キャブいじり その2

掲載日:2011年01月14日 バイク基本整備のイロハバイクメンテのウンチク    

キャブいじり その2

スクリュー調整だけではダメ

単気筒エンジンならば、キャブを取り外して分解し、パーツを洗浄液にしばらく浸した後に各部の洗浄&エアブローを実践。パーツ各部を点検した後に組み立ててエンジン始動。あとはアイドリング回転をキープしながらスロー系(パイロット系)のスクリュー調整を行なえば、キャブレターのオーバーホールは完了になる。これがマルチエンジンになると、ひとつひとつの分解洗浄作業が大変になり、最終的には「気筒間のバランス調整」が極めて重要になる。

 

同じ強制開閉式でも、スロットルバルブタイプは、バルブ本体の高さ=開き具合を同じにするのが基本で、バタフライバルブの場合は、バタフライの開き具合を同じにしなくてはいけない。キャブレターを分解洗浄、その後に組み立てる際には、まずは目視確認でこれらのバランス取りを行なうのが基本だ。具体的には、各ボディーのスロットルバルブやバタフライバルブに同じ太さのワイヤーや針金を挟むことで、物理的にスロットル開度を同調させる。まずはこの作業をきっちりやるのが基本で、この目視調整を終えてからエンジン始動を試みる。

 

キャブレターの洗浄や組み立て作業が正しく行なわれていれば、この段階でエンジンはスムーズに吹け(スクリュー位置は規定のデータ通りにセットする)、アイドリングもそこそこ安定しているはずだ。それで納得できるのなら良いが、ここから先の「バランス調整」を徹底的に行なうことで、スロットルレスポンスがさらに良くなる例もある。そんな作業時に必要なのがバキュームゲージなのだ。目視で各部をセットアップしても、それはあくまで目視であって、必ずしも正解とは言えない。エンジンがスムーズに吹け上がり、なおかつアイドリングが安定しているのなら、おおよその許容範囲内に収まっていると考えられる。逆に、目視セットがしっかり行なわれていても、エンジン本体の気筒間バランスが崩れた状態(エンジン本体の不調)では、アイドリングは安定しないことも覚えておこう。

 

キャブバランスの微妙なズレを確認&補正するための機器がバキュームゲージである。アイドリング時に4ゲージの針が同じ数値を指すのは当然だが、スロットルバルブ仕様の場合は、スロットルを開け始めた瞬間のバランス取りをきっちり行なうことで、スロットルレスポンスのシャープさがより顕著になる。スロットルリンクなどの支点ブッシュがガタガタに磨耗していては、このような調整も難しい。しかし、4ボディーのパーツコンディションがほぼ同等ならば、調整し甲斐はある。バタフライバルブでアイドリング時は同調しているのに、スロットルを開け始めるとバランスが崩れるような場合は、バキュームピストン周りに不具合がある可能性もある。例えば、ダイヤフラムラバーのコンデイションにバラつきがあるなど、様々な要因が考えられる。いずれにしても、マルチエンジンのキャブメンテナンス時には4連バキュームゲージの存在が偉大である。

特にCB750K0のように1本のスロットルワイヤーが分岐して4本のワイヤーでキャブコントロールするようなモデルの場合は、各キャブに接続されるワイヤーの遊び調整を厳密に行なうことで、スロットルレスポンスに大きな違いが出る。

特にCB750K0のように1本のスロットルワイヤーが分岐して4本のワイヤーでキャブコントロールするようなモデルの場合は、各キャブに接続されるワイヤーの遊び調整を厳密に行なうことで、スロットルレスポンスに大きな違いが出る。

単気筒エンジンからマルチエンジンまで、キャブメンテナンス時にあると絶対に便利なのが通称「点滴」ことメンテナンス用ガソリンタンクである。このメンテタンクがあると、キャブレターの調整作業が圧倒的に楽になる。

単気筒エンジンからマルチエンジンまで、キャブメンテナンス時にあると絶対に便利なのが通称「点滴」ことメンテナンス用ガソリンタンクである。このメンテタンクがあると、キャブレターの調整作業が圧倒的に楽になる。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索