ホンダが、CRF125Fを限定発売

掲載日:2013年10月11日 特集記事    

文/ダートライド編集部

2014 EARLY-RELEASE NEW MODELS

ホンダが、CRF125Fを限定発売

長い間、ファンなオフロードライディングモデルとして親しまれてきたホンダ・CRF100FがCRF125Fとなり久しぶりにモデルチェンジ。同社のトップモデルCRF450Rを思わせる外観が印象的だが、初心者に優しいセルフスターター搭載や使いやすさに磨きをかけたパワーユニットなど、かなり気合の入ったモデルとなっている。詳細を追いながら、本機の魅力に迫ってみたい。

CRF125F

エンジンは排気量を125ccにアップさせ、CRF100Fで好評だった扱いやすい特性を維持しながら、低中速域でさらに“粘りのある出力”を実現させた。

エンジンは排気量を125ccにアップさせ、CRF100Fで好評だった扱いやすい特性を維持しながら、低中速域でさらに“粘りのある出力”を実現させた。

 

CRF125Fが、ユーザーフレンドリーをより目指し搭載したセルモーター。キック併用タイプだが、通常はボタンひとつでエンジン始動が容易で、本機へのこの採用の意味は大きい。

CRF125Fが、ユーザーフレンドリーをより目指し搭載したセルモーター。キック併用タイプだが、通常はボタンひとつでエンジン始動が容易で、本機へのこの採用の意味は大きい。

 

低中速での粘りを出すために、エアクリーナーエレメントも見直しがされ、CRF100Fでは円筒形状だったものが、CRF450Rと同じ台形円筒形状に変更された。

低中速での粘りを出すために、エアクリーナーエレメントも見直しがされ、CRF100Fでは円筒形状だったものが、CRF450Rと同じ台形円筒形状に変更された。

 

トルク特性のイメージを見ると、他のモデルが車速が上がるとトルクが上がるのに対し、低中速域のトルクを持った特性に振っている事が分かる。扱いやすさにつながる特性。

トルク特性のイメージを見ると、他のモデルが車速が上がるとトルクが上がるのに対し、低中速域のトルクを持った特性に振っている事が分かる。扱いやすさにつながる特性。

 

CRF125Fはその前身である2004年に登場したCRF100Fの時から、家族でオフロードライディングを楽しむ目的にマッチした車両として開発され、コンパクトで取り回しの良い車体と扱いやすい4ストロークエンジンを搭載していた。その両者の特性により、子供や小柄な女性だけでなく、大人の男性が乗っても楽しめるバイクに仕上がっていたが、この度のモデルチェンジで、車体サイズは継続したまま新たに扱いやすい機能や装備を盛り込んで、より多くの人にオフロードライディングや競技を楽しんでもらいたいという思いが込められた。

 

新しいCRF125Fの開発コンセプトは、“Your First Real Dirt Bike”で初めて本格的なオフロードシーンに挑戦する若い世代をターゲットとして想定されていて次のような目標を定め開発された。

 

・スタイリング

CRFシリーズのフラッグシップモデル『CRF450R』イメージを踏襲するスタイリング

 

・エンジン

力強い中にも扱いやすさに配慮した特性で操作感を堪能出来るエンジン

 

・車体/足回り

気軽なライディングを実現する車体と足回り

 

パワーユニットは、CRF100Fで好評を得ていた扱いやすいエンジン特性を維持しながら、排気量を125ccに拡大する事で、低中速域ではさらに“粘りのある出力”を実現。バルブタイミングを変更し、低回転時の吸気充填率を向上させ、よりフラットな特性としている。エアクリーナーエレメントも見直しが図られ、ウレタン製のエレメントをCRF100Fで採用した円筒形状からCRF450Rで採用の台形円筒形状タイプに変更。これにより、エアクリーナーエレメントの表面積が拡大され、吸気量が増大する事でトルク感のあるエンジンを実現している。また、新たにセルモーターを搭載する事で素早く簡便なエンジン始動を可能としている。キックも併用されるため、万が一の始動にも不安は感じない設計になっている。

 

気軽なライディングの実現に欠かせない車体/足回り設計は、排気量を上げながらもCRF100Fと同等のライディングポジションを確保するために、シート下のエアクリーナーボックスとバッテリーを車両前後方向に配置し、車両幅を同じに設定。ライディングポジションの自由度向上に寄与する。シート高については、エアクリーナーボックスとバッテリートレイを一体化する事でバッテリーをエアクリーナーボックスにより近づけ、同時にバッテリートレイを支持するフレームのブラケットを廃する事で、バッテリー搭載位置を低くしている。これにより、シート高は785mmとなっている。また、ライディング時の体重移動を容易にする目的で、キックアームのヒンジをCRF100Fで採用した上部から下部に変更し、キックアームと足の接触部分を滑らかな形状とする事で、ライディングポジションの自由度向上を果たす。

 

足回りでは、フロントサスペンションをインナーチューブ径φ31mmとし、セッティングを変更する事でギャップ乗り越え時などにより路面を捉えやすくしている。リアショックは、従来のエマルジョン式からエア室とガス室がフリーピストンで分離されている分離加圧式を採用。オイルに空気が混合して乳化してしまう症状を低減し、性能の安定化を実現した。リンク周りでは、スイングアームとプロリンク摺動部の作動フリクションを低減する目的でCRF100Fではブッシュタイプだったものをニードルベアリングに変更。リアタイヤの路面追従性を向上させた。フロントブレーキは、油圧式のディスク(φ220mm)を採用しコントロール性の向上と充分な制動力、安定したフィーリングを実現させた。また、アジャスト付きブレーキレバーを採用し、手の大きさに合わせたレバー位置調整を可能としている。

 

 

CRF100Fで獲得した扱いやすい車格/ライディングポジションを継続する、新設計のダイヤモンドフレームや高剛性のフロントフォークを採用する。

CRF100Fで獲得した扱いやすい車格/ライディングポジションを継続する、新設計のダイヤモンドフレームや高剛性のフロントフォークを採用する。

 

ホンダ独自のプロリンク部は、CRF100Fではブッシュだったものを上位機種と同じニードルベアリングへと変更し、摺動抵抗を減らし作動性を向上させた。

ホンダ独自のプロリンク部は、CRF100Fではブッシュだったものを上位機種と同じニードルベアリングへと変更し、摺動抵抗を減らし作動性を向上させた。

 

油圧式のディスクブレーキをフロントに新規採用し、ブレーキのコントロール性や充分な制動力、安定した制動フィーリングを実現した。ローター径はφ220mm。

油圧式のディスクブレーキをフロントに新規採用し、ブレーキのコントロール性や充分な制動力、安定した制動フィーリングを実現した。ローター径はφ220mm。

しなやかな面構成と鋭い矢のようなスタイリングを持つ外観。フロントビューはゼッケンプレート中央にキャラクターラインを通し、フェンダーにはサイドビューと連携したエッジを立たせた。

しなやかな面構成と鋭い矢のようなスタイリングを持つ外観。フロントビューはゼッケンプレート中央にキャラクターラインを通し、フェンダーにはサイドビューと連携したエッジを立たせた。

 

グラフィックは、エクストリームレッドとロスホワイトを基調としたCRFシリーズのイメージを採用。鋭く躍動感あるスタイリングイメージとした。

グラフィックは、エクストリームレッドとロスホワイトを基調としたCRFシリーズのイメージを採用。鋭く躍動感あるスタイリングイメージとした。

 

リアスタイリングは、サイドカバーからリアフェンダーまでを一体感あるシャープなラインで構成し、CRFシリーズの一員である事を強調。サイドカバー後端部はL字断面形状とし、持ち上げやすさを実現した。

リアスタイリングは、サイドカバーからリアフェンダーまでを一体感あるシャープなラインで構成し、CRFシリーズの一員である事を強調。サイドカバー後端部はL字断面形状とし、持ち上げやすさを実現した。

ここからは、本機を試乗した辻 健二郎選手によるインプレッションをお届けする。

 

 

「全く新機種のバイクと知って、かなり興味を持ってインプレさせてもらいました。セルとキックの両方で始動可能という事で、セル始動の新鮮な感じに、なぜかテンションが上がってのライディング開始でした。走行しはじめたらすぐに、トルクがあり粘り強いエンジンだと分かります。自然とシフトアップが進み、気が付けば3速、4速で走っていました。

 

エンジンフィーリングは、開け口からトルク型でリアタイヤがしっかり路面を捉えてくれるので、アクセルの開け易さを感じます。開け口付近の粘りは比較的フラットに高回転付近まで持続していますが、回転が上がっても本格レーサーのような唐突に発揮されるようなパワー感はないので、非常に乗りやすく感じます。低回転で止まりそうな低速からのコーナー発進時や、緩い傾斜(登り)での発進も粘りながらマシンが前に進んでくれるので、ダート初心者でもとても扱いやすいものになっています。

 

車体姿勢は、フロントに荷重が掛かりやすく作ってあるようで、コーナー進入時にマシンが自然に曲がっていってくれる印象を受けます。この車体フィーリングも、ダート初心者への取っ付きやすさを植え付ける要素になるでしょう。ハイスピードで走る大人がレーシーなスタンスで走る場合には、荒れた路面の走破性、高回転走行のパワー感に、物足りなさを感じてしまうのかもしれませんが、そういうユーザーをターゲットにはしていないので問題はないと思います。

 

ホンダにはミニモトでCRF150Rがありますが、あちらは本格レーサーでそれに比べ、サイズもよりコンパクトになり、エンジンが扱いやすいというCRF125Fのキャラクターを考えれば、フルパワーを持て余してしまう女性やキッズがターゲットですし、初ライド時にハードルの高さを感じていたライダーには、比較的早くにバイクの楽しさを感じられるでしょうね」

 

 

フレンドリーで誰もがオフロードライディングを楽しめる、新生CRF125F。限定100台の生産で発売は2013年10月11日。価格は29万9,250円となる。

 

 

通称名 CRF125F
車名・型式 ホンダ・JE03
全長(mm) 1,860
全幅(mm) 770
全高(mm) 1,075
軸距(mm) 1,255
最低地上高(mm) 265
シート高(mm) 785
車両重量(kg) 88
エンジン種類 空冷4ストロークOHC単気筒
総排気量(cm3) 124.9
内径×行程(mm) 52.4 × 57.9
圧縮比 9.0
キャブレター形式 PDB4C(メインボアφ20mm)
始動方式 セルフ式(キック式併設)
点火装置形式 CDI式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用
燃料タンク容量(L) 4.3
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式4段リターン
変速比 1速 3.181
2速 1.706
3速 1.238
4速 0.916
減速比(1次/2次) 3.250/3.769
キャスター角(度) 27° 30′
トレール量(mm) 94.0
タイヤ 70/100-19M/C 42M
90/100-16M/C 51M
ブレーキ形式 油圧式ディスク
機械式リーディング・トレーリング
懸架方式 テレスコピック式 クッションストローク150mm
スイングアーム式(プロリンク)アクスルトラベル150mm
フレーム形式 ダイヤモンド

 

 

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