ヤマハ XT660X 試乗インプレ・レビュー

ヤマハ XT660X
ヤマハ XT660X

ヤマハ XT660X

掲載日:2008年07月23日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー

マルチに使えるヨーロッパ生まれの
スーパーモタードマシン

オンロードとダートが混在するサーキットを走るために生まれたスーパーモタードマシンが、ここのところ注目を集めている。オフロードバイクをベースとしたコンパクトな車体に17インチホイールを組み合わせ、これまでのバイクにはない走りを楽しめることから人気が高まっているのだ。今回の試乗車「XT660X」も、軽量なボディに、オフロードで実績のあるシングルエンジンを搭載。専用設計の足まわり、そして十分な制動力を発揮するブレンボ製ブレーキキャリパーなどを採用し、ホットなスーパーモタードマシンとしての要件を満たす1台だ。

 

そもそもXTという車名は、1976年にデビューしたトレールXT500に由来し、ヤマハのビッグオフに冠せられる歴史ある名前。ビッグタンクを装着したXT500は、1979年に行われた第一回パリダカで総合優勝を果たして、一躍その名を世界中にとどろかせた。また、80年代中盤には660ccにボアアップしたパリダカレプリカであるXT660テネレに発展。ロングセラーモデルSEROW225(輸出車名XT225)など、ヤマハの4ストオフモデル・XTシリーズは、名車の系譜として有名である。現在あるほとんどのスーパーモタードモデルがそうであるように、XT660Xもオフモデルである兄弟車XT660Rから独自の進化を遂げたマシンだ。名車XTの血統を受けついだスーパーモタードの実力はどれほどのものなのか。今回は運良く、一般道に近い設定のクローズドコースで試乗する機会に恵まれた。

ヤマハ XT660X 特徴

ヤマハ XT660X 写真本気の走りを感じさせる
エンジンと足回り

XT660Xは水冷4ストローク4バルブ単気筒エンジンを採用。ピストンは耐熱強度に優れた軽量アルミ鍛造製で、エンジン内部はオイル劣化抑制や低フリクションを誇る低圧鋳造シリンダーなどで構成されている。現在多くのバイクで標準装備となりつつあるフューエルインジェクション(FI)は、吸気圧やクランクポジションセンサーはもちろん、計10項目の情報をもとに最適な燃料供給を実現。また、実際に燃料を吹き出すインジェクターには12孔・高ダイナミックレンジ型に圧力変動を抑えるダンパを用いることで、ライダーの感覚に近いエンジンフィーリングと低排出ガスを両立させている。エキゾーストシステムが左右2本出しなので並列2気筒のようなルックスだが、これはミドルクラスながら切れのよい排気音とトルクフルな中低速フィーリングを引き出すため。また、サイレンサーには排ガスを浄化する触媒を内蔵して環境性能を向上させている。

 

17インチのホイールは衝撃吸収性の高いスポークタイプ。ロードバイクのキャストホイールとは一見して足下から受ける印象が違う。アップフェンダーということもあり、やはりどちらかというとオフロードっぽい雰囲気があるマシンだ。だが専用セッティングが施されたパイオリ製43mm径フロントフォークやリア160幅ラジアルタイヤなど、足周りはオフロードのXT660Rとは別物。同様にブレーキシステムはフロントに放熱性の高い320mm径フローティングマウントディスクに、ブレンボ製対向4ポットキャリパーという豪華なパーツをチョイス。リアもブレンボ製キャリパーを組み合わせるなど、ロードバイク顔負けの装備にXT660Xのパフォーマンスが垣間見える。ミドルクラスのパワーと身軽さ、その気になれば峠を攻めることもできる足周り。アグレッシブな走りを予感させる装備は、このバイクの走りに対する本気度を感じさせてくれる。

エンジンはボア×ストローク100×84mmのビッグシングル。シンプルなSOHC単気筒なので外観からも軽量さがうかがえ、非常に省スペースなのも分かる。FIなので朝夕の冷間時でもボタンひと押しでエンジンに火が入る。

水冷660ccのビッグシングルが
独特のフィーリングを持つ

エンジンはボア×ストローク100×84mmのビッグシングル。シンプルなSOHC単気筒なので外観からも軽量さがうかがえ、非常に省スペースなのも分かる。FIなので朝夕の冷間時でもボタンひと押しでエンジンに火が入る。

フロントサスペンションは43mm径インナーチューブの正立タイプ。225mmという余裕のあるストローク量を確保している。フロントブレーキキャリパーはブレンボ製対向4ポット、ブレーキディスクは320mm径の大径フローティングマウントを採用している。

ロードモデル顔負けの
豪華な足周り装備

フロントサスペンションは43mm径インナーチューブの正立タイプ。225mmという余裕のあるストローク量を確保している。フロントブレーキキャリパーはブレンボ製対向4ポット、ブレーキディスクは320mm径の大径フローティングマウントを採用している。

スモークタイプのウインドシールドとマルチリフレクター採用のH4バルブのヘッドライトを持つヘッドライトカウル、モタードイメージを際立たせるソリッドなデザイン。クリアウインカーレンズがユーロモデルらしさを感じさせるアクセントとなっている。

流線的なフォルムを際立たせる
一体形成のヘッドライトマスク

スモークタイプのウインドシールドとマルチリフレクター採用のH4バルブのヘッドライトを持つヘッドライトカウル、モタードイメージを際立たせるソリッドなデザイン。クリアウインカーレンズがユーロモデルらしさを感じさせるアクセントとなっている。

左右二本出しのエキゾーストシステムは、リヤフェンダーサイドまで引き上げてからコンパクトにまとめられている。タンデムライド用のシートグラブが有機的なラインで、同じく両サイドに設けられている。荷掛けフックを使えばデイパックの固定にも使えそうだ。

アップタイプのデュアルエキゾーストが
シャープなエクステリアを強調する

左右二本出しのエキゾーストシステムは、リヤフェンダーサイドまで引き上げてからコンパクトにまとめられている。タンデムライド用のシートグラブが有機的なラインで、同じく両サイドに設けられている。荷掛けフックを使えばデイパックの固定にも使えそうだ。

ヤマハ XT660X 試乗インプレッション

ヤマハ XT660X 写真躍動感あるビッグシングルエンジンが
ライダーとの一体感を演出する

FIを採用したエンジンはスターターボタンを押すと軽い振動とともに目覚める。アイドリングはシングルエンジンらしい鼓動感のあるもの。アクセルを開けると控えめな音量ながら力強さを感じさせる排気音がデュアルサイレンサーから響く。さすがにボア100mmというビッグシングルは低速からトルクフルで、ややラフにクラッチつないでみるとミドルクラスの車体が一瞬、重力から解き離れたようにフワっと前へ出てグイグイと加速していく。マルチエンジンのスーパースポーツが、回転上昇につれパワーが湧き出してくるのとは対照的に、XT660Xはマシンを押し出すようなトルクを開け始めから感じる。

 

ヤマハ XT660X 写真
幅広いハンドルバーと背中がシャキッと伸びるオフロードポジションであるため視界が広く、ライダーもオフロードモデルに乗っているような感覚になる。だが路面から伝わる確かな感触はロードモデルのそれであり、ブレーキをかけると同じく確かな手応えとともに減速する。最初はジンワリとブレーキディスクと焼結パッドの触れている感触があり、レバーを握り込んでいくと、ニーグリップをして上半身を支える必要があるほどリニアで強力な制動力が得られる。これに加えてスリムな車体と高めの重心によって、コーナーは660ccとは思えないほどスムーズに寝かしこみが決まってしまう。そしてスロットルをひねると鼓動感のあるトルクが車体を引き起こす。
ただ、高速周回路をマルチシリンダーマシンばりのハイスピードで巡航しようとすると、本来はライダーにほどよい刺激となっているビッグシングル特有の躍動が、一変して疲れを感じさせる振動となってしまう。速度域としては街中での移動や郊外のクルージング、山岳路などが、キビキビとした走れるシチュエーションだ。この軽い車体とトルクフルなエンジンなら、ストレスなく楽しむことができるだろう。

ヤマハ XT660X こんな方にオススメ

日常使いはもちろん、非日常の
週末ツーリングまでこれ1台で

オンとオフの両方を攻める、という開発コンセプトによって、XT660Xはどんな道も快適に走行できるシングルマシンに仕上がっているといえる。そのためXT660Xはヨーロッパで人気が高い。というのも、660ccエンジンのトルクフルながら扱いやすいパワーと、15Lフューエルタンクによるロングディスタンス性能、そして街乗りから郊外の移動までバランスのよい走破性を持っているからだ。通勤・通学から年数回のロングツーリングまで、すべてを1台でこなそうという欲張りなライダーにピッタリといえるだろう。とくに走る頻度の高いオンロードの快適性を考えると、17インチホイール+ハイグリップタイヤによる安定感はメリットが大きい。875mmというシート高は足着きに不安を覚えるかも知れないが乾燥重量177kgという400ccネイキッド並みのフットワークの軽さを考えると臆病になる必要はない。

ヤマハ XT660X総合評価

新しい可能性を秘めた
道を選ばないロードマシン

背が高くてスリムな車体にビキニカウルで飾ったフロントマスク、そして軽快さを演出する中空ハブを採用した17インチスポークホイールなど、XT660Xは既存のネイキッドやスーパースポーツとは一線を画すロードバイクといえる。そしていざ走り始めてみると、その走破性は田舎道の未舗装路までをカバーするというおおらかさ。しかもライダーがその気になれば、ミドルクラスのパワーユニットがアグレッシブなライディングにも応えてくれる。例えば、久しぶりにバイクのある生活に戻りたい、というライダーなら、以前のバイクライフとはひと味違った選択となるはずだ。XT660Xはマシンのキャパシティが広い分、ライダーの遊び心と扱い次第でどんなバイクにも化けることができる可能性を持っている。

SPECIFICATIONS – YAMAHA XT660X

ヤマハ XT660X 写真

価格(消費税込み) = 101万3,250円

水冷単気筒エンジンを搭載し、前後17インチホイールに強力なブレーキングシステムとハイグリップタイヤを組み合わせたスーパーモタードマシン。

■エンジン = 水冷4ストロークDOHC5バルブ並列4気筒 998cc

■最高出力 = 35.3kW(48PS)/6,000rpm

■最大トルク = 60.0N・m(6.1kgf・m)/5,250rpm


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