ポンコツオフ車再生プロジェクト

【vol.01】5年放置したバイクは再び走リ出すことができるのか?

掲載日:2008年11月15日 ポンコツオフ車再生プロジェクト    

ボロボロ&安価になった2ストマシンに手を加え、思いっきりダートを走り倒そう! というのがこのコーナーの提案する2ストマシンの楽しみ方。ガルル編集スタッフのクラモチが所有するカワサキの名車KDX200SRをレストアし、最終的にはなにかしらのレースに出場することを目指す。それが『パンパン2ストリバイバル』なのだ!

再生への道のり

5年放置のバイクはふたたび走り出すことができるのか!?

排出ガス規制強化の影響で、2ストロークエンジンを抱えるトレールバイクは軒並み姿を消してしまいました。今では目を皿のようにして新車の2ストトレールを探しても、見つかる可能性は限りなくゼロに近いですよね。

だけど、別に新車じゃなくたっていいじゃないですか。これからますます数が減るばっかりの2ストマシンですし、いつまでもキレイに保とうとしてたら思いっきり楽しめませんよ。むしろ全身がカビに覆われているような、ボロッボロのバイクを自分で修理してオフロードに還すことのほうが、よっぽどワクワクドキドキしませんか? でしょ?

今回、当プロジェクトのために用意したマシンは「5年以上手つかずで屋外に放置プレイ」というなかなかサディスティックな仕打ちを受けていたKDX200SR。正真正銘のボロッボロバイクです。さてさて、一体このバイク、現役時代のようにダートを走り回ることができるようになるのでしょうか…。

シャワーだけで5歳は若返った!

まずは触るのもいやなほど汚れている外装をなんとかしようと洗車場へ向かいました。5年という歳月は、バイクをこうも汚くするものかと感心してしまうほどのみごとな汚れっぷりです。そもそもこの汚れの成分が不明。大気中に舞っている排気ガスや埃などが付着したものだと思われますが、正直カビにしか見えません。

ためしにライトカウルの表面を指でこすってみましたが、カビは簡単には取れません。とにかく洗車機で洗ってみましょうか。プシャー! ホースの先から勢いよく飛び出す水のカーテンが、あっという間にバイクのカビをそぎ落としてくれました。あれ、意外と簡単ですね。

こうして、ある程度キレイになったKDXですが、外装がキレイになったところでバイクが走り出すための役には立ちません。そこで今度は「どんなに腕の悪い医者でも、患者の体調を知るにはまずキャブレターを診る」ということわざにならって、素直にキャブレターをはずしてみました。え? そんなことわざ聞いたことないって?…じゃあその件についてはナシでいいです。

マシン外観のあまりの汚さに、見るに見かねて洗車場へ移動。洗車場の強力な水圧で汚れをぶっ飛ばす。車両表面のしつこい埃を洗い流しただけでもだいぶマシな状態になった。これなら5年も放置されていたバイクだとはだれも思うまい!

腐ったガソリンがヌメヌメ…

とにかく、話はキャブですキャブ。キャブレターをいじったことない人はいますか? そんな難しい作業でもありませんから、ぜひこれを機にあなたのバイクのキャブレターも診てみてください。まずはフューエルコックがOFFになっているのを確認して、コックとキャブレターをつなぐ燃料ホースをはずします(今回はこれがすでにはずれていました)。次に、シリンダー側とエアクリーナーボックス側、それぞれの締め付けバンドのボルトをゆるめてはずすと、スロットルワイヤーがついたままの状態ではありますが、キャブレターを引き抜くことができます。

これでキャブレターの様子が診断できますね。KDXの場合はどうだったかといいますと、なんか「パッと見キレイ」でした。スロットルを開閉して、中のスロットルバルブが固着していないかもチェックしてみましたが、スコスコとバルブが上下して、これも問題なし。…と、ここまでは調子がよかったのですが、フロート室で出会ってしまいました。腐ったガソリン。くさいです。要クリーニングですね。

今回はここまで。次回は各部を修理して、なんとかエンジンをかけるところまでこぎつけたいと思います!

おっかなびっくりキャブレターをはずして…と、燃料ホースが外れてる。分解してみると…っツオ! フロート室に腐ったガソリンが! 汚い! オーバーホールが必要ですね。ちなみにこの匂い「小学校の図工室の床の匂い」がしたんですけど、伝わりますか~?

エンデューロレーサーKDX200Rの公道バージョンとして1989年に発売されたKDX200SR。水冷2ストロークエンジン・排気デバイスKIPSを装備し、35PSを発揮するパワフルかつ従順なエンジンが当時のオフロードライダーを魅了した。89年の初期型モデルのみ正立フォークを採用しており、リアには現代のモトクロッサーと同じ19インチタイヤを履く。現在、中古市場ではタマ数少なめの稀少車種となっている。
スペック

■エンジン形式 = 水冷2ストローク ピストンリードバルブ単気筒

■ボア×ストローク = 66×58mm

■最大トルク = 3.2kgf・m/7,500rpm

■変速機形式 = 6段リターン

■サイズ(全長×全幅×全高) = 2,175×855×1,225mm

■燃料タンク容量 = 9.5L

■ブレーキ = 油圧式シングルディスク(前後)

■タイヤサイズ = フロント80/100-21 リア100/90-19

■総排気量 = 198cc

■最高出力 = 35PS/8,000rpm

■キャブレター = KEIHIN PE28

■ホイールベース = 1,445mm

■シート高 = 885mm

■乾燥重量 = 107kg

■新車時本体価格 = 38万9,000円

各部詳細

次回予告

次回予告
ズバリ、修理&メンテナンスでエンジン始動です。今回は簡単に現状を把握しただけなので、次回はしっかりとメンテ&修理を施して、なんとかエンジンをかけることを目指します。現状を把握したうえで今すぐにでも改善したいところは、まずタイヤ。ゴムが硬化しているし山もない。さらにスポークもサビサビで今にも折れそう。つづいてブレーキ。パッド、ローターのサビ、ブレーキレバーの固着など要メンテナンス。マスターシリンダーもバラす必要がありますね。そしてエアクリーナー。エレメントがカスッカスに乾いているのは明白。このままだとポロポロとこぼれたカスがキャブに侵入してしまいます。それに駆動系の要、チェーンも果てしなくサビをまとっており、有無を言わさず交換すべき。スプロケットもいっしょに換えておきたいところ。そしてプロジェクトの最終目標は「このオンボロKDXを復活させて楽しみながらレースに出場する!」です。今後の展開に乞うご期待!

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