ラリーモンゴリア 2013で池田 智泰が遭遇した事故について

ラリーモンゴリア 2013で池田 智泰が遭遇した事故について

掲載日:2014年04月23日 エクストリームラリー    

文/ダートライド編集部  手記/池田 智泰

意識不明の大事故
後遺症が残ることも考えられた

以前、ダートライドでラリーモンゴリア 2013についてお知らせした際、文末で「帰国後に参加した選手からお話などを聞き、どのような特色のラリーなのか、その一端でもお届けしようと思っています。」と書きましたが、その後、一切の音沙汰なし。「どうしたの?」と思われた人もいたでしょう。

 

実は、ご存知の人もいると思いますが、日本から参戦したイシゲこと池田 智泰選手が大会2日目に大きなクラッシュを喫し、発見が遅れれば命を落としていた大きな怪我を負いました。意識不明のまま、すぐにオーガナイザーの手により日本に移送され、戻らない意識に多くの関係者が悶々と日を過ごしていました。奇跡的に池田選手は意識を取り戻し、またかなり懸念された後遺症などの大きな障害は確認されず、長い入院・リハビリの末、ようやく先日退院をしました。

 

その池田選手、まだ常人のように生活することは難しいのですが、一時生死をさまよったことと、長い入院生活を経て、今回の一件を通じ、同じモータースポーツを楽しんでいるダートライド読者に伝えたい話がある、とご本人から手記をいただきました。

 

彼の意志を尊重し、原文のまま掲載しますので、ぜひ読んでいただきたいと思います。一歩間違えれば生命を脅かす危険性のあるモータースポーツ。『安全』ということに関して、今一度考えてもらえたらと思います。

 

以下、池田選手の手記より

 

エンデューロライダー池田智泰。

 

2013年8月12日ラリーモンゴリアにて120km前後で、クラッシュして約1カ月意識不明、その後意識戻るも、約7カ月の長期入院生活。

折れた肋骨が肺に刺さる状態、骨盤骨折、鎖骨、肩甲骨、アゴ、その他多数骨折・・・

当然レースだったので、出来る限りのプロテクター類などはしていてもです。

が、本当に運のいいことに転倒後すぐに後続選手により発見、適切な処置をしていただき衛星携帯で救助要請もしていただき、その後すぐにヘリコプターにて近くの町へ行き、緊急手術などを行い、日本に戻り更に手術を行い本当に幸いな事に脊髄損傷はなく、約7ヶ月の入院を経て大きな後遺症もなく現在退院し今も療養中。

 

今回の転倒は決して他人事だとは思わないで欲しく、メッセージ掲載をお願いしました。

 

それが例えどんなスピードでも、どんな競技(レース)でも、競技(レース)ではなくても、可能性はゼロではありません。

 

また速い遅い、上手下手なども関係ないと思います。

 

また万全の装備をしていても、怪我のリスクは決して0%にはならないということも。

 

『一人でも多くの方にプロテクターなど装備を、正しくしっかり使用する意識を高めて欲しいんです。』

 

今回は本当に数々の奇跡により命拾いし、脊髄損傷などもなく現在に至る訳ですが、こんなことはそうそうないことだと思っています。

 

未だに、距離も時間ほんの少しだし、ヘルメットはしないでもいいや。と、ノーヘルで乗る人をたまに見ることがあります。ほとんどの場合は何事も問題なく済んでしまうことでしょう。

が、そこで万が一何かあり、頭や脊髄を傷つけることになったら・・・。

ほんのちょっと面倒臭がらずヘルメットしていたら・・・なんて、後悔はただの一人にもして欲しくないんです。

傷つくのは、確かにあなた一人かもしれませんが。あなたは一人で生きているんじゃないです。あなたが傷つくことであなたの大切な人達を傷つけてしまうんです。やった本人はいいかもしれないけど、周りの人達は本当にやりきれないはずです。

オレがそうであったように・・・。

ちなみに、どんなに安全意識や安全装備をしていても防げない怪我もありますので、ライダーとして出来るだけのことはやって、同じ怪我でも出来るだけリスクが低くなるようにして欲しいだけです。

もちろんヘルメットだけでなく、脊髄を守る防具もたくさん出ています。なんでたくさん?? って!? それだけ事故があるからだとわかってください。

 

ヘルメットには期限があるということもこの機会に知ってください。ヘルメットの中身をご存知の方も多いとは思いますが、たくさんの発泡スチロールで形成されています。発泡スチロールって時間の経過と共に硬化していき、本来の頭を衝撃から守るという性能が発揮されないような古いヘルメットを被っている人も多いと思います。

 

またネックブレースなども値段によってたくさんの種類があると思いますが、それがたとえ値段的に安いものでも高いものでもあるとないとでは違うと思います。

 

高い? 安い? なんて、大変だけど命さえあれば、どうにでもなる問題だと思います。

 

お願いだから、オートバイに乗る時は最低限の安全意識の乗車もお願いします。日本ではただでさえ危険な乗り物だという認識の高いオートバイです。そのイメージを更に悪化させないようにするためにはオートバイを乗って楽しんでいるアナタから始めていってください。自分だけではなく、もし周囲に安全意識の低い人がいたら、教えてあげてください。

 

今回はたまたま命もあり、後遺症もありませんでしたが、同じようなことはもう起きて欲しくないんです。

 

ただそれだけです。

 

 

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