ポンコツオフ車再生プロジェクト

【Vol.08】絶版車、始動。そして見えてきた改善点…

掲載日:2009年07月22日 ポンコツオフ車再生プロジェクト    

ボロボロ&安価になった2ストマシンに手を加え、思いっきりダートを走り倒そう! というのがこのコーナーの提案する2ストマシンの楽しみ方。ガルル編集スタッフのクラモチが所有するカワサキの名車KDX200SRをレストアし、最終的にはなにかしらのレースに出場することを目指す。それが『パンパン2ストリバイバル』なのだ!

再生への道のり

詳細写真絶版車、始動。それからどうする?走るしかないでしょ~!

電話が鳴ったら受話器を取る、トイレに行ったら用を足す。じゃあ、絶版車のエンジンがかかったらまず何をする?間違いない、走るしかないでしょう!

前回はついにエンジンが動き出し、この絶版オフロード再燃プロジェクトも大きく前進を遂げました。しかし、エンジンをかけることがこのプロジェクトの目的ではなかったはず。最終目的は、このKDXでレースに出て、現行車両と肩を並べて走ること。それこそが「復活」の意味だと考えて、これまでコツコツと作業を進めてきたんです。

もちろん、エンジンがかかったからといって安心ばかりはしていられません。不安要素は数え上げればキリがないし、放置だった5年間のブランクはときどき驚くようなカタチでこちらの手を焼かせることがあります。

とはいえ、です。冒頭の文章もあながち間違っていないのでは、と思うわけです。すなわち、絶版オフロードのエンジンがかかったということはイコール、ふたたびダートを走りたいというマシンからの真摯なメッセージだと受け取ることができる、そういうことです。

現時点で試走をすることが、いいことなのか、そうでないのか。そんなものはあとから考えればいいことで、とにかく今回は「すでに思いっきり走ってきちゃいました」の事後報告なのですよ。ふふふ。

まず、走り出す前、燃料タンクにガソリンを注いだ時点でトラブルが1件発生しました。タンクにガソリンをトクットクッと入れると、同時にキャブレターからピューッと溢れ出てくる始末。これはオーバーフローってやつでしょうか。こういうとき、男なら見ないふりを決め込むに限りますよね。

そして、キック、キック、キック、キック。もひとつキック、でエンジンがかかりました。

「パパパパパパパパパンッ!」

小気味よくほとばしるドラムサウンド。自分で手をかけてきただけに(プロの力も大いに借りていますが)、この瞬間は何度繰り返しても喜び尽きることがありません。子を産む母の想いというのは、もしかしたらこんな気持ちなのでしょうか?いや、それはもっと深いですね。お母さんすいません。

そして、おそるおそるチェンジペダルを踏み下ろします。「ガチャッ」とギアが入ったのを確認すると、そーっとアクセルを開け、慎重にクラッチをつないでいきます。

「ガタガチャガタガチャガタ…」

壊れてシンバルを失ったサルのおもちゃが激しく両手を叩きながら歩いているような、そんな不格好さ、確かにあります。でもそれがなに?こちとら1度は死にかけた絶版車、こうして再びダートを走ることに無尽蔵の幸せを感じてるわけで。

ひとまず現時点で「どのくらいの走行能力を取り戻しているのか」を確認したくて臨んだ今回のお試し走り。いくつか問題点も浮上し、今後のプロジェクトの課題がより明確になった1日でした。

絶版車再燃プロジェクトって、マシンをいじり仕上げていくという部分では新車でカスタムを楽しむのに似ています。でも、いつもどこか緊張感をまとってドキドキできるっていうのが独特の魅力なんですよね~。

今回の再生作業

ファーストライドで見えてきた あちらこちらの改善点

乗り出す前はオーバーフローの状態だったキャブレター。無視してそのまま走っていると、気づけばガソリンの漏れは止まっていました。原因がよくわからないんだけど…?

乗り出す前はオーバーフローの状態だったキャブレター。無視してそのまま走っていると、気づけばガソリンの漏れは止まっていました。原因がよくわからないんだけど…?

装着されているタイヤは当時のまま。山もなく、ゴムも固くなっています。ここは当然換えておくべき。全然グリップしないので、マディ的な場所ではかなり焦りました。

装着されているタイヤは当時のまま。山もなく、ゴムも固くなっています。ここは当然換えておくべき。全然グリップしないので、マディ的な場所ではかなり焦りました。

走行に直接大きな影響を与えるわけじゃないけど、あまりにむき出し過ぎる車体外観もぼちぼち整えていってあげたい。なにげにこのお化粧直しが一番楽しみなのかもしれないなぁ。

走行に直接大きな影響を与えるわけじゃないけど、あまりにむき出し過ぎる車体外観もぼちぼち整えていってあげたい。なにげにこのお化粧直しが一番楽しみなのかもしれないなぁ。

タイヤと同じく、チェーンも一切換えていない。サビサビコチコチのコイツは問答無用で新品と交換するべきだろう。というか、このまま走り続けるのは危険すぎる。

タイヤと同じく、チェーンも一切換えていない。サビサビコチコチのコイツは問答無用で新品と交換するべきだろう。というか、このまま走り続けるのは危険すぎる。

前回から気になっていた排ガスのくぐもり具合は、走ってみたことである程度は軽減されたっぽい。でもチャンバー内にはカーボンがたまっているだろうし、なんとかしたい。

前回から気になっていた排ガスのくぐもり具合は、走ってみたことである程度は軽減されたっぽい。でもチャンバー内にはカーボンがたまっているだろうし、なんとかしたい。

次回予告

自分の手抜き&ダラダラ作業で思うように進まなかった再生プロジェクトですが、結局プロにお願いしてしエンジン始動まで漕ぎつけました。パンパンと響く小気味良い排気音を聞いていると、沸々と湧き出る走りたいという欲望が抑えられなくなってきました…。次回は試走といきますか!今や現行でラインナップされているオフロードバイクは少なくなってしまった。限られた選択肢の中で自分の乗りたいバイクがなければ、過去の名車や憧れのマシンを多少ボロでも見つけ出し、自分の手で再燃させてみるという楽しみ方もある。このKDXもまだまだ理想のカタチを求めてイジっていく予定です!

エンデューロレーサーKDX200Rの公道バージョンとして1989年に発売されたKDX200SR。水冷2ストロークエンジン・排気デバイスKIPSを装備し、35PSを発揮するパワフルかつ従順なエンジンが当時のオフロードライダーを魅了した。89年の初期型モデルのみ正立フォークを採用しており、リアには現代のモトクロッサーと同じ19インチタイヤを履く。現在、中古市場ではタマ数少なめの稀少車種となっている。
スペック

■エンジン形式 = 水冷2ストローク ピストンリードバルブ単気筒

■ボア×ストローク = 66×58mm

■最大トルク = 3.2kgf・m/7,500rpm

■変速機形式 = 6段リターン

■サイズ(全長×全幅×全高) = 2,175×855×1,225mm

■燃料タンク容量 = 9.5L

■ブレーキ = 油圧式シングルディスク(前後)

■タイヤサイズ = フロント80/100-21 リア100/90-19

■総排気量 = 198cc

■最高出力 = 35PS/8,000rpm

■キャブレター = KEIHIN PE28

■ホイールベース = 1,445mm

■シート高 = 885mm

■乾燥重量 = 107kg

■新車時本体価格 = 38万9,000円

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