ユーザー車検

【CHAPTER 2-1】ブレーキまわり点検編

掲載日:2009年12月16日 ユーザー車検    

CHAPTER 2:旧車の重要ポイント
ブレーキまわり点検編

すでにユーザー車検制度がはじまって10数年となり、これまでも数多くのサンデーメカニックが自ら車検を取得してきた。特に日頃から自分自身の手で愛車のメンテナンスを行うことが多い旧車・絶版車オーナーの場合、車検はいつもユーザー車検! という方が多いようだ。そんな旧車系ユーザーが検査で不合格になりやすいポイントが二つある。今回はそのうちの一つであるブレーキに的を絞った徹底的メンテナンスを紹介する。

引きずりの発生がブレーキ性能を低下させるため、旧車のディスクブレーキは頻繁な整備が必要だ。70年代以前のマシンに採用されていたものでは、シール性能が今ひとつ確立されていなかったことが原因で、ピストン周辺にサビが発生しやすい構造となっている。メンテナンス実践時はこのシール周辺のクリーンナップが鍵。この事実を忘れないようにしよう。

この時代の国産車としては珍しく、分割タイプのブレーキキャリパーボディーの締め付けボルトにはキャップボルトが採用されている。パッド外周にはサビが発生している。

この時代の国産車としては珍しく、分割タイプのブレーキキャリパーボディーの締め付けボルトにはキャップボルトが採用されている。パッド外周にはサビが発生している。

本体側のブレーキパッドを取り外すと、ピストン本体とパッドの間にパッドシートなる部品がセットされている。本体の洗浄時は、この部品を取り外してから行う。

本体側のブレーキパッドを取り外すと、ピストン本体とパッドの間にパッドシートなる部品がセットされている。本体の洗浄時は、この部品を取り外してから行う。

ドライバ一等の先端を使ってピストンの中心を本体側にググッと押しつけ、ピストンをシリンダー内の一番奥に押し込む。この作業後にパッド外周のガイド面をクリーンナップする。

ドライバ一等の先端を使ってピストンの中心を本体側にググッと押しつけ、ピストンをシリンダー内の一番奥に押し込む。この作業後にパッド外周のガイド面をクリーンナップする。

パッド本体やキャリパー本体のパッドガイド部分のポリッシュに最適なのが、シャイネックスのサンドシートである。サンドペーパーのように目詰まりしないので使いやすい。

パッド本体やキャリパー本体のパッドガイド部分のポリッシュに最適なのが、シャイネックスのサンドシートである。サンドペーパーのように目詰まりしないので使いやすい。

キャリパー本体のパッドガイド面をサンドシートでポリッシュする。今回は荒目を使ったが、傷だらけにはならなかった。ガイド面がポリッシュされることでパッドの作動性が良くなる。

キャリパー本体のパッドガイド面をサンドシートでポリッシュする。今回は荒目を使ったが、傷だらけにはならなかった。ガイド面がポリッシュされることでパッドの作動性が良くなる。

パーツクリーナーを利用してキャリパー本体内を洗浄する。ピストンの動きが悪いときは、油圧でピストンを押し出し(出し過ぎに注意)て、ピストン外周をウエスでポリッシュする。

パーツクリーナーを利用してキャリパー本体内を洗浄する。ピストンの動きが悪いときは、油圧でピストンを押し出し(出し過ぎに注意)て、ピストン外周をウエスでポリッシュする。

特に、パッドガイドピンの溝はきれいにすること。洗浄が完了したら、パッドシートを復元する。このパッドシートにはシリコングリスを薄く塗布し、防錆と密着性を良くする。

特に、パッドガイドピンの溝はきれいにすること。洗浄が完了したら、パッドシートを復元する。このパッドシートにはシリコングリスを薄く塗布し、防錆と密着性を良くする。

ブレーキパッドの本体外周もサンドシートで磨き、サビや腐食をクリーンナップする。このパッドの外周の汚れが、ブレーキ性能を低下させるのだ。70年代のホンダ車は共通の設計である。

ブレーキパッドの本体外周もサンドシートで磨き、サビや腐食をクリーンナップする。このパッドの外周の汚れが、ブレーキ性能を低下させるのだ。70年代のホンダ車は共通の設計である。

ポリッシュが完了したら、シリコングリスを外周に適量塗布し、グリスの薄い膜を作る。このグリスが防錆とパッドの作動性を良くするのだ。塗りすぎは逆効果になるので要注意。

ポリッシュが完了したら、シリコングリスを外周に適量塗布し、グリスの薄い膜を作る。このグリスが防錆とパッドの作動性を良くするのだ。塗りすぎは逆効果になるので要注意。

パッド交換の目安になるレッドラインに達していなかったので今回はパッドを再利用したが、減りが少なくても、何年か経過したものは新品パッドに交換したい。社外品も発売されている。

パッド交換の目安になるレッドラインに達していなかったので今回はパッドを再利用したが、減りが少なくても、何年か経過したものは新品パッドに交換したい。社外品も発売されている。

パッド裏面にパッドグリスを少量塗布し挿入する。スムーズに往復作動すれば良いが、引っ掛かりがある場合はその不具合を徹底追求する。転倒でキャリパーが歪んでいることもある。

パッド裏面にパッドグリスを少量塗布し挿入する。スムーズに往復作動すれば良いが、引っ掛かりがある場合はその不具合を徹底追求する。転倒でキャリパーが歪んでいることもある。

分割型キャリパーのもう一方をメンテナンスする。こちらにはピストンは無く、パッドはキャリパーブロックに差し込まれているだけだ。裏側の割りピンを抜き取りパッドを取り外す。

分割型キャリパーのもう一方をメンテナンスする。こちらにはピストンは無く、パッドはキャリパーブロックに差し込まれているだけだ。裏側の割りピンを抜き取りパッドを取り外す。

こちら側はメンテナンスポイントが少ないが、パッド裏が汚れていたらポリッシュし、パッド裏の中心部分にパッドグリス(今回はカッパー仕様を使った)を少量塗布する。

こちら側はメンテナンスポイントが少ないが、パッド裏が汚れていたらポリッシュし、パッド裏の中心部分にパッドグリス(今回はカッパー仕様を使った)を少量塗布する。

組み立て復元したら、裏側のパッド面とローターの間に0.5mmのシックネスゲージを挟み込み、マウントプレートのアジャストボルトで表側パッド面がローターに接触するように調整する。

組み立て復元したら、裏側のパッド面とローターの間に0.5mmのシックネスゲージを挟み込み、マウントプレートのアジャストボルトで表側パッド面がローターに接触するように調整する。

表のパッドが接触したら、アジャストボルトをロックナットで固定する。この状態で前輪を持ち上げて空回りさせて、引きずりが無いか確認する。

表のパッドが接触したら、アジャストボルトをロックナットで固定する。この状態で前輪を持ち上げて空回りさせて、引きずりが無いか確認する。

マウントプレートはフローティング構造となってる。裏側のパッドが減ったら再度⑭の調整を行い、常にクリアランスを保つ。クリアランスが増えるとレバーの握りしろが増えてしまうのだ。

マウントプレートはフローティング構造となってる。裏側のパッドが減ったら再度⑭の調整を行い、常にクリアランスを保つ。クリアランスが増えるとレバーの握りしろが増えてしまうのだ。

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