【Page2】テイスティング ~ヤマハXT250X~(2)

掲載日:2010年07月07日 特集記事小林直樹のテイスティング ~ヤマハXT250X~    

2010年3月6日発行 月刊ガルル No.288より記事提供
テストライド/小林直樹  写真/長谷川徹  まとめ/小川浩康

同じエンジンのセロー、トリッカーをすでにテストしているので、このXT250Xに新鮮なインパクトを受けなかったのは事実。でも、今回さまざまな路面を走破してみると、カタログデータだけでは分からないことがいろいろと見えてきたんだ。こうしたことがあるから、ツーリングは楽しいよね。

マイルドな挙動が余裕を生み
市街地走行は快適そのもの

17インチホイールにオンロードタイヤを装着しているXT250Xにまたがると、セローとトリッカーよりもシート高が低く感じられる。カタログデータではXT250Xがセローとトリッカーより20mm低いので当然と言えば当然なのだけど、その差以上に足着き性がよく感じられ、そのおかげで安心感も格段に強く感じられる。

 

装着タイヤは舗装路での接地感が強く、衝撃吸収性もいい。タイヤパターンによる振動もなくて、フラットな乗り心地を味わわせてくれる。そして、「ステップを踏んで曲がろう」という意識を持つだけで、大きなボディアクションをしなくてもスッとマシンが動いてくれる。そのマシン挙動が速すぎず遅すぎないマイルドさになっているから、誰でもコントロールしやすさを感じられる。ピンポイントな操作にクイックレスポンスで応えてくれるという特性ではなく、操作を受け付けてくれる幅が広く、スムーズなレスポンスで応えてくれるという、点ではなく面で乗れるイメージなんだ。だから、操作に余裕ができ、乗っていて安心感が得られるんだ。

それと、XT250Xは低速トルクが太く、エンストの心配をせずに1速を使える。さらに2速の伸びがよく、3速でもクルージングできる。ひとつのギヤの守備範囲が広く、しかもシビアなクラッチワークが不要なので、2速固定でUターンもできるほどだ。低めのギヤで引っ張ればアグレッシブに、早めにシフトアップすればゆったりとスムーズにも走ることができる。もちろんパワーは必要十分以上にあるから、速さに不満は感じない。逆にこれ以上のパワーがあるとそれにつれてスピードレンジも上がりすぎ、しっかりコントロールするのは難しくなってくる。

ブレーキは前後ともに同じタッチで、かけはじめにグッと制動力が立ち上がってくるタイプだけど、そこから握っていっても制動力は変わらない。オンロードに関して言えば、もう少しカチッと利くほうが好みだけれど、デイリーユースで問題なく使える仕上がりになっている。

排気音は終始静かで、高回転まで回してもエンジンから耳障りな音もでない。街中でのXT250Xは快適そのものだ。

 

予報では曇りだったが、ワンデイツーリング当日は上着がなくても平気なほど暖かい晴れの一日となった。しかし、当初走行を予定していたワインディングは積雪のため通行止め。ルート変更によりショートカットすることになってしまい、総走行距離は約150kmに留まってしまった。

今回のダートは硬くしまったフラット、サンド、ウッズ、雪といった感じで比較的平たんな路面が多くなったが、丸太越え、ステアケース、ジャンプといったアクションライディングもテストしてみた。このコース設定は、スーパーモタードの草レース以上の難度になっていると思う。そして、こうしたダートを約30kmほど走行。ダートの割合が20%と、一般的な林道ツーリングよりも多くなった。その結果、ダート区間の燃費は22.8km/L(総燃費26.4km/L)となったが、装着されているのがオンロードタイヤということを考慮すれば、妥当なレベルだと思う。オンロードだけのツーリングであれば30.0km/L程度まで伸びるだろう。

カタログのパワーは控えめな数値となっているが、「加速感があって、エンジンが伸びるから、速さに不満を感じなかった。むしろ扱いやすくて乗りやすい」とのことだ。

「市街地での軽快な走りを実現するスタイリッシュスポーツ」をコンセプトとして開発されたXT250Xは、2006年3月に発売された。エンジンとフレームは、先行して発売されていたトリッカー(2004年3月発売)、セロー250(2005年4月発売)と同仕様ながら、前後17インチホイールを独自に採用。装着されるダンロップGT501は内部構造を最適化した専用チューニングが施されている。

さらに、軽快なハンドリングと快適な乗り心地の両立を狙って、前後サスペンションもバネ定数と減衰力特性を専用セッティングとしている。また、リヤにはLED18灯の軽量テールライトを採用し、視認性を向上しつつ、斬新なイメージを作り出している。セローはオフロード、トリッカーはエクストリーム、XT250Xはオンロードと、これらの3車は大まかに分類される。しかし今回は、オンロードだけでなくオフロードでもテストすることで、XT250Xの潜在能力=ポテンシャルを徹底チェックしてきた。その結果、「乗ってみて分かること」の多さに、改めて気付かされることになった。

 

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