでお馴染みWP製となり、43mmの倒立サスペンションはフリーライド 350比で固めのセッティングに変更。ボトム付近での対応性能を向上させている。トリプルクランプはCNC削りだしで、高い剛性と正確な動きに貢献する。リアはリンクレスとなるので、PDSモノショックを採用。こちらも固めのセッティングとし、またスプリング性能を高める事で、スポーティーでありながらボトム付近の対応性能を向上、車両全体のバランスもより良好となった。

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細かな改良と
専用設計タイヤの採用

エンジンとシャシー以外では、新しいRタイプのグラフィックを採用。フリーライド 350から継続するスリムなシートとスポイラーデザインとなり、また2ストロークだと気になるチャンバーの張り出しはエンジンサイドに配置する事でスリムなスタイルを維持すると共に、転倒時に高い保護性能を発揮するつくりになっている。アルミ製のサイレンサーとこの流線形のチャンバーとの組み合わせで、高いトルク性能を生み出してもいる。スピードメーターも新型となりトレイルテック社製を採用。小型軽量ながら、多彩な機能と使いやすさを両立させている。

シート下に収まる燃料タンクと独特のエアクリーナー構造は、フリーライド 350から変わらず。軽量なポリエチレン製を採用し、半透明なため外から残量が確認出来る。また、スリムなスタイルを維持しながら7リットルに容量を増やしてもいる。その燃料タンク後方に位置するエアボックス(KTMでの名称)は、新作となり4ストロークモデルより容量が大きくなり目詰りが起こりにくくなった。クイックさは相変わらずで、たいへん便利な作りは変わらない。

冷却関係はラジエーターはシングルとなり、車体のコンパクトさに貢献し、また容量の少なさはファンの装着で補う。サーモスタットスイッチが新型になった事で、信頼性も向上した。

バネ下重量に関係するホイール周りは、GIANT製のアルミリムにCNC削り出しハブとアルミ製ニップルを組み合わせ軽量に仕上がっている。また、マキシス製の新作TRIALMAXX FREERIDEタイヤを履き、本格的なトライアルタイヤに比べて高いセルフクリーニング性能を確保しながら、オンロード時の信頼性を増した。ラバーコンパウンドは、ソフトで高いトラクション性能を持つタイプを採用する。

KTM フリーライド 250 Rの試乗インプレッションは次ページにて

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