ポンコツオフ車再生プロジェクト

【Vol.07】この匂い!この白煙!そしてなによりこのサウンド!

掲載日:2009年06月24日 ポンコツオフ車再生プロジェクト    

ボロボロ&安価になった2ストマシンに手を加え、思いっきりダートを走り倒そう! というのがこのコーナーの提案する2ストマシンの楽しみ方。ガルル編集スタッフのクラモチが所有するカワサキの名車KDX200SRをレストアし、最終的にはなにかしらのレースに出場することを目指す。それが『パンパン2ストリバイバル』なのだ!

再生への道のり

詳細写真この匂い! この白煙!そしてなにより、このサウンド!  width=

今回のKDXリバイバルプロジェクトは、ここ最近のダラダラムードを払拭すべく「プロに触ってもらおう!」をテーマに掲げてみました。早い話が「エンジンかけてください~!」って泣きついたってことですね。

さっそく、お仕事でもプライベートでもお世話になっている東京都大田区にあるバイクショップ『モト・エジャー』にKDXクンを連れて行ってあげました。

「バラバラのままだねぇ。とりあえずエンジンかけるとこまでやっちゃおうか」

ハイ、よろしくお願いします。

というわけで、まずは以前こちらでバラしたキャブレターを手にした野沢さん。ところが、しばらくそれを見つめたまま動かない。

「これ、まだ汚れてるね…」

え、そうですか? たしかに、よくよく見ると汚れているのがハッキリわかる。あらためてクリーニングしてもらうことに。すいません…。

次にマフラー。外から見えるチャンバーの入り口に、1cmほどのカーボンが堆積しているのがわかる。

「本当は火で燃やすのが一番だけど」

といいながら野沢さんは、ハンマーで叩いてざっくりとカーボンを除去してくれた。続いてラジエター内の水洗いに取りかかり…。

「じゃあ、エンジンかけてみよう」

ヨッ、待ってました!

ガシュ、ガシュ…。何度かキックペダルを踏み込む野沢さん。だが、かかりそうでかからない。んー、やはりまだなにかやり残していたことがあるのだろうか…。僕なりに頭をひねっていたそのときだった。

「ブィーーン、パパパパパパン!」

周囲にこだまする破裂音と、目の前を覆う白煙に、ハッとする。やった、ついにかかったんだエンジン!

カーボンのたまったマフラーからは白煙がとめどなく出続けていたものの、待ち望んでいた瞬間を迎えた僕は、しばらくなにもできずにその場にたたずんでしまったのでした。

今回の再生作業

結局プロに泣きついた ザツな作業がバレまくり…

どうにもうだつがあがらないリバイバル作業に、ここはひとつプロに光明を見出してもらおうと『モト・エジャー』におじゃましてきました。

どうにもうだつがあがらないリバイバル作業に、ここはひとつプロに光明を見出してもらおうと『モト・エジャー』におじゃましてきました。

以前オーバーホール(もどき)を実施したキャブレターですが、あらためて組み直してもらうと、中のフタを押さえる小さなパーツ(←この時点でなんの部品だかわかってない)が足りないとのこと。バラしたときに紛失したっぽい…。

以前オーバーホール(もどき)を実施したキャブレターですが、あらためて組み直してもらうと、中のフタを押さえる小さなパーツ(←この時点でなんの部品だかわかってない)が足りないとのこと。バラしたときに紛失したっぽい…。

ずいぶん前にオーバーホールしたはずのキャブレター。しかし、ところどころから前回のクリーナーの残り汁やらなにやらが確認されてしまい。やったつもりになってただけ、ってことですね。

ずいぶん前にオーバーホールしたはずのキャブレター。しかし、ところどころから前回のクリーナーの残り汁やらなにやらが確認されてしまい。やったつもりになってただけ、ってことですね。

遠慮がちなトルクで締め付けていたシリンダーにも物言いがつきました。このままじゃ圧縮漏れしちゃうって。とりあえず締めときゃいいか、みたいな気持ちで片づけちゃいけないんです。そりゃそうか。

遠慮がちなトルクで締め付けていたシリンダーにも物言いがつきました。このままじゃ圧縮漏れしちゃうって。とりあえず締めときゃいいか、みたいな気持ちで片づけちゃいけないんです。そりゃそうか。

ある一定のところまで締めこんでいくと、そこからまたトルクを失って元どおりになっちゃう。とりあえず今回は仮締めってことで、その範疇の中で一番締まるところでキープしてもらいました。

ある一定のところまで締めこんでいくと、そこからまたトルクを失って元どおりになっちゃう。とりあえず今回は仮締めってことで、その範疇の中で一番締まるところでキープしてもらいました。

サイドスタンドは根本から折れそうです。立ててみると車両が不自然な角度まで寝てきます。サイドスタンドを立てたままキックスタートとかしてると、いつかはこうなっちゃうかもよ。

サイドスタンドは根本から折れそうです。立ててみると車両が不自然な角度まで寝てきます。サイドスタンドを立てたままキックスタートとかしてると、いつかはこうなっちゃうかもよ。

マフラーを取付ける前に、中にたまったカーボンを叩いて落とす。氷山の一角かもしれないけど、それでもけっこう「黒いヤツ」がワサワサ出てきます。

マフラーを取付ける前に、中にたまったカーボンを叩いて落とす。氷山の一角かもしれないけど、それでもけっこう「黒いヤツ」がワサワサ出てきます。

フタのない状態だったから雨水も混じっていたラジエター内。一度その「クーラントっぽい液体」を排出したら、水洗いでクリーニング。

フタのない状態だったから雨水も混じっていたラジエター内。一度その「クーラントっぽい液体」を排出したら、水洗いでクリーニング。

準備は整った。野沢さんがその右足をキックペダルにかける。そしてついに…?

準備は整った。野沢さんがその右足をキックペダルにかける。そしてついに…?

エンジンがかかった! ほんとにかかった! 2ストジャンキーが泣いて喜ぶグッドスメル! あふれ出るホワイトスモーク! そして、チャンバーが奏でるファンタスティックサウンド! 極端な話、もうこのバイクで走ることだってできるんだ!

エンジンがかかった! ほんとにかかった! 2ストジャンキーが泣いて喜ぶグッドスメル! あふれ出るホワイトスモーク! そして、チャンバーが奏でるファンタスティックサウンド! 極端な話、もうこのバイクで走ることだってできるんだ!

それにしてもこのケムリは尋常じゃない。チャンバーやサイレンサーの内部にたまっているカーボンの除去作業も近いうちにやらなくちゃね。

それにしてもこのケムリは尋常じゃない。チャンバーやサイレンサーの内部にたまっているカーボンの除去作業も近いうちにやらなくちゃね。

次回予告

自分の手抜き&ダラダラ作業で思うように進まなかった再生プロジェクトですが、結局プロにお願いしてしエンジン始動まで漕ぎつけました。パンパンと響く小気味良い排気音を聞いていると、沸々と湧き出る走りたいという欲望が抑えられなくなってきました…。次回は試走といきますか!自分の手抜き&ダラダラ作業で思うように進まなかった再生プロジェクトですが、結局プロにお願いしてしエンジン始動まで漕ぎつけました。パンパンと響く小気味良い排気音を聞いていると、沸々と湧き出る走りたいという欲望が抑えられなくなってきました…。次回は試走といきますか!

エンデューロレーサーKDX200Rの公道バージョンとして1989年に発売されたKDX200SR。水冷2ストロークエンジン・排気デバイスKIPSを装備し、35PSを発揮するパワフルかつ従順なエンジンが当時のオフロードライダーを魅了した。89年の初期型モデルのみ正立フォークを採用しており、リアには現代のモトクロッサーと同じ19インチタイヤを履く。現在、中古市場ではタマ数少なめの稀少車種となっている。
スペック

■エンジン形式 = 水冷2ストローク ピストンリードバルブ単気筒

■ボア×ストローク = 66×58mm

■最大トルク = 3.2kgf・m/7,500rpm

■変速機形式 = 6段リターン

■サイズ(全長×全幅×全高) = 2,175×855×1,225mm

■燃料タンク容量 = 9.5L

■ブレーキ = 油圧式シングルディスク(前後)

■タイヤサイズ = フロント80/100-21 リア100/90-19

■総排気量 = 198cc

■最高出力 = 35PS/8,000rpm

■キャブレター = KEIHIN PE28

■ホイールベース = 1,445mm

■シート高 = 885mm

■乾燥重量 = 107kg

■新車時本体価格 = 38万9,000円

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索