文/ダートライド編集部
    掲載日/2012年9月12日

ドリフト&ジャンプで楽しさ満点のスーパーモタード

3つの要素が交じり合い生まれた
ネオ・スタイリング・マシン

オートバイのカテゴリーに、「モタード」というものがあります。正式名称はスーパーモタードになるのですが、多くが略されてモタード、またはスーパーモトと呼ばれています。

 

この通称モタードですが、車両としてはどのような特徴を持っているのでしょうか。簡単に言うと中排気量程度のオフロードバイクをベースに、前後のタイヤをオンロード化、さらには小径化したものを指します。オフロードとオンロードのミックス。これがモタードバイクです。

 

何故このようなスタイルのオートバイが生まれたのでしょうか? 事の起こりはアメリカで、ロードレースとダートトラックレース、モトクロスレースそれぞれの特徴を1つのサーキットに凝縮して、さあ、誰が一番速いのか、というのを競い合ったのが始まりと言われています。この頃の名称はスーパーモタードではなく、スーパーバイカーズと呼ばれていました。そう、レースから生まれたスタイルなのです。

 

アメリカで盛り上がりを見せたこのレースフォーマットはやがてヨーロッパにも伝搬し、多くの著名ライダーが参加する中、まちまちにインチダウンしたホイールにダートトラック用タイヤを履かせるのではなく、前後17インチ程度の小径ホイールにオンロード用タイヤを履かせるスタイルが徐々に定着し、これがスタンダードとなっていきます。機敏な車体特性と吹け上がりの良い単気筒エンジンが特徴のオフロードバイクと、舗装路面でのグリップ力に優れたオンロードタイヤの組み合わせがうまくマッチングしたのでしょう。

 

名称も、次第にスーパーバイカーズからスーパーモタードへと移り、選手権が開かれるなどアメリカ以上に盛り上がりを見せます。

そんなスーパーモタードですが、日本での展開は紆余曲折です。情報は海外から細々とは伝わっていましたが爆発的なブームはなかなか訪れず、また当時、ダートを含むターマック(舗装路)コースを設定することが難しく、ターマックオンリーの、でもロードレーサーではない車両で走るイベントが小規模で開かれていました。名称も、ターミネーターなどと呼ばれていたようです。

 

転機となったのは1993年に鈴鹿サーキットで行われた「鈴鹿スーパーバイカーズ」と言われ、サーキットコースとダートコースを組み合わせた特設コースで行なわれました。マシンはまだオフロード車両+小径オンロードタイヤで統一されておらず、アメリカの初期に近かったものだったようです。ただ、このイベントで“ターマック+ダート”のレースフォーマットは完全に認知されました。

 

その後、類似イベントがいくつか開かれる中、1999年に筑波サーキットでハスクバーナに乗ったボリス・シャンボン選手が、スーパーモタードの特徴とも言える豪快なドリフト(スライド)走行を魅せつけます。これが「本場のモタードは凄い!」ということになり、日本におけるモタードシーンも盛り上がりを見せ始めます。ちなみにこの頃、日本ではモタードは、ターミネーターズとも呼ばれていました。名称などまだ揺れ動いていたのです。

 

本格的にスーパーモタードの体をなしてきたのは、2001年のオーバーオールというレースです。2003年には、いよいよスーパーモタード選手権「MOTO1」が開かれ、日本でもレーススタイルとして定着し始めます。2005年からはMFJ(一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会)公認のレースとして、全日本選手権級の「MOTO1オールスターズ」が始まり、今に至ります。

 

サーキットから生まれたモタードですが、カワサキがDトラッカーを1998年に発売し、街中におけるモタードブームがやってきます。見た目の珍しとハイブリッドが生み出すクールさ、それに公道でも扱い易いマシン特性が高く評価され、市民権を瞬く間に得ます。その後、他メーカーもこの流れに追随する形で公道用モタード車両を発売。多くのモデルをそこかしこで見かけるようになりました。ここでは、その公道を走れるモタード車両にスポットを当ててみようと思います。現在、どんなモデルが存在するのでしょうか?

国産モタードオールチェック 【2012年度版】

モタードというカテゴリーの括りを理解していただいた上で、まずは国産メーカーのモタードモデル群を紹介したいと思います。現在、メーカーカタログにラインナップされている台数は5車種。決して多いとは言えず、海外メーカーの方が豊富なのは明らかです。レース、スポーツ、ファンという意味では、日本よりも海外の方が活気づいているのでしょう。

 

しかし、国産マシンには、日本人がライディングを楽しむ上で最大の利点が多く存在します。それは、足着き性の良さとメンテナンスサイクルです。これは海外メーカーに比べて圧倒的に優っています。いくら軽快でパワフルでも、足が届かなくてはオチオチ乗ってもいられません。頻繁なオイル交換なども日常の使用には煩わしいもの。そもそも国産マシンはタフであり、それでありながらいざ調子が悪くなったとしても、どこでも迅速なサービスが受けられます。ここの気持ちの余裕は大きいです。

 

そういう訳で今回は、扱いやすく、楽しく付き合えるモタードマシンの代表格、国産車を紹介します。

 

ホンダ XR230 モタード

扱い易い万人向けモタードマシン

ホンダ XR230 モタードの写真

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公式ウェブサイトに掲載はされているものの、生産は終了しているモデルです。2008年に登場した、ホンダ伝統のXRシリーズの系譜を受け継ぐモデルで、扱い易さが最大のポイント。メーカーでも謳っているシート高800mmは、身長157cmの女性でも不安のない足着き性を実現し、軽快さの恩恵に預かりながら大きな安心感にもつながります。リアサスペンションは専用のセッティング仕様です。エンジンは空冷4ストロークのOHC単気筒。ワイドレシオの6速ミッションと組み合わされる事で、シチュエーションを選ばない動力性能を持っています。46.0km/リッター(60km/h定地走行テスト値)の燃費の良さも見逃せません。

 

カワサキ Dトラッカー125

コンパクトなユル楽しいモタードマシン

カワサキ Dトラッカー125の写真

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2009年登場の貴重なニューカマー。最大の特徴は、専用設計の車体とそれに合わせた前後14インチというホイールサイズ。ミニモタードともいえるユルさを信条としますが、専用設計の倒立フロントフォーク、ブレーキに外径240mmのペタルディスクと本気の装備も。エンジンは空冷SOHC単気筒2バルブの124cc。フューエルインジェクションを採用し、アイドルスピードコントロール装備で常に安定したエンジン特性となっています。シート高は805mmで、スリムな車体と相まって足着き性は良好。排気量125cc未満なので高速道路には乗れません。普段は一般道をのんびり楽しむのがいいかもしれません。維持費が押さえられるのもポイントです。

ヤマハ XT250X

イージーポジションでストリートを駆け抜ける

ヤマハ XT250Xの写真

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セロー250とトリッカーの中間的存在に位置付けられるモデル。ストリートでの軽快性を持たせながら、トルクフル&クイックレスポンスなエンジン特性もあり、オンとオフの美味しい所取りをしたモタード色な車両です。特筆すべきは、前後17インチホイールに組み合わされるタイヤ。共に専用チューニング品で、特に縦・横の剛性に拘り、車体とのバランスを徹底追求しています。シート高は790mmと圧倒的なロー設定となり、スリムなデザインと併せ、足着き性は申し分ありません。249cc空冷単気筒エンジンにフューエルインジェクションを組み合わせ、扱い易さと環境性能を両立させています。

 

カワサキ D-トラッカー X

ニッポンのモタードシーン牽引役は変わらず

カワサキ D-トラッカー Xの写真

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カワサキのオフロードモデルKLXをベースに、インチダウン、オンロードタイプのタイヤへの換装など仕様をアレンジしたのがDトラッカーの始まり。その後、より専用の仕様を与えられ、完全モタードマシンとして進化を続けました。低速から高速までパンチの効いたフィーリングを発揮する、水冷DOHC4ストローク単気筒エンジンを伝統のペリメターフレームに搭載し、前後のサスペンションはオンロード走行に向けた専用セッティングが施されています。シート高は860mmとなりますが、スリムなシートデザインと、跨った際にサスペンションがストロークする為、それほど難易度は高くないでしょう。

ヤマハ WR250X

最もレースに近いハイパワーモタード

ヤマハ WR250Xの写真

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ヤマハのコンペティション系モデルに冠されるWRの称号を持つ、レーサー準拠のストリートモデル。特徴はやはり、そのパワフル且つクイックレスポンスでパンチのあるエンジン特性です。高回転傾向を意味するビッグボア・ショートストローク設計のピストン、大径のチタン製吸気バルブという、公道スペックでは豪華な仕様を水冷DOHC4バルブ単気筒ストロークエンジンに収めています。吸気はフューエルインジェクションを採用。足回りは専用設計のサスペンションに、大径298mmのウェーブディスクを装備します。シート高は870mmと抑えられていますが、「足回り」がハード目のセッティングなので、沈み込みはあまり期待できません。

 

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