Vol.28 ユーザーKさんからの問い合わせ①

掲載日:2014年12月15日 モタード魂    

文/小布施 倫行(CP sports)  まとめ/ダートライド編集部

掲載日/2014年12月15日  文/小布施 倫行(CP sports) まとめ/ダートライド編集部

DR-Z400SM乗りのリターンライダー
茂原ツインサーキットでの疑問あり

いよいよ実践的な内容にまで切り込んできた小布施さんによるモタード魂ですが、そこでやはり読者からの質問が出てきました。今回は千葉県に在住のKさんからです。DR-Z400SMにお乗りのリターンライダーで、茂原ツインサーキットの走行会に参加して、疑問が浮かんだということです。

ではまず、そのKさんの質問を見て行きましょう。

お世話になります。Kと申しますリターンライダーです。現在、DR-Z400SMに乗っていて、茂原ツインサーキット走行会に先日参加しました。

サスペンションがフロント/リア共にノーマルで、セッティングが分からないので教えていただきたいです。ノーマルでは無理な場合は、パーツのご教授もお願いします。今のベストタイムは57秒くらいなので、55秒は切りたいと思っています。

また、タイヤはスポーツマックスα-13のノーマルサイズを履いていて、空気圧に関しても教えていただきたいです。リア荷重で乗っているのでタイヤの消耗についても気になります。それと、スーパーコルサ以外でオススメのタイヤはありますか?

足着きの悪さも感じていて、シートのポイントについても教えてください。身体データは、身長174cm、体重73kg。昔から乗り方はハングオンなので、足を出すのに抵抗があります。膝を出すのはダメでしょうか?

わからないことだらけで申し訳ありませんが、アドバイスを頂けたら幸いです。

なるほど。乗り込んでいく中で、色々疑問を感じ始めているとお見受けします。それでは、ここからは小布施さんにバトンタッチして、解決につながるお話をしていただきましょう。(編集部)

フロントはノーマルでリアを調整
タイヤ空気圧はデータ蓄積が必要

どうもこんにちは、小布施です。ではKさんの疑問について、お答えをしていきましょう。まず、サスペンションですが、フロントについてはあまり手を入れる必要はありません。フォークオイルが適切なものが使われ、オイル量の管理ができていれば問題ないと思います。強いて言うなら、一例としてフロントフォークの突き出しを5mm減らし、油面を5mm程下げることでしょうか。

リアについては、少し固めにセットしたらどうでしょうか。DR-Z400SMは車重があるので、サグを87mm~89mm位にして、ダンパーも強めにしてよいと思います。アジャスターに関しては、ノーマルの数値は持っていませんが、段数の真ん中でよいです。実際には個体差があるので、指定数値じゃなくても真ん中から初めて下さい。(※例:20段階の場合、クローズから10段戻し)

セッティングのためのポイントとしては、リア乗りを少し前に移動して(ロード乗りだとすると、15cm程度前に)、ハングオンのオフセットも半分程度まで減らします。突っ込みの時、フロントブレーキをバンクし始めてからクリップに近づくまで強くして行くようにして(横方向にブレーキを効かせる)、フロントフォークの沈み込みを、バイクが立っている時に使い切らないように狙います。

これは、まだバンク角が少ない時に強いブレーキを掛けると、フロントがかなり沈んで柔らかい症状が出てしまうからです。ブレーキの掛けかたを変えてもフロントが柔らかいとなったら、スプリングにイニシャルを掛ける(3mm程度スペーサーを利用)か、スプリングレートを上げるかです。

足出しについては、出す必要性はないと思うので、あまり気にしないでよいと思います。同様に、膝も出し過ぎはマイナスです。ただし、タイムも上がりラインもタイトに攻めるようになったら、縁石に更に近づくために足を出して(ステップから足を上げる感じで)避けたり、足の動きでタイミングを作り出してグリップ力を上げたりすることは可能です。

タイヤについては、スポーツマックスα-13と言うことですが、茂原ツインサーキットで51秒フラットを出す程度のポテンシャルはありますので、問題はないと思います。他メーカーの物でも同程度で、グリップ感のフィーリングが違う程度のことと思ってもらってよいかと思います。それとタイヤの摩耗度合いが気になっているようですが、確かに茂原だと減りが激しいと思います。あそこの路面は他のサーキットに比べ摩耗度合いが大きいので、レーシングスリックでも激しく減ります。空気圧(内圧)を高めて(冷間1.9kg/cm2)対処する方法もありますが、基本的には冷間1.7~1.8kg/cm2をお薦めします(温間2.1kg/cm2程度)。空気圧に関しては、外気温も関係してくるのでテストとデータ取りが不可欠です。

シートは、足着きが悪い程度で良いです。重心を低くする(シート高を下げる)と切り返しが重くなり、あまりメリットがありません。もともと低くて高剛性のロード車なら、ストローク量も少ないので低重心のセットにしますが、モタード車ではコーナーリングスピードを稼ぐための限界が低いので、入り口と出口のほうを重要視するべきで、重心を下げてスピードと安定性を求めるのはセッティグ方向が異なります。

これ以上の詳しいアドバイスをご希望でしたら、コーナーリングの入り口・クリップ付近・出口の写真が欲しいです。アフターパーツについてはマシンの現状を知らないので、もう少し詰めてきたら考えていく方向で如何でしょうか。

小布施 倫行
Michiyuki Obuse

レーシングカートのワークス/開発を経て、ホンダ系でのワークスマシンの開発とレーシングスリックタイヤの開発を担当。1990年に長野でCP sportsを創業、事業を開始する。CP sports発足後はロードレース地方選手権チャンピオンを輩出、モトクロスでも全日本選手権で上位シングルのライダーを輩出し、1998年の長野オリンピックではボブスレーのテクニカルディレクターを務め、日本チーム史上最上位を得る。その後、モタードの全日本に専念し、レーシングパーツ開発とモタードスリックの開発も担当し、2006年にCRFで、2010年にハスクバーナで全日本モタードProクラスチャンピオンを獲得する。06年より全国各地でのモタードスクール・講座もしていて、受講者の中には全日本モタードの優勝者も出ている。

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