【Page3】ハイスピードダート比較インプレッション

掲載日:2010年07月09日 特集記事カワサキKLX125 オフロード全方位試乗    

2010年3月6日発行 月刊ガルル No.288より記事提供

2nd Degree
Feel, at high speed Dirt road.

ハイスピードダート比較インプレッション

全方位チェック第2のシチュエーションはダートでのハイスピード走行比較。フラットダートや、パワーをかけてコーナリングしていくような、林道ツーリングの醍醐味とも言える場面で、3台の乗り味の違いを感じてみた

 

3台は市街地を離れ、とある林道へとやって来た。路面はフラットで硬く締まっており、2~4速を使いぺースを上げてテスト走行。それぞれのハイスピードダート性能を感じてもらった。

石井「XR、いいねぇ。エンジンのレスポンスがよくて、コーナリングが気持ちよく決まる。シッティングでもスタンディングでもポジションの収まりがよくて、気を使わずに乗れる。それに対してセローは、シッティングだとハンドルが高すぎて操作しにくく感じる。だからちょっとペースを上げようとすると、スタンデイングになる。ただ、スタンディングすると、しっくりくるポジションになってはいるけどね」

 

堀田「スタンディングしないと飛ばす気になれないですよね、セローは。ハンドルとステップはそのままに、シート高だけ下げているように感じました。だからつねに膝が曲がっていて、窮屈さを感じました。そんなこともあって、ぼくもXRの印象がよかったです。トルクがあって、ポジションも足が伸びて自然だったし。セローはシートにド力っと座ったまま、景色を見ながら走るのが楽しかったです。で、肝心のKLXなんですが、高回転まで回さないと振り回して走れなかったです」

石井「すべらせて走るのは難しいよね。パワーがあればアクセルを開けていけばいいのだけど、KLXは高回転まで回しておいて、さらに半クラッチを使わないとリヤスライドできない。そうした遊びをするとなると、テクニシャン向けマシンになってしまう」

堀田「でも、そのパワーのなさでオーバースピードになりにくいから、オフロードビギナーには扱いやすさになるかもしれませんね」

石井「そうだね。おれはXRでもパワーがあるって感じるから、ビギナーはなおさら感じるだろうね。セローはエンジンが回り始めると高回転まで一気に回ってしまい、オンかオフしかないスイッチみたいで、コントロールできる幅が狭い。だからパワーの出かたも唐突に感じるんだ。速く走り続けるだけならそれでもいいけど、トロトロかカッ飛びの両極端になりがちなんだ。そうした速度域では、XRは扱いやすい。アクセル開度と加速していく感じが分かりやすく、低中速トルクもあるから、アクセルコントロールだけでリヤスライドさせやすいんだ」

堀田「セローはハンドリングに安定感がない感じで、ハイスピードではちょっと気を遣いました」

石井「ハンドリングを軽くしたかったんだろうね。XRはフロントの接地感があって安心感があるけど、KLXはタイヤ径が小さい分、石などの障害物に弱い。サスもスプリングだけで踏ん張っている感じで、弾かれてしまう。KLXはポジションがよくて、パワーも必要な分はあるから、余計にサスが気になるんだ。XRももう少しストローク感があれば、さらに乗りやすくなるんだけど」

堀田「本格的にハイスピードで攻めるとなると、KLXは足まわりに物足りなさを感じてしまいます。でもスタンディングで窮屈さがなく、それでいて足着き性もいいから、路面からの突き上げがあってもバランス修正しやすかった。不安を感じない分、物足りなさがあっても楽しく走れました。そういった取っつきやすさは、これからオフを始めたい人にちょうどいいと思いました」

石井「KLXでハイスピード走行するには、クラッチワークとボディアクションという基本的な操作が求められるから、オフロードバイクを乗りこなしたいという人にもおすすめしたい。パワーのなさをライダーがカバーして走れるようになると、どんなバイクでも乗れるようになるんだ。そうしたことを学ぶためのバイクとして、KLXは最高だよ」

 

セローは低速トルクがあり、高回転まで伸びていくので高速道路も余裕で走れるパワーがあるが、そのパワーに若干唐突な感じがある。XRは低中速トルクが太くダートで使いやすい反面、高回転での伸びがなく高速道路は苦手。KLXは高回転までスムーズに回り、ギヤのつながりもよく扱いやすい。タイヤが動き出すまでのトルクが細いだけで、一度動いてしまえば、十分遊べるトルクもある。

 

セローはストローク感があり、衝撃をいなしてフラットな乗り心地を提供してくれる。XRはストロークに短さを感じ、ゴツゴツ感はあるが、跳ねることはない。KLXは沈み込みが少なく、フラットダートではシャキッとした乗り心地だが、路面が荒れてくると底突きする。ダンパーを効かせつつ、もう少しストロークする方向にセッティングしたい。

 

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