バイク操作に必須のテクニックを楽しみながら鍛えるトラッパー
取材協力/有限会社ぱわあくらふと  取材・文・写真/淺倉恵介  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2016年5月31日

バイクはバランスの乗り物とは言うものの、実際に走っている時に意識的にバランスをとっている感覚は薄い。だが、バイクを操る上でバランス感覚が重要なことは言うまでもない。そんな、バイクに必須のバランス感覚を遊びながらトレーニングできるアイテムがある、それがトラッパーだ。新しいストリートスポーツとしても注目の、トラッパーの魅力に迫る。

FEATURE

遊びながらバランス感覚が磨ける
不思議で楽しいニューアイテム

バイクから、エンジンやタイヤを取り外し、フレームだけにしたような妙な物体。一体これが何かというと日本発の全く新しいスポーツ、その名はトラッパーだ。トラッパーはバイクのように跨り、様々なアクションを楽しむスポーツ。新感覚のアミューズメントとして、現在人気急上昇中なのだ。

トラッパーの製造販売元である、ぱわあくらふとのホームページでは、エキスパートライダーによって見事なトリックが披露されるデモムービーを見ることができる。スケートボードやパルクールといった、ストリート系アクロバットスポーツの新ジャンルとして今注目の存在。だが、こうした盛り上がりは実は想定外のことなのだと、開発者であるぱわあくらふの小玉代表は語る。

トラッパーは実にシンプルだが、その楽しみ方は奥深い。このトラッパーは、ぱわあくらふとのデモモデルなので、ハンドルやステップがカスタマイズされている。カラーリングも変更されている。

「最初はオモチャとして作ったんですよ、バイクっぽく遊べるオモチャ。バイク屋さんで、作業待ちのユーザーさんが時間つぶしに遊べるようなもの、そんなイメージでした。自転車の練習に使われるものらしいんですが、ヨーロッパの子供用の遊具で似たものがあるんです。それをトライアルバイクのディメンジョンで作ってみたのがトラッパーです。実際に遊んでみたら、トライアルで必須のテクニックであるフロントアップや、ホッピングなどのボディアクションが、とても理解しやすいことに気づいたんです。これは、トレーニングに使えるなあ、と考えたのがトラッパーを製品化したきっかけです」

事実、トラッパーのトレーニング効果は高い。静止状態のバランス感覚が欠かせないトライアルだけでなく、バイクという乗り物全てに通じるトレーニングを走行せずに行うことができるのだ。バイク1台を置けるスペースさえあれば、楽しめるのがトラッパーなのだ。

「バイクがコーナリングを開始するきっかけは、バランスを崩すことから始まるんです。トラッパーではアンバランスを楽しんで欲しいですね。遊んでいるだけで、ステップワークでマシンを操る感覚を身につけることができますよ」

しかし、話を聞いているだけではトラッパーというアイテムの価値は理解できない。ここは実際に試して見るに限ると、レポーターがトラッパーのライディングにチャレンジしてみた。インストラクターを務めてくれたのは、MFJ全日本トライアル レディースクラスに参戦中の女性トップライダー小玉絵里加選手。絵里加選手は、この企画でモデルも務めてくれている”美人すぎるトライアルライダー”なのだ。

今回モデル兼インストラクターを務めてくれた、MFJ全日本トライアル レディースクラスに参戦中の小玉絵里加選手。トップライダーとして活躍するだけでなく、レディース選手会代表としてトライアル競技への女性の進出をサポートする活動も行なっている。HRC CLUB ぱわあくらふと所属。

トラッパーに跨ってみると、最初は両足をステップに乗せることすらおぼつかない。バイクで走行中、止まりそうな速度でバランスを取るときにステアリングを左右に振ったりすることがある。だがそれでは、静止状態ではバランスを取ることはできないようだ。どうしたものか?と悪戦苦闘していると、絵里加選手が「膝を使ってください」とアドバイスしてくれた。

そこで、膝に余裕を持たせてみたところ、ほどなくスタンディングでマシンを直立させることができた。正しい操作を行うことで、ちゃんとマシンが応えてくれる。その点では、トラッパーとオートバイは共通だ。そして、ひとつの課題を達成して得られる満足感はスポーツそのものだ。トラッパーの楽しさ、奥深さはそこにあると感じられた。シンプルな車体からは想像できない、奥深い楽しみ方がある。これは面白い!!

「バイクにはエンジンやサスペンションがあって、ライダーの望むアクションをサポートしてくれています。トラッパーには何もついていませんから、ライダーが正しい操作をしないと、思うように動いてくれません。トラッパーで練習すると、ボディアクションがどのようにバイクに働きかけるのかが理解しやすいので、バイクに乗った時の操作にも活かせると思います」と絵里加選手は語ってくれた。

ライディングに必要なボディアクションを、走行しなくても身につけられるトラッパー。これはトレーニングマシンとして実に有効。そして、それ以上に遊んで楽しいというのが素晴らしい。ファッショナブルな新スポーツとしても見逃せないトラッパーは、バイク乗りなら要チェックアイテムだ。

ノーハンドでスタンディングを決め、余裕のWピースを披露する絵里加選手。もちろん、全日本トライアルライダーのスキルがあっての高等テクニック。技術がなければ、両足をステップに乗せることすら難しい。

PICKUP PRODUCTS

カスタマイズメニューも豊富
自分だけのトラッパーを組み上げられる

簡単な構造に見えるトラッパーだが、細部のアップデートを繰り返し、現在のモデルは初代から数えると3世代目にあたる。2世代目では軽量化が進められ、現行モデルではフレーム形状の見直しによる剛性アップ、各部のアジャスト機構の採用、パウダーコーティングによる塗装品質の向上、ステアリング部へのベアリング装備、オプションパーツ設定によるカスタマイズの自由度も上げられているのだ。フレームカラーも2タイプから選択可能。購入してそのまま楽しめる標準タイプと、好みのパーツで組み上げるセレクトベースタイプが用意されている。

01標準タイプ Rikizoh TRAPPER LUX 標準タイプ 5万6000円(税別)/すぐに楽しめるコンプリートモデルで、フレームカラーはブラックとレッドが用意されている。ステップはオーダー時に、TRIAL STEPとINDOOR STEPから選択できる。

02セレクトベースタイプ 4万5000円(税別)/好みのパーツをチョイスして組み上げるカスタムベースモデル。フレームはブラックとレッドから選択可能。

03ステップ位置はライダーの体格に合わせるためのアジャスト機能が持たされ、3ポジションから選択可能。

04ハンドルポストの取り付け位置も2段階でアジャストが可能。ステアリングにはベアリングを装備し、スムーズな動作を実現。

05トラッパーが地面とコンタクトするのは、前後のゴムだけ。後ろのゴムは標準仕様で二つだが、真ん中にひとつだけ装着することも可能。ゴムひとつ仕様は、操作の難易度が上がるので上級者向け。

06INDOOR STEP 6000円(税別)/スタンダードなラバー付きステップ(価格はセレクトベースモデルと同時購入の場合)

07HRC STEP 5500円(税別)/ホールド性に優れる、金属製ステップ(価格はセレクトベースモデルと同時購入の場合)

08ジットシー スチールステップ 5200円(税別)/大型でホールド性に優れるステップ(価格はセレクトベースモデルと同時購入の場合)

09テーパーハンドル 7600円(税別)/本格的なテーパーバータイプのオリジナルハンドル(価格はセレクトベースモデルと同時購入の場合)

10テーパーハンドル用クランプ 9600円(税別)/テーパーハンドル専用のハンドルクランプ(価格はセレクトベースモデルと同時購入の場合)

11パイプハンドル 4800円(税別)/コンベンショナルなバーハンドル、カラーはブラストブルー、ブラストレッド、ブラストシルバーの3色(価格はセレクトベースモデルと同時購入の場合)

12パイプハンドル用クランプ 1300円(税別)/パイプハンドル用ハンドルクランプ(価格はセレクトベースモデルと同時購入の場合)

13Rikizoh TRAPPER ちび 2万2800円(税別)/キッズ専用のトラッパー。標準サイズから約30%ダウンサイズし、小学校中学年程度までの体格に対応。

SHOP INFORMATION

有限会社ぱわあくらふと
大阪府大東市御供田3丁目17-37
TEL/072-872-2141
FAX/072-870-5236
E-mail:info@power-craft.co.jp
車両販売やメンテナンスは勿論、モータースポーツにも積極的なバイクショップで、オリジナルのパーツも豊富にラインナップしている。「HRC CLUB ぱわあくらふと」として、全日本トライアルに参戦中。マシンレンタル込みのトライアル体験レッスン「手ぶらでトライアル」サービスも展開中なので、トライアルに興味があるなら一度トライしてみよう。