【クロスカントリー】という遊び

【クロスカントリー】という遊び

掲載日:2014年05月30日 オフロード遊び    

更新日/2014年05月30日  文/ダートライド編集部  

走るというよりクリアしていく
難所を越えた時の喜びがハマる

オフロード遊びとして紹介はするが、これも『エンデューロ』などと同様にレース形式の名称のひとつである。日本では長らく『エンデューロ』と混同されがちだったが、“耐久レース”ではあるものの、基本的にライダーは終始1人となる。呼び名の線引きがかなり曖昧で、海外でエンデューロと言うとオンタイム制エンデューロのことを指し、それ以外のエンデューロをクロスカントリーと呼ぶケースもある。日本だけに限定して言えば、モトクロスが人工的に造成された土の上を走るのに対し、クロスカントリーは自然そのものの土の上を走り、かつ公道区間がないエンデューロ、と言い換えてもいい。開催も1DAYがほとんどだ。

 

コースは山野、夏場のスキー場などが使われ、そこを規定時間内で何周走ったかで順位を競う。スタート地点は一般的にひらけた場所だが、あとは山林の非常に入り組んだ地形を走るため、スピードはあまり出ない。走り続ける、というよりセクションをうまくクリアしていく、というスタイルになる。そのため、セクションをクリアするのに『アタック』という言葉を使うことも。立ち止まる回数が増えるため、足着き性やエンジンのトルク、スタートのクラッチワークがかなり重要で、案外トレール車も不向きではない。ただ、強烈な斜度やぬかるみ、一面に敷き詰められた岩や石など、コースはかなりハードで、ビギナーなら無転倒というわけにはいかないだろう。そう考えるとトレール車は、重さの点では不利になる(レーサーは基本、軽い)。

 

コース全長はかなり長く、山中でハマるとガス欠になることもあるし、ピットイン時の給油タイムロスを考えると、ビッグタンクへの換装が有利。長い時間走るのでマシンの耐久性も要求されるが、トレール車はこの点タフに作られているので、丁寧な整備がされていれば安心。ただし、トレール車とはいえ急な上り坂で半クラッチを使い過ぎると1日ももたずクラッチ板がダメになるので、この点は注意が必要。自走の場合は、特にルート選びや走り方は慎重に。タイヤ空気圧はオンタイム制エンデューロ同様かなり下げることになるので、ビードストッパーは必須。未装着車は事前にお店で取り付けてもらおう。

 

ルールが違うだけで、走るフィールドはオンタイム制エンデューロとかなり似通った感じなので、練習場所などの環境もだいたい一緒。全国に公認のコースはあるが、決してひとりでは練習しないように。マシンの下敷きになり、そのままずっと起き上がれないケースも出てくる。クロスカントリーへのエントリーも、できればコースまでの移動はトランスポーターを借りたほうが無難。クラスを選べるレースが多いので、まずはビギナークラスにエントリーしてみよう。

 

【必要になるもの】

安全基準をクリアしたヘルメット、ゴーグル、オフロード用のグローブ、スネまでガードするオフロードブーツでソールがエンデューロ用になっているもの、膝ガード(気にする人は肘のガードも)、汚れたり転んでもよい衣類。1日走るので天候の変化に対応できる備え(食事、水分、ガソリン、休憩アイテム、日除け)。小型の空気入れ。長時間コースに1人になるので、水分を移動しながら採れるウォーターバッグもあったほうがよい。酷い転倒をするとレバー類が折れることがあるので、スペアのレバー(左右)、パーツ交換などで必要となる工具他。

 

【トレール車に必要な作業】

ミラー、ナンバープレートなど保安部品の取り外し、灯火類は外すかビニールテープなどでレンズが割れて飛散しないようテーピング。ビードストッパーの装着と、タイヤの減圧。サイドスタンドにエンジンストップ機構がある場合、それのキャンセル。ハンドガードや可倒式のレバーを装備しておくと、転倒時のトラブルは減る。同様に、ステップとブレーキペダル、シフトペダルは転倒で簡単に曲がる。部品の準備や、転倒に強い部品への交換を。

 

【注意すること】

炎天下のイベントになると、オフロードバイクのオーバーヒートよりも人間のオーバーヒートが心配になる。熱中症対策も必要だ。また、降雨時、冬以外はビニール製のレインコートの着用が案外危ない。通気性がまったくないので、雨は遮るが、運動で上昇した体温や汗を逃さないため、体調不良に繋がる。濡れたくない場合は、オートバイ専用品や防水透湿素材製品などの使用を勧める。もしくは濡れるのを覚悟で、別に着替えを用意しておく。

 

【プチ知識】

ゴーグルは通常、走行風が当たることで内部が換気されるが、体温が上がった状態で転倒し、マシンを押したりしていると、あっという間に内部が曇る。これを防ぐための曇りにくいレンズを各社で用意しているので、お勧め。また、前走車が巻き上げた泥がゴーグルに飛んだ場合、使い捨て式のティアオフが便利だが、環境へのダメージを考えて禁止のレースもある。値は張るが、ロールオフタイプの準備が好ましい。

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