「掴む」「切る」工具を見直してメンテナンスを快適に【モトメンテショッピング】

掲載日:2016年06月16日 メンテナンス    

※この記事は『モトメンテナンス vol.126』に掲載された内容を再編集したものです

パソコンやスマートフォンでネットショッピングを楽しんでいるサンメカは少なくない。
だが膨大なショッピングサイトを巡る中で、取捨選択に疲れちゃう、という意見もある。
このコーナーではいつでもお得にすぐ買える! をモットーに
本誌ならではの「バイクいじり」に特化した工具を厳選して紹介しよう。

「掴む」「切る」工具を見直して
メンテナンスを快適に

ボルトやビスを回すレンチやドライバーのように、掴む・切断作業に必要なのが「掴み系」工具。キャビネットの中に数多くのレンチが並ぶサンメカでも、掴み系グッズはニッパとラジオペンチとプライヤー程度という例は少なくない。銅線も針金も1本のニッパで切断し続けていれば切れ味は落ちるし、ラジペンやプライヤーも掴み面が摩耗してグリップ力が低下する。そんな工具を使い続ければ無駄な力ばかりが必要となるから、賞味期限切れの工具は適宜入れ替えて快適な作業環境を作ることも重要だ。使い勝手の良い工具が重要なのは、日常メンテの第一歩であるタイヤの空気圧チェックに関しても同様だ。信頼性の高いゲージを使用することで快適でスポーティな走りが実現することを知っておこう。

パワースポーツ デジタルエアゲージPRO

プリセット&減圧調整可能の
高機能ゲージ

タイヤやバルブに不具合がなくても、時間の経過と共に徐々に空気圧が低下するのは避けられない。定期的にエアチェックを行うことで、常に快適なライディングを楽しめる。エアーゲージにはアナログ式とデジタル式があるが、後者には持ち運びや保管を含めて気軽に使える利点がある。パワースポーツのゲージは90×75mmの楕円形のボディにホースを巻き付け収納できるコンパクト設計で、測定機会の多い空気圧をあらかじめ4パターンメモリーしておける。バルブに押し当てるヘッドは360°回転式のデュアルタイプで、ホイールやブレーキの形状に影響されず測定できる。

楕円形のボディは厚さ25mmほどで、片手で保持しやすい。測定単位は現行モデルで用いられるSI単位系のkPa(キロパスカル)の他、ベテランになじみ深いkg/cm2やPSI 、BARも表示できる。測定誤差は2%以内で信頼性の高い測定が可能。

ホースに対して斜めにセットされたヘッドはバルブに押し当てやすい。測定から2~3秒後に「ピー音」がなったら終了で、その際の測定値は本体に記憶される(下段の小さい数字)。

右/測定中にヘッド側面のボタンを押すと、測定しながら減圧できる。また希望圧力を記憶させておけば、測定時の圧力が希望値と等しければ○、15%以上高い時は▲が表示される。左/ヘッドからホース根元までの長さは290mmほど。

エンジニア ネジザウルスGT

潰れたネジを確実に緩める縦づかみ形状

ラジオペンチやプライヤーがヘッドの横方向で対象物を掴むのに対して、ヘッドの先頭部分にも刻みを付けたのがホームセンターや工具ショップで注目を集めるネジザウルスだ。ネジ溝が舐めたビスを緩める際、ポンチやタガネで緩め方向に少しずつ叩いたり、ロッキングプライヤーで掴んだりするが、ネジザウルスならビスの周辺に余地がなくても縦方向からガッチリくわえられるため作業性が高い。新製品のGTは、頭の低いトラスビスに対応するため、ヘッド先端をシャープに設計し、ホールド性を一層向上させている。新たに刃部を装着し、ニッパとして使えるのも特徴だ。

握り心地が優しく、廃棄時の環境にも配慮したエラストマー(工業用ゴム)グリップはSF的デザインが施されている。ヒンジ部分のスプリングにより、連続作業も楽に行える。全長160mm 。

ドライバーが掛からないほど溝が傷んだビスをポンチやタガネで緩めるには、周囲にある程度の余地が必要だ。そんな余裕がない場所にこそ、縦づかみできるネジザウルスが有効だ。

右/縦づかみしたビスの頭に確実に食い込ませるためヘッド先端部分に工夫を凝らし、同時に横づかみに対応するため横面の歯も鋭い。一般的な掴み作業より、ネジのトラブル対応に特化した形状といえる。左/先端部分に刻まれた鋭い刻み溝が、ビスの頭に食い付いて緩め作業に力を発揮する。縦づかみで回すとヒンジ部分に捻り方向の力が加わるが、それに対応できるよう剛性の高いヒンジを採用している。

MotionPro

作業の自由度がアップする
ボールポイントが特徴

長軸を支えて短軸を指で回せば、メガネレンチやラチェットハンドルより素早くボルトを回せるT 型ハンドル付きレンチは、メンテ経験が豊富なサンメカほど好んで使う傾向が高いアイテムだ。キャップボルトを回すヘキサゴンレンチではL字型がポピュラーだが、モーションプロのレンチはT型ハンドルで早回しが得意。六角部は長軸と短軸の2カ所にあり、長軸側をボールポイント形状とすることでボルトとレンチが傾いた状態でもスムーズに回すことができる。時間短縮&効率化に役立つツールである。

5mm 、6mmとも全長170mmと一般的なT型レンチに比べてコンパクトな設計。他に4mmと8mmもあり、バイクブロスでは4本セット品(税込9,288円)も販売している。

キャップボルトの中でも頭が低いボタンヘッドタイプは六角穴が浅く、レンチが斜めに入った状態で力を加えると穴が広がり傷みやすい。ボールエンドならこうした場面でも確実な作業ができる。

ボールエンドは最大25度まで傾けた状態で使用できる。先端に対してくびれている分、強度的にはストレートヘッドより劣るため、きつく締まったボルトに使うのは控えよう。

KNIPEX 7372-180ツインフォースニッパー

軽い握り心地&切断能力大幅アップ!!
チカラ自慢のダブルヒンジ採用

ハーネスの補修や製作で電線を切断するなら普通のニッパで十分だが、針金やケーブル、スポークを切るにはもっと強力なカッターが欲しい。専用のワイヤーカッターも存在するが、ドイツの掴み物工具メーカー、クニペックスのツインフォースニッパーは一般的なニッパサイズで強力な切れ味を発揮する。鍵となるのは、二つのヒンジがテコのように作用して、握った力を増力するダブルヒンジシステム。切断能力は同サイズの斜ニッパーより最大50%もアップし、φ3.0mmのピアノ線を余裕で切断できる。

オイル焼き入れ&焼き戻し処理済みクロームバナジウム鋼を鍛造製法で製造。ヒンジが中心からずれた位置にあり、さらに表裏でピンの位置が異なる。

右/グリップ部にはφ3.0mmのピアノ線がカットできるスペックを記載。手に優しい樹脂製で、強い力で握り込んでも快適な作業ができる。左/一般的なニッパに比べて開口幅は狭い(ピンが移動する長穴分しか開かない)。強度を確保するため先端近くまで肉が厚いため、細かな細工も苦手だ。それらも切断能力向上に特化したツインフォースならではの特徴。

通常のニッパに対して切断能力が50%高いということは、針金の径が同じなら軽い力で切断できるということだ。ツインフォースニッパなら、太い針金を切断する際にグリップに感じる抵抗がとても少ない。全長180mmクラスとは思えない力強さが魅力だ。

キタコ ギアホルダー

グロム、モンキー、エイプのエンジン分解に

エンジンオーバーホールやチューニングを楽しむようになると、一般的なハンドツールだけでは対応できない場面に遭遇することがある。ホンダの横型エンジンでは、クラッチ周りをいじる際にプライマリードライブギアとクラッチアウターギアの回り止めが必要だ。2枚のギアの間にウエスやアルミ片を挟んで回り止めとすることもあるが、小さな扇が付いたペロペロキャンディのようなギアホルダーがあれば、あれこれと代用品を探し回る必要もなくスマートに2枚のギアをロックできる。4ミニ好きの必需品だ。

これまでにモンキー系エンジンを何台も分解した経験があれば、余ったキックギアで代用もできるが、そのためにわざわざギアを取り出すのはナンセンス。このホルダーを買おう。

ギアの回り止めにアルミ板を挟むと、切断された破片がクランクケース内に落ちる危険性がある。このホルダーなら心配は無用で、複数の歯に接することで荷重も分散される。

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