エアブラシによるタッチアップ編

掲載日:2009年12月22日 部位別メンテナンス外装系    

メンテナンス講座

缶スプレーやハケ塗りでは実現できない
ハイクオリティなタッチアップに挑戦

D・I・Yペイントの入門偏といえば「タッチアップ」だろう。そんなタッチアップテクニックにも様々な方法があるが、そんなテクニックの中で、一際ハイクォリティな仕上がりを追求できるのが「エアブラシ」の利用である。一昔前まではエアブラシは高嶺の花であったが、現代では流通商品が数多く、過去に比べて求めやすい価格設定の商品もあるので、「エアブラシがあれば‥‥」といった機会に遭遇したときには、是非ともエアブラシを使って、そのきめ細かな世界を体感していただきたい。

 

今回は、ライダーの不注意でキズを付けてしまったバックミラーの補修ペイントを実践したが、その仕上がりは、タッチアップペンや缶スプレーやハケ塗りでは簡単に得られない、まさにハイクォリティそのものだった。エアブラシ作業で、注意しなくてはいけないポイントがいくつかあるが、そのひとつに色合わせがある。エアブラシの場合は、使用するネタの量が著しく少ない=無駄なスプレーが少ない=歩留まりが良いので、小型容器を用意し、その容器内に缶スプレーのネタを吹き付けることで、気楽に色合わせを実践することができる。また、いじり好き、工作好きなサンメカならば、中途半端に残ってしまった缶スプレーが何本もあって「捨てるに捨てられない」なんてことがありますよね?  また、そんな缶スプレーでも、もったいなくて捨てられないのが現実。ところが、使おうと思ったときにノズルが詰まっていて使えないケースやガスが抜けていてスプレーできないケースも多い。そんなときには、缶のガス抜き工具を使い、さらに缶切りでスプレー缶を切開して、中のネタを別の容器に移せば再利用が可能。そんな極少量のネタでも、エアブラシを利用すれば、想像以上に広範囲を塗れるネタになるだけでなく、色合わせなどのときに重宝するのは間違いないだろう。

 

エアブラシの可能性と面白さ、そして何より想像以上のハイクォリティには、誰もが驚くはずだ。ただ、エアブラシを使ったからと言って、それだけでハイクォリティは得られない。凸凹になってしまった下地を処理しなくてはいけないのは、一般のペイント補修と同じである。まずは、ハイクオリティを求めて、下処理から始めよう。

作業手順を見てみよう!

凸凹部分の補修は耐水ペーパーで行う。キズの深さにもよるが、今回は600番のペーパーから始めた。水研ぎするときに「霧吹きボトル」に水を入れて使うのがオススメ。

凸凹部分の補修は耐水ペーパーで行う。キズの深さにもよるが、今回は600番のペーパーから始めた。水研ぎするときに「霧吹きボトル」に水を入れて使うのがオススメ。

 

凸凹のパテ補修に使ったのは、プラモデルでお馴染みのタミヤパテ。タミヤパテは乾燥が早くて小キズ直しには最適。しかもペイントに適した「ホワイト」仕様は使える!!

凸凹のパテ補修に使ったのは、プラモデルでお馴染みのタミヤパテ。タミヤパテは乾燥が早くて小キズ直しには最適。しかもペイントに適した「ホワイト」仕様は使える!!

 

ホワイト仕様のパテがイイ理由は、色素の隠ぺい性が圧倒的に良いところにある。折った金ノコを研いで作ったパテヘラで、チューブから直接パテを取る。

ホワイト仕様のパテがイイ理由は、色素の隠ぺい性が圧倒的に良いところにある。折った金ノコを研いで作ったパテヘラで、チューブから直接パテを取る。

 

凸凹部分にしごくように埋め込み、凹内部に気泡が残らないように埋めていくのがコツであり、これが結構難しい。丁寧かつ素早く作業を進める。硬化速度は早いようだ。

凸凹部分にしごくように埋め込み、凹内部に気泡が残らないように埋めていくのがコツであり、これが結構難しい。丁寧かつ素早く作業を進める。硬化速度は早いようだ。

 

5分も待てば水研ぎできる程度まで硬化するので、霧吹きで水をスプレーしながら800番の耐水ペーパーで水研ぎする。凹を閉じ切れなかったらパテ埋めを繰り返す。

5分も待てば水研ぎできる程度まで硬化するので、霧吹きで水をスプレーしながら800番の耐水ペーパーで水研ぎする。凹を閉じ切れなかったらパテ埋めを繰り返す。

 

水研ぎを進めていくと、このような感じに凹部分を埋めることができる。気泡が入っていると膨張して凸になるので、その様子はわかるはずだ。凸が出たら作業を繰り返す。

水研ぎを進めていくと、このような感じに凹部分を埋めることができる。気泡が入っていると膨張して凸になるので、その様子はわかるはずだ。凸が出たら作業を繰り返す。

 

パテを乾燥させつつ紙コップにシルバーのサフェーサースプレーを吹き付ける。シルバーサフェーサーによって、仕上げの赤の発色を良くするのだ。サフ色も使い分け可能だ。

パテを乾燥させつつ紙コップにシルバーのサフェーサースプレーを吹き付ける。シルバーサフェーサーによって、仕上げの赤の発色を良くするのだ。サフ色も使い分け可能だ。

 

タレにくいエアブラシでペイント補修する際には、シンナーを混ぜてネタを柔らかめにセッティングすると作業性が良いようだ。ここで利用したシンナーはラッカーシンナーだ。

タレにくいエアブラシでペイント補修する際には、シンナーを混ぜてネタを柔らかめにセッティングすると作業性が良いようだ。ここで利用したシンナーはラッカーシンナーだ。

 

パテが乾いたことを確認して(冬場の寒いときはドライヤーでパーツをゆっくり温めると良い)サフェーサーを吹き付ける。トリガーコントロールで吹き付け量を調整する。

パテが乾いたことを確認して(冬場の寒いときはドライヤーでパーツをゆっくり温めると良い)サフェーサーを吹き付ける。トリガーコントロールで吹き付け量を調整する。

 

患部周辺も含めてサフ入れした。このサフ入れする面積を事前に考え、患部だけではなく周辺の下地作り=足付けをしておくのもポイントだ。サフを入れると凸凹がより明確に。

患部周辺も含めてサフ入れした。このサフ入れする面積を事前に考え、患部だけではなく周辺の下地作り=足付けをしておくのもポイントだ。サフを入れると凸凹がより明確に。

 

僅かなピンホールが発見できたので、ここでもう一度タミヤホワイトパテをいれて修正した。小キズ直しの際に、グラインダーで研いだ金ノコ改ヘラは大変使いやすいようだ。

僅かなピンホールが発見できたので、ここでもう一度タミヤホワイトパテをいれて修正した。小キズ直しの際に、グラインダーで研いだ金ノコ改ヘラは大変使いやすいようだ。

 

パテが硬化したら再度水研ぎして全体的に修正する。この下地作り作業を丁寧に進めることで、間違いなく仕上がりは良くなる。手抜きせずに作業を進めましょう。

パテが硬化したら再度水研ぎして全体的に修正する。この下地作り作業を丁寧に進めることで、間違いなく仕上がりは良くなる。手抜きせずに作業を進めましょう。

 

タミヤパテのホワイトを使ったので、赤色の発色には大きな影響が出ない。色が濃いパテを使った際には、この段階で再度サフェーサー入れをすれば良いだろう。

タミヤパテのホワイトを使ったので、赤色の発色には大きな影響が出ない。色が濃いパテを使った際には、この段階で再度サフェーサー入れをすれば良いだろう。

 

表面の目に見えないような凸凹をツルッとした仕上がりにするために、オーバークォリティーではあるがバフレックスで水研ぎした。この作業で表面はツルツルになる。

表面の目に見えないような凸凹をツルッとした仕上がりにするために、オーバークォリティーではあるがバフレックスで水研ぎした。この作業で表面はツルツルになる。

 

バフレックスは本当に使えます。純正ペイントに多いユズ肌をバフレックスで磨き、ポリッシャーで仕上げれば、完全鏡面な極上仕上げになる。高級車御用達研磨シートだ。

バフレックスは本当に使えます。純正ペイントに多いユズ肌をバフレックスで磨き、ポリッシャーで仕上げれば、完全鏡面な極上仕上げになる。高級車御用達研磨シートだ。

 

仕上げペイント行程に突入だ。今回は余っていた赤スプレー数種類があったので、近似色でペイントした。この段階で色合わせすれば大満足だろう。いよいよペイントだが‥‥

仕上げペイント行程に突入だ。今回は余っていた赤スプレー数種類があったので、近似色でペイントした。この段階で色合わせすれば大満足だろう。いよいよペイントだが‥‥

 

その前に周辺も含めて1200番前後の耐水ペーパーにて足付けを行った。足付け箇所全体にエアブラシスプレーするのではなく、あくまでペイントは患部周辺のみだ。

その前に周辺も含めて1200番前後の耐水ペーパーにて足付けを行った。足付け箇所全体にエアブラシスプレーするのではなく、あくまでペイントは患部周辺のみだ。

 

赤の色合いを確認しながらペイントする。著しく色が違っている場合は、調色して、できる限り合わせるように努力しよう。やや暗かったら、明るい赤を混ぜるというように。

赤の色合いを確認しながらペイントする。著しく色が違っている場合は、調色して、できる限り合わせるように努力しよう。やや暗かったら、明るい赤を混ぜるというように。

 

しっかり乾燥後、極細目コンパウンドや超微粒子コンパウンドで仕上げ磨きを行う。状況によってクリアを掛けるが、クリアなしの磨き作業のみでも、イイ感じに仕上がる。

しっかり乾燥後、極細目コンパウンドや超微粒子コンパウンドで仕上げ磨きを行う。状況によってクリアを掛けるが、クリアなしの磨き作業のみでも、イイ感じに仕上がる。

 

ベースカラーがラッカーで仕上げにウレタンクリアを吹いてあったパーツの場合、修復後の仕上げでウレタンクリアを吹くとチヂレが出るので要注意。状況判断で使い分けよう。

ベースカラーがラッカーで仕上げにウレタンクリアを吹いてあったパーツの場合、修復後の仕上げでウレタンクリアを吹くとチヂレが出るので要注意。状況判断で使い分けよう。

 

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索