取材協力/ホンダモーターサイクルジャパン  記事提供/雑誌『ガルル』 写真/長谷川 徹、楠堂亜希 まとめ/小川浩康
この記事は、雑誌『ガルル』Vol.355 P72~P77を再構成・転載したものです。
掲載日/2015年11月6日

CRF450RALLYをイメージした赤いカラーリングの新型アフリカツイン。ツインリンクもてぎのHondaコレクションホールに保存されているパリ・ダカールラリーレーサーの変遷を見ていくと、新型アフリカツインのオフロード性能には、歴代ラリーレーサーのDNAが受け継がれているようだ。

1982 XR500R モト部門総合優勝車
パリダカが冒険だった頃の覇者

第4回大会で優勝したシリル・ヌブー選手のマシン。エンジンは555ccまで排気量アップされて42PSを発揮したという。また900km程度を無給油で走行するために42Lタンクを装着している。第3回大会からFIM認定レースとなり、ヤマハとBMWがセミワークス体制で参戦。それにともないレースは高速化され、第5回大会以降ホンダはXL600Lをベースに参戦するが、2気筒エンジンの必要性に迫られた。

 

 

1986 NXR750 モト部門総合優勝車
高速化に対応する新型Vツイン搭載

高速化に対応するために45°Vツインエンジンを新開発。90度位相クランクを採用し一次振動を解消しているのが特徴で、これはライダーとマシンの負担を軽減し、耐久性を確保するためでもある。さらに左右に別れた燃料タンクと後部のサブタンクをカウルで包み、空力特性も考慮。これまでにないスタイリングとなっていることもあり、ニューXR(NXR)とネーミングされた。シリル・ヌブー、ジル・ラレイで1-2フィニッシュ達成。

 

 

1989 NXR750 モト部門総合優勝車
ワークスとの激闘で4連覇を達成

整備性や耐久性の向上、軽量化といった改良が行なわれてきたが、88年からは高速安定性にすぐれるフロント19インチも採用。フロントサスのストローク量は300mmもあったが、ライダーの要望でガレ場では21インチに換装したという。また、エンジンはテストでは75PSを発揮したが、レースでは70PS程度に抑えて耐久性を確保していた。ジル・ラレイの優勝でホンダは4連覇を達成。ワークス参戦に一旦ピリオドを打つ。

 

 

2013 CRF450Rally モト部門総合7位車
24年ぶりのHRCワークスマシン

2012年7月にホンダはダカールラリーへのワークス参戦を発表。450cc単気筒エンジンというレギュレーションに合わせて、CRF450Xをベースにマシンを開発。しかし、エンジン、フレームともにスペシャルと呼ぶべき作り込みとなっている。2013年はエルダー・ロドリゲスが7位、2014年は同じくロドリゲスが5位。そして2015年はパウロ・ゴンカルヴェスが2位と着実にリザルトを上げてきている。しかし、王者KTMはレース運びに一日の長があり14連覇を達成。2016年はいよいよ勝負の大会となってきた。

 

 

2014 True Adventure プロトタイプ車
アフリカツインの再来と噂された

2014年10月に開催されたバイク見本市「インターモト」に突如姿を現したトゥルーアドベンチャー。このマシンの隣にはCRF450RallyとNXRが展示され、ラリーレーサーのDNAを受け継いでいることがアピールされていた。車体の泥はテスト走行時についたものということだったが、公開された動画を見ると、それも納得がいく。クランクケース形状をよく見ると、このマシンはDCT仕様なのが分かる。

 

 

2015 CRF250Rally プロトタイプ車
市販化が熱望されるもう1台

そしてガルル編集部が市販を熱望しているもう1台が、このCRF250Rally。ワークスマシンCRF450Rallyを横に置きながら、CRF250Lをベースにモディファイしたという。フロントサスはCRF450Rallyのものだったりと、スペシャルパーツが装着されているので、このままのカタチでの市販化は難しいだろう。しかし、CRF250Lのエンジン特性はロングツーリングに最適なので、ぜひこのイメージを継承して発売してほしい!